女だから言えること | 引きこもり、精神病からの生還

太ったおじさんみたいなおばあさんです。キレキャラとおふざけキャラと真面目キャラを分離する才能がないので、丸ごとの自分を出してます。

精神科医の苦悩

 忘れないうちに書いておかないとと思い、メモしておく。

 私には一人だけ精神科医の知人がいる。知人と言ってもその辺の酒場で偶然会えば話をする程度の知人。だから利害関係がないので互いの心情を率直に打ち明けあえる。

 先方は50代のおじさんで、私は歳の近いおばさんなので、気安くタメ口で話せる仲。私自身が精神病闘病経験者で父が重度の統合失調症だったということもあり、細かい話も通じて楽しい。

 で、私は、たまたま彼の本名を知ってしまった。下世話な私が人の本名を知ってググらないわけがない。彼の本名をググると彼の学歴、経歴が当然出てくる。で、彼はかなりの学歴と職歴を持つ人で、とある病院の経営側っていうの?管理側っていうの?だということがわかった。博士号持ちの精神科医なんてゴロゴロいるが、まあそんなような感じの人です。

 これは面白い!と思って、次に会った時に色々聞いてみた。あ、ちなみに彼自身は一切、自分の学歴や経歴を私に話してませんよ。私が勝手に調べて知っただけ。たぶん、本人も、自分は色んな人に名前を検索されちゃう立場なんだろうなーという事くらいは分かってると思うよ。知らんけど。

 で、私が精神科医に聞いてみたかったのは、私の父親とか友人とかみたいな、助ける(自立させる)のが不可能な患者達のこと。彼ら精神科医はあれくらい重度だったり、社会参加の難しい人達について、どう感じているのかを聞いてみたかったので聞いてみた。

 

 彼自身は自分の家族に問題があって、早い段階で精神科を勉強したいと思ったそうで、大学に入るときも精神科しか眼中になかったそう。そして、彼は50代の今でも、本気で患者を救いたいと思い奔走している人。

 

 「ねえねえ、1つ質問があるんだけど、精神科医として、なおかつ組織を束ねる側にあって、自分の(社会、医療、患者対する)無力さを感じる時ってあると思うの。そういう時に、あなたはどうやって、自分の体勢を立て直すの?」

と聞いてみた。

 

すると彼は、少し涙ぐみながら

「私個人は、精神科は、医者の中でも患者を救える確率がものすごく低い分野だと感じてる。助けたいと思っても助けられない事が多いし、怒られることはあっても、感謝されることは少ない。

 患者を治したい!患者を救いたい!と大きな夢や希望を持って精神科医になった人ほど、精神医療の現実を見た時の、失望の度合いが大きいと思う。それでも、私達精神科医は、一人でも多くの、通院を続けてくれる患者さん、良くなっていってくれる患者さんのほうを見て頑張るしかない。」

と答えてくれた。

 

私は彼の渾身の回答に、どう返事をしていいか分からず、

「そうですか、分かりました。ありがとうございます。」

とだけ言った。

 

 精神科は、精神科にに対する偏見からか、体の病気と違ってその深刻さが認知されにくいためか、自ら治療をやめてしまう患者も多い。そして、医師の支持をきかない、医師を信じない人も多い。怒鳴られることなんてザラだし、医師に暴力を振るう患者さえいる。だが、彼らは何も言えない。守秘義務があるし、道徳・倫理感があるから。耐えるしか無いのだ。

 そして、きっと、人間の闇の部分や、どうにもならない部分を見すぎて心が折れてしまう医師もいると思う。そして、そのような医師が事務的な診療をするようになるのも、私は責める気にはなれない。精神疾患、発達障害、人格障害の人達の相手ばかりしてたら、そりゃ心も折れるよ、と思えるからだ。仕方のないことだと。

 だが、まあ、そのような医師に自分の身を任せる気にもなれないというのも本音なので、難しいところだ。

 

 彼のように希望を捨てず、患者のために奔走している精神科医もいる。精神医療に関する、医師、心理士、患者家族を中心とした組織や団体も増えてきている。自治体も相談窓口を設け、市報や区報でも精神科が関係するDV、依存症、発達障害の勉強会の告知なども行われている。昔より様々なことが進んでいる。だけど、それらを拾うことのできる人達は、そんなに多くないのかもしれない。

 だとしても、患者を助けたいと涙ぐむおじさん医師がいることは覚えておいてほしい。私は彼の涙ぐんだ目が忘れられない。

 

 また、何を言ってるか分からなくなったらから、やめる。しかも薬のんだから頭がまわらない。気が向いたら、推敲するけど、向かなかった放置。精神科医のおじさんの言ってたことを忘れないうちにメモしたかっただけです。

 

おわり。

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