FBI、米最高裁判事候補の暴行疑惑を捜査へ 承認手続きは上院本会議に

Brett Kavanaugh and Christine Blasey Ford Image copyright Getty Images
Image caption 最高裁判事候補キャバノー判事(左)と、同判事による性的暴行被害を訴えるフォード教授が27日、上院司法委員会で証言した

ドナルド・トランプ米大統領は28日、連邦最高裁判事に指名したブレット・キャバノー高裁判事(53)の性的暴行疑惑を捜査するよう連邦捜査局(FBI)に指示した。判事の承認手続きを進めていた上院司法委員会で同日、与党・共和党の議員がFBI捜査を条件に、上院本会議での審議に賛成したため。この結果、上院本会議での議決は約1週間、延期されることになった。

トランプ大統領は、「キャバノー判事の身元調査結果を最新状態のものにするため、FBIに補足的捜査を命じた。上院が要請するように、この内容更新の対象は限定的なもので、1週間以内に完了させなくてはならない」と発表した。

キャバノー判事はこれを受けて、「これまでも求められることにはすべて応じてきた。今後も協力を続ける」と述べた。

大統領の発表に先立ち上院司法委は同日、キャバノー判事の承認手続きを本会議に送付するかを採決した。与党・共和党の議員11人全員が賛成し、野党・民主党の議員10人が反対したため、本会議での審議・採決が決まった。しかし、委員会採決に先立ち、共和党穏健派のジェフ・フレーク議員(アリゾナ州選出)が、FBIが暴行疑惑を捜査しないならば、自分は本会議で承認に反対票を投じると表明した。

司法委はこの採択後、FBIによる追加捜査の命令を大統領に要請すると明らかにした。トランプ氏はこれを受けて、捜査を指示した。

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「私が襲われたことなどどうでもいいと?」 上院議員を問いただす女性たち
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共和党議員の一石で判事承認が混乱 女性たちの抗議後

任期満了と共に上院を引退すると発表しているフレーク議員は、これまでもたびたびトランプ氏を批判してきた。それだけに、キャバノー判事に対する投票が注目されていたが、この日の採決前には承認に賛成すると発表。すると、委員会へエレベーターで向かおうとするフレーク議員に女性たちが立ち向かい、「(性的暴行された)私たちの言うことなど、どうでもいいというんですか」などと涙ながらに激しく訴える一幕があった。

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キャバノー判事に対しては少なくとも3人の女性が、性的暴行を受けたと主張している。その1人のクリスティーン・ブラジー・フォード教授(51)は27日、司法委公聴会で宣誓の上、36年前に酔ったキャバノー氏と友人に強姦されそうになったと証言した。これに対してキャバノー判事は同じ公聴会で、「自分は無実だ」と激しい口調で力説し、民主党がフォード教授を政治的に利用して自分や家族の名誉を傷つけたと非難した。

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「間違いありません」 性的暴行被害を証言したフォード教授

公聴会では複数の民主党議員がFBI捜査を要求し、キャバノー氏に対しても、潔白を証明するためなぜFBI捜査を求めないのか何度も問いかけた。民主党はさらにフォード教授の証言にもとづき、キャバノー氏と一緒に暴行に参加したとされる友人のマーク・ジャッジ氏を証人喚問するよう要求していた。

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「私は無実だ」 キャバノー判事と共和党、激しく反撃

ブッシュ政権の秘書官で、現在はワシントン(コロンビア特別区)の高裁判事を務めるキャバノー氏は、これまでにたびたびFBIの身辺調査を受けてきた。トランプ政権はそれを理由に、追加捜査は無用だとこれまで主張してきた。

それだけに、今回のトランプ氏による捜査命令は方針転換となる。追加捜査は、以前の身元調査より早い時期が対象となり、新たな証人の事情聴取も含まれる可能性がある。

暴行現場にいたとフォード教授に名指しされたジャッジ氏は司法委に弁護士を通じて手紙を送り、フォード教授が証言するような出来事は記憶にないと表明している。顧問のバーバラ・バンゲルダー弁護士は、「FBIを含め捜査機関がジャッジ氏の協力を要請するなら、ジャッジ氏はあらゆる質問にすべてお答えするつもりだ」と述べた。

フォード教授を担当するデブラ・キャッツ弁護士は、教授がFBI捜査を歓迎するものの、1週間という短い期限には首をかしげていると明らかにした。

「すべての関連事実を解明するには、徹底的なFBI捜査が不可欠だ(中略)捜査の期限や規模に恣意的な制限をかけるべきではない」とキャッツ弁護士は述べた。

なぜこれほど注目されるのか

最高裁判事の承認には、まず上院司法委員会が本会議に承認動議を送付するか採決した後、本会議(定員100)が投票する。過半数の賛成を獲得すれば、候補は終身の最高裁判事となる。

現在の上院は、51対49の僅差で共和党が多数党。仮に民主党議員が全員、キャバノー判事の承認に反対した場合、共和党から2人が反対に回れば、承認は否決される。50対50の場合は、上院議長のペンス副大統領が投票するため、承認は可決される見通し。

現在の最高裁判事はすでに保守派5人、リベラル4人で、保守派が優勢な構成になっている。最高裁判事の任期は終身なだけに、最高裁判事たちの政治的傾向が圧倒的に保守寄りになった場合、その判決はトランプ氏の任期満了後も長く米社会に影響を及ぼすことになる。

米国の最高裁は市民生活に重要な影響力を持つ。人工中絶、死刑制度、投票権、移民政策、政治資金、人種偏向のある警察の行動など、激しい賛否両論のある法律について最終判断を示すほか、連邦政府と州政府の争いごとや、死刑執行停止の請求などについても最終判断を示す。

米政界では11月6日に、連邦議会などの中間選挙が行われる。民主党が下院の過半数を奪還する可能性があるだけに、共和党は中間選挙の前に保守派判事を最高裁に送り込みたい構えだ。

(英語記事 Brett Kavanaugh: Trump's Supreme Court pick faces FBI inquiry

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