皆さまこんにちは、新・ぜんそく力な日常という実話をもとにした絵日記ブログを運営している、碧乃あか男と申します。
よろしくお願いします。
さて今回は、こちらのお金借りるトリセツ様にて、お金にまつわるエピソードを紹介したいと思います。
それは今から20年前の事です。
僕が勤める会社のS君という、当時19歳の若手社員が突然会社を退職しました。
S君は、年上の先輩や上司に対して、馴れ馴れしく生意気なところはありましたが、仕事に対してはとても真面目で、若手が少ないウチの会社で、将来を有望視されていました。
上司のMさんからの急な仕事でも快く引き受けるS君。
しかしS君は、会社を辞める数ヶ月前のある日を境に勤務態度がガラリと変わり、遅刻や無断欠勤はするし、仕事中も無気力になり、今までとはまったくの別人になってしまいました。
上司のMさんに対してもこんな態度でいました。
そのあまりの変わりように、僕も含め周りの社員達も何があったのか、とても気にしていました。
しかしそんなS君でしたが……。
上司であるMさんにすら何も伝えずに、前月の末にひっそりと会社を辞めていったそうです。
Mさんにすら一言の挨拶もなしに辞めるなんて……。
ご自分の息子以上に歳が離れていたS君を可愛がっていたMさんも、かなりガッカリしていました。
僕はMさんに「しかしS君、なんでああなっちゃったんですかね……」と言うと。
なんとS君が変わってしまった理由を教えてくれたのです!
Mさんの話では……
数ヶ月前の給料日に、S君の給料明細書が、誰かの明細書と間違われて入っていたそうです。
しかもそれが、勤続手当がまだ付かない新人の明細書だったとか!
そしてその明細書に記されていた金額が、自分の給料より高かった事にショックを受けたそうです。
S君はすぐに社長に詰め寄り、説明を求めたのですが……
社長からは納得がのいく説明が聞けなかったらしく、それでやる気をなくし、勤務態度が変わってしまったそうです。
実はS君、年齢こそまだ19歳ですが、中学卒業後にウチの会社に入ったので、この年に入った高卒の新人とは、同い年でもキャリアは先輩だったのです。
MさんはS君からその事を相談されたので訳を知っていたのです。
そしてS君の気持ちを理解して、あんな酷い態度でも、あまり言えなかったそうです。
これがS君が変わってしまった訳か……。
僕はこの話を聞いて、大変な事を思い出したんです!
それは……
S君が見た新人の給料明細書というのは……僕の給料明細書だったんです!
S君の給料明細書が間違われていた同じ日、僕の給料明細書も違っていたんです!
この時に入っていた給料明細書は、基本給が僕よりも15000円ぐらい低く、勤続手当が3000円ほど付いていて、手取りでも10000円程低くなっていました。
給料自体は銀行振り込みで金額は問題なかったので、明細書が違っている事を会社に報告し、自分の明細書を新たにもらい、それで事を済ましていました。
しかしS君はそうはいかなかった……。
実は僕はS君より7歳年上で、この年の夏に中途採用でこの会社に入社した “新人” だったんです。
会社のキャリア的には “新人” なんですが、年齢やこれまでの経験を考慮してくれて、基本給がS君より少し高かったんです。
しかしS君は、勤続手当が付かない=高卒の新人だと思い、自分の給料が低い事に不貞腐れてしまったのでした。
S君がおかしくなった原因が僕の給料明細書だったとは……。
この事実を知って、僕自身は悪くはないのに、なぜか少しショックを受けてしまいました。
もとを正せば、会社が給料明細書を間違えなければこんな事にならなかったんですけどね。
明細書1枚で社員のやる気も大きく変わるんですね。
あれから20年経ちましたが、S君は今、何をやっているのかな?