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滋賀ムクドリ被害に「タカ狩り作戦」 彦根の夢京橋キャッスルロード
国宝彦根城の南東側に位置する観光商店街「夢京橋キャッスルロード」が、昨年からムクドリの鳥獣被害に悩まされている。街路樹のケヤキを縄張りとしており、フン害や騒音などが深刻化。対策として期待されるのが、猛きん類のタカを使った駆除方法だ。同商店街で実施される「タカ狩り作戦」を追った。 「飲食店の並ぶ商店街への鳥のフンは、衛生面からも観光客にマイナスな印象を与える」。飲食店「近江や」を営む若林政宏社長(55)は指摘する。早朝に出勤する従業員にとって、店前の歩道のフン掃除が開店前の日課になった。若林社長は「こびり付いたフンはなかなか取れない。従業員の負担もそれだけ大きい」とやるせない表情だ。 夕暮れ時に押し寄せる数千羽のムクドリはここ一年で見慣れた景色となった。街路樹のケヤキを寝床とし、夜にもかかわらず、ギャーギャーと独特の鳴き声で大合唱。朝になると、フンと羽が道に散乱している。 飲食店だけでなく、住民からも不満が出ている。近くに住む六十代の主婦は「ムクドリの鳴き声はとても風流とは言えない。窓を開けるとうるさくて、夜も寝られない」と生活面での被害を語る。 彦根商店街連盟は、県内でも近江八幡市などでタカを使った駆除の実績がある大阪市のグリーンフィールドに依頼。ムクドリよりも強いタカを飛ばすことで、ムクドリに「危険な場所」と刷り込むことで、追い出すことにした。作戦は九月中旬にスタート。十月中旬まで十回ほどを予定している。
鷹匠(たかじょう)の佐藤稔さんは、ムクドリは、カラスが縄張りとする彦根城には怖くて行かず、その近くで高い木があるキャッスルロードを選んだとみている。 作戦を取材すると、午後五時半ごろ、ムクドリが南から同商店街近くの電線に集まり始めた。当初は百羽ほど。次々と群れが集まり、一斉に寝床となる木に向かっていった。空中に黒い物体が浮かんでいるように見えた。 佐藤さんが相棒のタカ「赤鬼(せき)」を放つと、大きな羽音を立てて狙いの木に着地。ムクドリは観念して飛び立ったかのように見えたが、南側の別の木に避難しただけで、再び戻ってきた。「これを何度も繰り返して、タカの縄張りだと印象づけるんです」と佐藤さんは地道に追い払いを続けた。佐藤さんによると、ムクドリの個体数は作戦開始当初と比べて減少。九月末には半減する見込みだ。 この日、作戦が終了した二時間後に、再び現地に行くと、どこからともなくムクドリが戻っていた。しばらく格闘は続きそうだ。 (大橋貴史)
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