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「党内に敵なし」の安倍首相、それでも憲法改正は難しい〜田原総一朗インタビュー

共同通信社

自民党の総裁選(9月20日投開票)で、安倍晋三首相の再選が決まった。対立候補の石破茂氏はよく頑張ったと思う。党員票の45%にあたる181票を獲得したからだ。僕は150票とれば健闘だと思っていたので、大健闘だと思う。

ただ、国会議員は8割が安倍氏に投票した。問題は自民党の議員たちが、安倍氏と石破氏の議論を聞いて決めたのではなく、初めから結論があったことだ。結局、自民党の議員たちは「この国をどうするか」「この国のために何がいいのか」ではなく、自分にとって損か得かしか考えていないようにみえる。

議員たちはできるだけ早く、党の役員か大臣になりたい。となると、安倍首相に気に入られないとダメだ。そのため、みんながみんな、安倍首相のイエスマンになってしまっている。

僕が若いころは、自民党の主流派と反主流派の論争が非常にダイナミックだった。総理大臣が辞めるのは、野党との戦いに負けるのではなく、反主流派との論争で負けたからだった。岸信介、田中角栄、福田赳夫、大平正芳、宮澤喜一、みんなそうだ。

ところが選挙制度が変わって、党執行部の権力が強大になり、そのような自由な論争が自民党の中から消えてしまった。

この国の目の前には、大きな問題がたくさんある。たとえば、自由貿易から保護貿易に舵を切っているアメリカのトランプ大統領とどう付き合うのか。あるいは、アベノミクスの裏で進行する深刻な借金財政をどうするのか。少子化や異常気象の問題もある。

憲法改正の前に立ちはだかる国民投票の壁



安全保障の問題については、安倍政権は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更をおこなった。その点では、もう憲法改正をする必要がなくなったと言えるが、安倍首相は憲法改正に執念を燃やしている。

はたして、安倍首相は悲願の憲法改正を実現できるのか。

僕はたぶんできないのではないか、とみている。なぜなら、世論調査で国民は憲法改正に消極的な姿勢をみせているからだ。もし国民投票で反対票が多かったら、安倍内閣は崩壊する。いまの情勢では、国民投票を実施するのは難しいだろう。

今回の総裁選で、安倍首相の国会議員票は8割と圧倒的だったが、党員票は5割強と伸び悩んだ。イエスマンの議員は多いが、国民の支持は盤石というわけではない。国民投票に向けて不安が残る。やはり、憲法改正は難しいのではないか。

それどころか、来年の参院選で安倍政権は危機を迎える可能性もある。来年は景気が悪化することが懸念されているが、そんな中で消費税の増税をおこなえば、国民の反発は必至だ。もし野党の一本化が実現すれば、野党が勝つ可能性がある。そうなれば、安倍内閣が退陣に追い込まれるかもしれないのだ。

もう一つ、注目のポイントは、安倍首相の後継者が誰になるのかということだ。「ポスト安倍」問題。

安倍首相がしっかりした後継者を選べば、総理退任後も影響力を保つことができる。だから、安倍首相は総裁の任期満了のだいぶ前に辞めるのではないか、と僕はみている。

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