第153話 獣人国の王都と逆鱗
新しい土地なので無駄に新キャラが多いです。
まあ、半分以上はこの章の使い捨てですけど。
《見えてきたみたいだな。あれが王都グランレオンか》
倉内と遭遇した次の日。
俺達は予定通りレガリア獣人国の王都『グランレオン』へとたどり着いた。
街の規模だけならカスタールの王都よりも大きいな。
そして、人口10数万人の内、9割5分以上が獣人だ(アルタ調べ)。
そして、織原が何故俺を王都に行かせたくなかったのかも予想できた。
尤も、これは王都が近づいてきた段階でマップから読み取れた情報ではあるが……。
《クロネコさんからの情報では、南門から入るのがお勧めって言っていたわよね》
《ええ。南門だけは
《そうだったな。まあ、このまま向かえば南門だから、特に問題はないか》
レガリア獣人国で最強クラスの実力者に与えられる称号『八臣獣』。
その第8席であるクロネコから、王都に関しても色々と情報を貰っていた。
俺達が女王に呼ばれてこの国に来るのは、非公開の情報ではない。
しかし、大々的に触れ回っているような話でもない。
あくまでも女王シャロンの個人的な歓待なのである。
故に全ての門で俺達への対応を十全に行える保証はない。
具体的に言うと、余計なトラブルが起きない保証が無い。
ただし、南門だけは俺達の情報をしっかりと伝え、準備を徹底させているそうだ。
そんな事を言われたら、南門から入るしかないではないか。
貴族以外のトラブルは基本的にウェルカムだが、自分から火種をまき散らすほどに飢えている訳ではない。巻き込まれたらラッキーくらいの気持ちである。
《なるほど、確かに準備が徹底されているな》
グランレオンには東西南北に門があるが、南門だけ通行者が誰もいないのである。
A:通行希望者はいますが、全員別の門に誘導されています。
つまり、南門はジーン様御一行専用通路になっていると言う事だ。
余計なトラブルは起きなそうだが、余計な恨みは買いそうである。
時間をかけた分だけ他者の負担になるので、さっさと街に入るべくギリギリまでブルー達を近づけて着陸した。
着陸後間もなく、南門から1人の男が近づいてきた。
キッチリと執事服を着こなした初老の狼獣人だ。
……なるほど、
「ようこそいらっしゃいました。貴方がジーン様ですね?」
「ああ、これがシャロン女王から頂いた書状だ」
執事に書状を手渡す。
「拝見させていただきます。……ありがとうございました。
老執事の本名はセイン・バース。
「ああ、よろしく頼む。それで、俺達はこれからどうすればいい?」
「ジーン様のお好きなように。女王陛下はジーン様との会談を最優先に置いております。ジーン様がお望みでしたら、今すぐにでも会談の席をご準備いたします。休みを入れたいのでしたら、お好きなだけお寛ぎください。当然、宿泊費はこちらで負担いたします」
観光しようと思えば、そのくらいの時間はくれると言う訳か。
正直に言えば観光したい気持ちはあるが、人を待たせてのんびり観光と言うのも落ち着かない。観光とは自由でなければならないのだ。ただし、観光地のマナーは守る。
「いや、待たせるのも悪いから、無理をしない範囲で出来るだけ早く会談をしたい。シャロン女王にもそう伝えてもらえるか?」
「そう言っていただけると助かります。実は、女王陛下は既に会談の準備を終えているのです。ジーン様が来るのをずっと心待ちにしていたご様子です」
「そ、そうか……」
あの言葉数の少なかったシャロン女王が、今か今かと待っている姿が想像できない。
「それでは、少々失礼いたします」
そう言ってセインは胸元から青い筒を取り出した。
「それは?」
「煙玉を飛ばす道具です。女王陛下にジーン様がすぐに向かうという合図をいたします」
セインが筒に付いていた紐を引っ張ると、青い煙がシュルシュルと上空に昇って行った。
「それでは、
「ん?どういう意味だ?」
ブルーに乗ったままのっしのっしと街中を歩くのか?
「こう言う意味でございます」
そう言うとセインは走り出し、10m以上ある南門を垂直に駆け上がった。
壁走り……だと……?
