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誤解からバカにされ、失望され… 障がい者雇用の厳しい現実

『ろう者の祈り』(小社刊)にも登場する鈴木隆子さん。東京・久我山でテンダー手話&日本語教室を主宰。手話通訳士。日本語教師(日本語教育能力検定試験合格)。手話教室のほか、聞こえない人のための「手話で行う日本語講座」も開講。全国から受講者が集まる。(撮影/写真部・小原雄輝) http://tendershuwa.com/

『ろう者の祈り』(小社刊)にも登場する鈴木隆子さん。東京・久我山でテンダー手話&日本語教室を主宰。手話通訳士。日本語教師(日本語教育能力検定試験合格)。手話教室のほか、聞こえない人のための「手話で行う日本語講座」も開講。全国から受講者が集まる。(撮影/写真部・小原雄輝)
 http://tendershuwa.com/

 鈴木さんは、ある大企業で聴覚障がい者の日本語研修を頼まれたとき、この「丁寧な依頼」の話をしたことがある。「入力してくれるとうれしいんだけど」が丁寧な依頼だとわかったのは、16人中5人だった。

 日本語は、はっきり言わない言語なのである。

「裏の意味も察してほしいという言語です。聞こえる人たちはできるんです。こういう場合はこういう表現をするんだ、というのを。たくさん聞いていますから」

 しかし、日本語が母語でないと、あいまいな表現の理解は難しい。なのに、ろう者のみなさんは、聴者ばかりの職場で、第2言語である日本語がすこし変というだけでバカにされている。能力が低いと、見下されているのだ。

 2016年4月、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」が施行された。また、多くの自治体で、「手話言語条例」ができている。手話の普及をすすめることで、ろう者と聴者が共生する社会をめざすものである。

 でも、けれど、なのに。鈴木さんは、心のなかでこうつぶやく。

<社会は、なーーんにも変わっていない>

 そんな現実を、鈴木さんはまざまざと目にしてきた。


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