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「この沖縄県知事選で世論調査はあてにならない。これは常識だ」ーー。取材にあたっている地元紙、全国紙の記者は口をそろえて言う。より正確に言えば記者だけではない。急逝した翁長雄志氏の後継候補・玉城デニー、政権与党が推す佐喜真淳両陣営からも同じ言葉が聞かれる。なぜ、世論調査はあてにならないのか?
9月24日、投票日まで1週間を切った月曜日の朝刊を広げる。地元紙「琉球新報」「沖縄タイムス」はそれぞれ、全国紙や通信社、テレビ局と組んだ世論調査に基づく記事を一面から大展開した。
琉球新報は「玉城、佐喜真氏が互角」。タイムスは「玉城氏先行 佐喜真氏追う」だった。ところが、である。実は両紙の数字はほとんど同じような結果だったのだ。
なぜ「先行」「互角」と判断がわかれるのか。
そこを読み解くにはまず沖縄特有の選挙事情を知る必要がある。
本題に入る前に、世論調査にまつわる話で必ず出てくる指摘に回答しておこう。そもそも電話による世論調査そのものが正確ではない、というものだ。
「国政選挙の世論調査と比較しても、支持政党の比率や重視する政策といった数字は大きく変わっていません。国政の選挙区情勢は概ね正確に予測できていることを考えると、調査そのものは問題ない」(地元紙記者)
これを踏まえて、地元紙記者の解説を聞いていこう。
「佐喜真陣営は自民・公明の動員がすごい。これまでの知事選にないレベルで人もカネもつぎ込んでいる。前回の知事選で翁長さんは36万票を獲得して、現職の仲井真(弘多)さんに10万票差をつけた。実は公明票は割れていて、翁長さんに3割以上流れたとされています。今回は引き締めを図るでしょう」
さらに前回知事選で7万票を獲得した下地幹郎氏は、維新の国会議員として佐喜真氏をバックアップする。
「机上の足し算なら、追い風は自公に吹いている。本気の自民、本気の公明の組織力はすごいものがある。それなのに数字は玉城氏側に強く出る。読めないという最大の理由です」
「玉城氏先行」と書けるくらいのデータはあるが、実際の取材を加味すると政権与党の組織力を目の当たりにする。そして自民・公明の選対関係者は自信たっぷりに「巻き返せる」と語っている。
「いま沖縄のメディアは世論調査への自信を失っている」