一言で言うなら、『ジジイ、駆け上がる』。
「
少し距離が離れたので、セインが大きな声で伝えてきた。
「両方とも色々と問題の多そうな移動方法だが、後で問題になったりしないのか!?」
こちらも大きな声で問い返す。
「問題ございません!少々はしたないですが、これが1番速そうですので、女王陛下からの許可は取ってあります!」
嘘ではなさそうだな。
それなら、世にも珍しい王都上空のフライトと洒落込もうか。
*普通許可が下りないから。
「じゃあブルー。もう1度頼む」
《まかせなさい。飛ぶわよ!》
再び
「では参ります!」
そう言ってセインが走り出したので、俺達も
まあ、王城なんて立派な建物。見間違えることも無いだろうけどな。
あの、街の中心で一番偉そうに立っている西洋風のお城だろ?
A:はい。
当然と言えば当然だが、街で一番偉そうな建物に一番偉い奴がいるモノである。
先を行くセインは、建物の屋根の上を軽快に走っていく。
屋根から屋根に飛び移る時も重さを感じさせない軽やかな跳躍を魅せてくれる。
一言で言うなら、『ジジイ、風になる』。
「やっぱり、『八臣獣』なんて偉そうな称号を名乗るなら、これくらいの事はやってくれないと困るよな。クロネコに瞬殺されて見せ場も無い奴が名乗っていい称号じゃないだろ」
ここまでの流れで予想できると思うが、セインは『八臣獣』の1人なのである。
流石に第何席かまでは分からないけどな。
A:第2席です。跳躍するセインを見て街の者が呟いていました。
ほぼ最強格じゃん。流石ジジイ。各種スキル・ステータスも高水準なだけはあるな。
尤も、先に見せた壁の垂直移動と屋根のジャンプは、純粋なスキル・ステータスによる所業ではない。簡単に言うとレアスキルの補助あっての事だ。
<
獣人専用スキル。地形を問わず、高速移動することが出来る。
見ての通り、セインは移動系のユニーク級スキルを持っているのである。
ある程度のステータスとある程度のレベルの<身体強化>、<跳躍>スキルがあれば似たようなことは出来るが、あそこまで軽やかに走れるかと言われると微妙なところだ。
後、良い年したジジイが屋根の上を飛び回る図はこれ以上ないくらいにシュールだ。
やろうと思えば俺も同じことが出来るが、絶対にやりたくはない。
能力的・実力的に可能かどうかと言う事と、実際に行動に移せるかどうかと言う事が、全く別の事だというのが良く分かる事例である。
それから10分程の飛行により、王城がかなり近づいてきた。
「王都が広いとは言っても、ブルーが飛べば中心部まであっという間だな」
《当然よ。今も下を走っているお爺さんに合わせて、ゆっくり飛んでいるんだからね?》
移動系スキルを使っているとは言え、地を走るジジイと飛行特化の
今までの移動に比べれば、ブルーは随分とゆっくり進んでいる。
ただ、王都を10分で半分(王城は街の中心)進めるジジイもそれはそれで凄い。
「分かっているよ。ブルーの本気はこんなもんじゃないよな」
《うん!》
本気のブルーなら1分かからずに端から端まで飛べるはずだ。
余談だが、『ワープ』ならば目視できれば1秒かからずに端から端まで跳べる。
これを言うと多分ブルーは泣く。
そんな話をしていると、先行しているセインが王城に到着した。
大きな西洋風の城の……外壁を壁走りで登っていくジジイ。
4階、5階に相当する高さにある、かなり広いバルコニーに着地すると、手を振ってこちらに合図をしてきた。
ブルー達に速度を落とさせ、セインのいるバルコニーへと着陸させる。
「騎竜達はここに残していいのか?」
「ええ、ここはクロネコの従魔、鳥の従魔用の飼育小屋がありますので、そちらの方に預けて頂ければと思います」
バルコニーの端には馬小屋っぽい建物があり、その中に何匹もの魔物が入れられている。
以前会った『八臣獣』のクロネコは<魔物調教>のスキルを持っており、連絡や移動の為に使っていると言っていたな。
このバルコニーはその発着場でもあると言う事か。
「また後でな」
《ええ。ゆっくり楽しんできてね》
ブルーに挨拶をして城のメイドに手綱を任せる。
飼育小屋の中にはそれなりに大型の鳥魔物もいるようで、ブルー達3匹(竜形態なので)が入っても余裕がありそうだ。
ブルー達と別れた俺達は、早速城に入り女王シャロンの元を訪れることにした。
……が、それを実行することは出来なかった。
「テメエがジーンだな?俺様は『八臣獣』の第1席。『王獣』のレオパルドだ。悪いが、今から俺様と
そう言って俺達の前に立ちはだかったのは、身長2mを越える巨大な
しかも、レオパルドの後ろには2人の男獣人と1人の女獣人がいる。コイツ等は『八臣獣』の4位、5位、6位だそうだ。またまた『八臣獣』かよ……。
レガリア獣人国最強の8人らしいけど、この国に来てから『八臣獣』
一般人よりもエンカウント率が高いし、この空間の『八臣獣』率に至っては50%である。
「レオパルド様、女王陛下からジーン様への手出しは禁止されております」
俺を庇うようにセインがレオパルドの前に立ちはだかった。
「違えよ、シャロンはジーンに無礼を働くなって言ったんだ。お互い、合意の上で軽く模擬戦をするくらい、問題にはなんねえだろ?」
獲物を見る様な目でニタリと笑うレオパルド。
どう見ても、軽い模擬戦で済みそうにはありませんね。
「ええ、ええ。その通りですとも。むしろ、女王陛下に実力を見込まれてこの国にやって来た逸材。その実力を見ない事の方が無礼に当たります」
「そーだぜー。レガリア獣人国の歓迎の挨拶って事だー」
「
4位のハイエナ獣人の男。5位のゴリラ獣人の男。6位のハムスター獣人の女がそれぞれ追従する。
………………ハムスター獣人!?
