まるで巨大な赤ん坊…中国人が北欧で起こした「外交問題級わがまま」

官製メディアも悪乗り扇動したが…
古畑 康雄 プロフィール

巨嬰心理から脱却を

高速鉄道の座席居座り事件と、スウェーデンでの事件、これらに共通するのは、社会のルールを自分の都合のいいように解釈し、「ゴネればなんとかなる」「わめけば得をする」というまさに「巨嬰」の心理なのだろう。

微信の評論では次のような指摘もあった。「高速鉄道での相次ぐ乗客トラブルは、個人の資質の問題ではなく、スウェーデンの警察のような現場で法律を執行する人がいなかったことが理由だ。ごろつきや無頼が横行する時、それは個人の資質の問題ではなく、社会のルールや法律が彼らにとって形だけのものになっているのだ。もし居座った男女の前に、体格ががっしりしたスウェーデンの警察が現れ、規則を守らなければそれ相応の措置を取ると言ったら、彼らは作り笑いをして自分たちの席に戻っただろう」

 

「巨嬰症」への最大の対策は、きちんとしたルールを示し、ゴネ得は効かないということを分からせ、ルールを強制的に守らせることだという指摘は、こうした問題が頻発する中では確かにその通りなのかもしれない。中国の鉄道当局がとった罰金や180日間の乗車禁止などの処分も、今後同様の事件の再発を防ぐために適切だと考える。

ネットでは、「高速鉄道に居座った2人が結婚して、スウェーデンに旅行するのが、ネット市民の最大の願い」といったきついジョークが流れたが、日本の新幹線やホテルではこのようなトラブルを起こしてほしくないものだ。

一度は沈静化するようにみえた今回のスウェーデンでの問題だが、同国のテレビ番組が事件を受け、『中国の観光客を歓迎しますが、路上で排泄をしないでください』と揶揄する内容を放送したことで、再びメディアや外交当局が猛烈に抗議するなど、しばらく余波が続きそうだ。

こうしたトラブルへどのような対応を取るべきか、中国人観光客が激増する日本の業界にも1つの警鐘となったと言えるだろう。

(本稿は筆者個人の見解であり、所属組織を代表するものではない)