ちょっち前の話。
久しぶりに、お世話になって良くしてくれていた会社の先輩に電話をかけた。
迷惑は承知の上だ、ただのワガママ。会社を辞める時に心配かけた事をどうしても謝りたかった(そういえば最後にまともに話した会社の人間も彼女だった)
電話を受けてくれた先輩は内心は穏やかでは無かったとは思うが、俺の知っているいつもの彼女の明るさで労をねぎらってくれた。
彼女の抱えていた問題も解決したらしい。俺は心から祝福した。本当に良かった。
共通の友達が心配していたと何度も念を押されたので、気が進まなかったが連絡を取ってみた。
忙しい、と言って、すぐに電話は切られた。
後に、長文で、俺に怯えた絶縁メールが送られてきた。
読む気が起きず、釘を刺してそのままにしてある。
彼の、いかにも善人ぶった、俺の会社の先輩の前での振る舞いが目に浮かぶようだ。
連絡が途絶えた友達を心配している自分を演出していたんだろう、実際は怯えているのに。
昔からそういう奴だっていうのは分かっていたはずなのに、やはり、薄ら寒くはある。
優しい振りが、とにかく上手な奴だったよ。自分さえ良ければ、子どもを殺しても平気でいられるのにね。