あまりにも予想外な種族に対してツッコミが遅れてしまった。
よくその種族で『八臣獣』になれたね。凄いよ。
「少々、恣意的な解釈が過ぎるのではありませんか?」
「……ちっ、うるせえな。お前は俺様に命令できる立場じゃねえだろうが。分ってんのか?」
セインが諫めるように言うが、レポパルドは苛立たし気に言い返しただけで、引く気は一切見られない。
ちなみに、レオパルドは称号から察するに王家の一員のようだ。
スキル・ステータス的にもかなり強く、『八臣獣』のトップと言うのも……まあ、ギリギリ納得できる強さである。実はセインの方が強そうなのは秘密だ。
と言うか、そもそも何でこいつは俺に戦いを挑んで来たんだ?
一体何の意味がある?
A:まず、レオパルドは王位を狙っています。いずれクーデターを起こすつもりです。
裏切り者!
A:その前段階の根回しとして、シャロンの権威を落とそうと画策しています。マスターはその実力を見込まれてシャロンに呼ばれました。そのマスターを完膚なきまでに叩きのめすことで、シャロンに見る目が無いと周知するつもりです。
計画が迂遠!
A:レオパルドの後ろにいるのは、レオパルド派と呼ばれている者達で、レオパルドの方がこの国の王に相応しいと推薦している派閥です。
権力争い!
あれれー?
脳筋が多い国って聞いていたけど、小賢しい真似をしている奴がいるぞ?
素直にいい迷惑です。
「確かに
「しつこい!俺様は王族だぞ!その俺様が良いって言ったら良いんだよ!」
一向に引かないセインをレオパルドが怒鳴りつける。
はい。これで、レオパルドは身分を笠に着て非合理を押し付けようとする、大嫌いなタイプの貴族に分類されました。
……身分の上に戦闘力もあるから、特に
レオパルドはそれなりに面白いレアスキルを持っているから、多少の興味があったんだけど、大嫌いな貴族に分類された以上、その興味はほぼ消滅した。
「セイン殿、俺に彼の相手をする義務はあるのか?」
「いいえ、ありません。レオパルド様の行動は女王陛下の命に背いておりますから。それに、例え女王陛下の命であろうとも、他国の騎士であるジーン様に従う義務はありません」
俺が尋ねるとセインは首を横に振ってこたえた。
良かった。セインはマトモな感覚の持ち主のようだ。
「なら、問答するだけ時間の無駄だ。早くシャロン女王の元へ向かおう」
「ええ、その通りです。そういたしましょう。レオパルド様、これで失礼いたします」
セインもレオパルドの相手をするのには辟易としていたようで頷いた。
「おい、テメエ逃げるのか!?」
俺達がレオパルドの横を素通りしようとすると、今度は直接俺に噛みついてきた。
逃げる……。逃げる、ね……。
「下らない権力争いに俺を巻き込むな。後、正当性のない主張を退けることを『逃げる』とは言わない」
俺が『権力争い』と言ったところで、レオパルド達の纏う空気が変わる。
何故、今この国に来たばかりの俺がそれを知っているのか、という疑問だろう。
「てめえ、何を知ってやがる……」
「1つ助言をしてやる。どうせ上を目指すなら、相手を落とすことを考えるのではなく、自分を上げることを考えた方が建設的だぞ。後の為にもなる」
「そうか!てめえはどうやら、知っちゃならねえ事を知っているようだ!いよいよ、逃がす訳には行かねえな!」
レオパルドから殺気が漏れてくる。
レオパルド的には口封じすら必要な内容だったらしい。
次の瞬間、レオパルドの殺気を塗りつぶす程の殺気がレオパルドのいる通路の奥から発せられる。
「こ、これは、まさか……!」
「ば、馬鹿な……!?何でここに……」
セインにも、レオパルドにもこの殺気の心当たりがあるようだ。
ちなみに俺はマップで知っている。
「ねえ、レオパルド。君は一体何をしているのかな?」
殺気を漲らせながら通路をゆっくりと歩いてきたのは、純白のドレスで着飾ったシャロンだった。
首脳会議の時と口調が違うのは、
