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 バスで泰山を抱える山東省泰安の街を後にした時だった。確か高鉄泰安駅を過ぎて少しばかり、さらに郊外の山間部に進みかけた頃合いだったと思う。

 道路の脇に火山の噴火のような巨大な黒煙が立ち上っているのを、バスの車窓から見つけた。バスが近づいていると、どうやら噴火などではなく、建設現場から吹き上がっているようだった。

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 もしかしたら特殊な作業などで煙が上がっているのでは、と希望的に考えてみたりもした。しかし脇の道路を走ると、大きな火の手があちこちで上がっているのが見えた。やはり火事だ。しかもかなり大規模である。

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 クレーンにも部分的に引火しているようだった。かなり大規模な火災に間違いない。

 ただし、消防車が止まり始めていて、道路は少し混んでいたものの、渋滞という程でもでもなく、バスはまもなく順調に進み始めた。おそらく火災が発生してから、それほど時間が経っていなかったのだろうと思われる。その割にかなりの火の手が上がっていたのは、やはり建設中の現場に引火しやすいものが置いてあって、一気に広がったのだろうと思ったりもした。

 
 以前から何度か記していることであるが、やはりトラブルやアクシデントなどがあった場合は、その被った不便の大きさに依らず、覚えているものだ。(参照タグの記事:旅のトラブルやアクシデントは記憶に残りやすい

 もちろんトラブルや事件などはないに越したことはないし、自ら飛び込んでいくわけではなく、なるべく避けようと思う。それでも出会うことは多いし、楽しかった記憶よりも残っていたりもする。しかも後に想い出す時には、当時の不愉快だったり怖かったり居たたまれなかったりした想いは薄れ、出来事だけが思い出として昇華していることが多い。人間の『忘れる』ことによる精神衛生上の自己防衛機能だろうとは思うのだが、つくづく人の記憶とは不思議なものである。

【写真】2014年8月
【文章】2018年9月

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