悟とモモンガ   作:ももちょこ
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書くのに行き詰まったら、これを最終回にして逃げようと思ってました


ifエンド
最終回 いつか訪れる結末


 

 

時刻は真夜中——

アインズ・ウール・ゴウン魔導国及びナザリック大墳墓内の執務室の中、モモンガは黙々と仕事をこなしていた。

十数年前に魔導国王の地位についてからはモモンガ自身の執務が増え、忙しい毎日を送っている。ただ、その多忙ながら平和な日々も、かつてのモモンガ達が掴み取ったものであり充実していた。

モモンガは持っていたペンを置き、過去に思い馳せる。

 

王国で冒険者としてスタートしたこと。リザードマンや亜人種の村々と同盟を結んだこと。

デミウルゴスが勝手に計画した作戦に振り回されたこと。ワーカーの侵入者を見逃したこと。帝国や聖王国、法国を属国にしたこと。

それ以外にも沢山のことをしてきた。

そして、それらの冒険の時には決まってモモンガの横にはある男が立っていた。

 

コンッ、コンッ、コンッ。

考え事をしていたモモンガの部屋にノックの音が響き渡る。

 

「入っていいぞ。」

 

モモンガの返事に車椅子に乗った男と、それを押す純白のドレスを着た女性が入ってくる。

モモンガの姿を見た車椅子の男は、笑いながら話しかける

 

「さっきまで横になっていたんだけど……。何となく眠れなくてさ。あまりに暇だから遊びに来てやった。」

 

「……ふふ。まったく、お前というやつは。いいだろう少し散歩でもしようか。アルベドもこんな時間に済まなかったな。」

 

モモンガに呼ばれた名前を呼ばれたアルベドは、優しげな微笑みを顔に浮かべ返答する。

 

「いえ、私も執務をしていた最中でしたので。悟様との御話はいい気分転換になりました。」

 

モモンガは立ち上がると車椅子に近寄る。

「そうか、私もちょうどお前達との思い出を振り返っていたことだ。アルベド、私が押そう……。お前も一緒に来るか?」

 

モモンガの問いにアルベドは優雅にお辞儀をする。

「嬉しい申し出ですが、まだ執務があるので……。それと悟様。夜更かしは体に毒です。散歩が終わったらお早めにお休みになられてくださいね。」

 

悟と呼ばれた男は、アルベドの忠告に苦笑いを浮かべる。

 

「まさか、アルベドに体の心配をされる日が来るなんてな。わかった、お前も休憩は取るんだぞ。さあ、押して行ってくれモモンガ。そうだな……第六階層に行こう。」

「よし、では冒険と行くか。」

 

執務室を出たのち、アルベドと分かれ指輪を使い通路を進んでいく。

 

 

 

実のところモモンガの分身「鈴木悟」の体は、謎の病魔に蝕まれていた。

それは数年前のある日ことだった。悟は自分の体の中に違和感を覚えた。

しかし、その違和感は一瞬で消えたため、その時はあまり深く考えることはなかった。

それが急に体に現れたのは、それから数か月後のことであった。

モモンガとの国を出ての冒険の最中に、唐突な発作に倒れてしまう。発作は収まったものの。それからは段々と筋力や魔力が衰えていき、現在では車いすが無くては動けないほどになっている。

 

モモンガの分身である悟は年を取らない。また、魔法や現代医療などを駆使しても何の病気かまったく特定することが出来ない。老化や病気でなければ一体何が——。

モモンガは死に近づいていく悟を救おうと、必死に治療法を探しているが進んでいない。

そして、治療法のないことを悟には言えないでいる。

 

 

 

 

通路を抜け、闘技場に出るといつもの匂い——自然の匂いがした。

思わず声をもらすモモンガ。

 

「これが自然の香りか。相変わらずここは変わらないな」

「ああ。」

 

二人が闘技場に着いた瞬間、自分たちの存在に気付いた、双子の階層守護者が自分達に向かって小走りで近づいてくる。

 

「いらっしゃいませ、モモンガ様、悟様。あたしの守護階層までようこそ!」

 

「いらっしゃいませ。モモンガ様、悟様。」

 

アウラとマーレ——第六階層の守護者であり双子のダークエルフである。

最初にあったときに比べ、現在はほんの少し背が伸びている。また服装に関しては相変わらず女装、男装をしていた。このことはいつか言うべきなんだろうなと悟は考えている。

双子の姿を見た悟とモモンガは挨拶をする。

「こんな時間で申し訳ないが、少し散歩に来たんだ。」

「悪いが悟の夜更かしに、付き合ってくれ。」

 

それにアウラはいたずらな笑みを浮かべて返す。

「もちろんですよ!夜更かしは子供の領分です。」

反対にマーレは落ち着いた声で話す

「もう、お姉ちゃん!悟様のお体に差し支えない程度にお相手させて頂きます。」

 

そして四人は最初にであったときと同じく、闘技場の端に腰を掛けて談笑する。

アウラとマーレの話に楽しそうに耳を傾けるモモンガと悟。

悟は車椅子に乗るようになって、ナザリックを出る機会がうんと減っていた。

そのため、よく外の世界の調査に行く二人の話は悟にとっても面白かった。

 

「ザリュースとクルシュの間にまた、子供が出来たんだ。」

「前はコキュートスが決めたから、今回は僕とお姉ちゃんに名前を決めて欲しいって頼まれたんです。」

 

アウラとマーレの話に苦笑する悟。

 

「本当にお盛んだな……。めでたいからいいけどさ、両手の数は超えたんじゃないか?まあ、重要なことだからゆっくり決めるといい。そういえば、カルネ村のニニャやツアレ、エンリはどうしている?元気か?」

 

「うん、すごい元気ですよ!」

「もう、そこら辺の冒険者では太刀打ちできないくらいです。」

 

その答えに悟だけでなくモモンガも驚く。

もともとゴブリンを従えたことで強くなったエンリに、更にニニャが加わったことで戦力が大幅に上昇していたのだ。

他にも、モモンガの知らないドキッとする情報があったものの話は盛り上がっていった。

ふと、モモンガ時計を見るとかなりの時間が進んでいた。

 

 

 

 

「そろそろ戻るぞ……。これ以上は、セバスやデミウルゴスに叱られる。」

 

「えっ!もう、そんな時間か……。分かった、また来るよ、アウラ、マーレ。」

 

名残惜しそうな悟に、アウラは右手とマーレは左手を掴みながら別れの言葉を告げる。

 

「絶対、絶対にまた来てくださいよ!約束ですからね!」

「僕とお姉ちゃんは、その、待ってますから。」

 

 

 

 

二人との別れを終えた悟は自室のベッドに横になる。

 

「二人とも大きくなったな……。」

 

「ああ、ぶくぶく茶釜さんやぺロロンチーノさんに似てきた。」

 

 

 

他愛無い会話が続いた中、ふと声を低めた悟がモモンガに問いかける。

 

「……俺は、いつまで持つか分からない。明日動かなくなっていたっておかしくない。」

 

「気づいていたのか……、病気のこと……。」

 

「原因が分からないことだろ?自分の体だ、それくらい分かる。今はまだ死ぬ気はない。精一杯生きていく。でも、もし、もしも何かあったら。その時は、後は……、後のことは、頼めるか?」

 

 

 

「……任せておけ。さあ、もう遅い、まだまだお前に死なれては困る。早く寝ろ。」

そう言いながら、部屋から出ていくモモンガ。

 

 

 

モモンガが出ていくところを確認した悟は、次に目覚めることを祈りながら目を瞑る。

「おやすみ……、モモンガ……。」

 

 

 

 







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