「僕は言ったよね?ジーン様に無礼な事をするなって。滅多に使わない王令まで使ってさ。……別に僕は君達に慕われているなんて己惚れた事を言うつもりはないよ。でもさ、王令くらいは守ろうよ。何のための王位か分からないじゃないか」
口調は冷静だが、その殺気は治まることが無い。
実はバルコニーにはクロネコがこっそり隠れていたのだ。
レオパルドが俺に絡んだのを見て、大急ぎでシャロンに報告しに行ったのを知っている。
「ま……待て……。これには理由が……」
「折角、ようやく僕達の2つの願いが叶いそうなのに、どうして態々ジーン様からの評価を下げる様な事をするかな?」
レオパルドの弁明を聞かず、シャロンは歩みを進める。
ある程度進むと、今度は俺の方を見た。
「ジーン様、ようこそいらっしゃいました。心より歓迎いたします。そして、僕の部下が大変な無礼を働きましたことを、心からお詫び申し上げます」
そう言ってシャロンは人目を憚らず大きく頭を下げた。
部下の勝手を許したのは減点だが、公の場でもしっかりと謝れる点は高評価だ。
普通に考えて、一国の王が他国の貴族(一応、騎士です)に、公の場で頭を下げるというのは難しく、簡単に出来ることではないからな。
「いえ、大事になる前でしたから、大して気にしていませんよ」
数日ぶりの敬語です。
ギリギリ実害が無かったので、シャロンを許すことは問題が無い。
「お詫びはまた後で改めていたします。大変申し訳ございませんが、今は先に会談のために用意した部屋に向かっていただけないでしょうか?」
「シャロン女王陛下は行かないのですか?」
「ええ、それ程長くはかかりませんので、少々お待ちいただければと思います」
ああ、レオパルド達の制裁をするのか。
実はまだシャロンの殺気は治まっていないんだよね。
「分かりました。それでは、先に行かせていただきます」
「ジーン様、こちらでございます」
俺達は今度こそセインに先導されてバルコニーを去った。
―――3人称視点―――
ジーン達が通路を進み、見えなくなった辺りで再びシャロンはレオパルド達に向き合う。
「さて、レオパルド。君には王命に背いた。つまり、国家反逆罪の容疑が掛かっている。釈明があるのなら聞くよ?」
シャロンは殺気を漲らせたまま、レオパルドに問いかける。
「ま、待ってくれ!俺様はジーンに……グボッ!?」
レオパルドは一瞬で距離を詰めたシャロンに腹パンされ、その場に崩れ落ちる。
「ジーン
「ぐっ……。ジーン、……様に無礼を働くつもりはなかった。シャロンが呼ぶ程の実力者だ。つい気になって模擬戦を挑んだだけだ。両者の合意がとれていれば、無礼じゃねえだろ?」
蹲りながら釈明を続けるレオパルド。その姿に威厳はない。
「そっか……。『無礼な事をするな』なんて命令だと、そんな風に勝手な解釈をされるんだ……。うん、勉強になったよ。最初から、『近づくな、関わるな』と命令をすべきだったんだね。本当にがっかりだ……」
心底がっかりしたように呟くシャロン。
「ファロンには悪いけど、コイツは救いようがないね。……レオパルド、君を国家反逆罪の罪で拘束する。もちろん、『八臣獣』の任も解かせてもらうよ」
「な!?ふざけんなよ!分家筋の分際で前王の孫である俺様に命令するんじゃねえ!」
レオパルドが吠えるように反論するが、実はその地位に価値はない。
レガリア獣人国において、王の座は単純な世襲制ではない。
前王が崩御した際、王家の血統の者が武を競い、最も優れている者が新王となる。
故に、前王の直系であることは意味を為さない。
シャロンは前王が崩御した3年前、僅か12歳で武道会に勝利して王となった。
その際、決勝で戦ったのがレオパルド(当時22歳)だった。
その時点では実力に大きな差が無かった。
僅かな差でシャロンが勝利を収めた為、レオパルドも自分の方が王に相応しいと考えて譲らないのである。
「そんな意味のない過去の栄光。言って虚しくなったりはしないのかい?」
「俺様を馬鹿にするんじゃねえ!」
シャロンが嘲笑すると、プライドの高いレオパルドは沸点を越えた。
武道会で自分に勝った相手であるはずなのに、レオパルドは今もシャロンを下に見続けており、シャロンに馬鹿にされることだけは絶対に許せないそうだ。
「もうまどろっこしい事はヤメだ!この場でシャロンをぶん殴り、ぶち殺し、俺様の方が強い事を証明してやる!」
「駄目です!駄目です!レオパルド様、短気を起こしてはなりません!」
「うるせえ!お前らも手伝え!!!」
レオパルドの部下であるハイエナ獣人の男がレオパルドを止めようとするが、一度沸点を越えたレオパルドは止まらない。
「これは、これは……。仕方ありません。2人共、レオパルド様を援護いたしますよ」
「ま、マジかよ……」
「マジ
こうして、シャロンVS『八臣獣』4人の戦いが始まろうとしていた。
正確にはシャロン側にも2人『八臣獣』がいるのだが……。
「メルシー、クロネコ。手を出さないでね。僕のストレス発散も兼ねているから」
「分かりました」
「御意」
今まで会話には参加していなかったが、レオパルドの暴走を知った際、報告してきたクロネコと側近であるメルシーもシャロンに付いて来たのである。
メルシーはシャロンの秘書兼護衛の羊獣人女性であり、首脳会議にもお供していた。
特に防御に関する技術は群を抜いており、持ち前の頭脳もあり、『文武共に
クロネコはシャロンに忠誠を誓う諜報員。つまり、シャロンの目であり耳でもある。
諜報員とは言っても『八臣獣』である以上、戦闘能力が低いということはない。尤も、1対1の戦闘よりは、何でもありの乱戦の方が得意ではあるようだが。
『八臣獣』としての序列は、メルシーは『第3席』、シャロンは『第8席』である。
『第1席』、『第4席』、『第5席』、『第6席』を同時に相手にするには少々不足にすら感じるが、シャロンは手助け不要と言い切った。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
レオパルドが発動したのはスキル<神獣化>である。
その身を獣に近づけ、身体能力を大幅に上昇させる超レアスキルである。
<獣化>とは比べ物にならない程にレアなスキルとは言え、所有している者が他にもいるので、完全な
<神獣化>により、レオパルドの姿が黄金に輝く獅子となった。
<獣化>、<神獣化>は獣への近づけ方を調整できるのだが、レオパルドは100%完全な獅子へと姿を変えていた。
「まだだああああああああああああああ!!!」
更にレオパルドはユニークスキルである<
単体で十分に強力な<神獣化>。そして、<神獣化>と併用できる<
なお、この併用はシャロンと武道会で戦った当時は使えなかった。故に今では自分の方が強いと考え、シャロンを下に見ている部分があることも追記しておく。
「おめえら!いくぞおおおおおおおお!!!」
「ええ、ええ!レオパルド様に続きますよ!」
ハイエナ獣人のユニークスキルは<
「こうなりゃ、やるっきゃねえ!」
ゴリラ獣人のユニークスキルは<
「
ハムスター獣人のユニークスキルは<
それぞれがユニークスキル、レアスキルを全開にしてシャロンへと襲い掛かる。
「『硬拳乱舞』!!!」
「ぐわああああああああああああああ!!!」×4
レオパルドを含め、4人の『八臣獣』は倒れた。
シャロンの白いドレスは返り血どころか埃の汚れすらなかったという。
強キャラを使い捨てにするのは楽しい(歪)。
前回の後書きの反響から、プロフィールを考えておきました。
名前:進堂
性別:女
年齢:13
種族:人間
備考:仁の妹。良くも悪くも普通の少女。具体的にはテストの点数がいつも全教科平均点ジャストとなる。当然のように実妹ではなく血の繋がらない妹。元の世界に残したはずなのに、仁が一切心配していない理由は……。
登場(未定)人物紹介は新しすぎるかもしれませんね。
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