【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは28日、外部によるハッキングにより最大5000万人分のユーザーアカウントが「乗っ取り」に遭う恐れがあると発表した。具体的な被害が出ているかは調査中としている。同社は3月にも最大8700万人分の個人情報の流出が発覚したばかり。プライバシー保護の規制が世界で強まる中で、新たな火種を抱え込んだ。
プライバシー設定の一部機能に脆弱性があり、そこをハッカーに攻撃されたという。その結果、フェイスブックの交流サイト(SNS)内で第三者がユーザーアカウントを乗っ取るリスクが高まった。メッセージを第三者に読まれたり、SNS上に勝手になりすましの投稿をされたりする可能性がある。ユーザーのパスワードやクレジットカード情報が取られるリスクはないという。
問題は25日に同社の中で発覚し、26日に米連邦捜査局(FBI)に通報した。その上で27日にソフトウエアに対応のための手当てを施した。脆弱性が見つかった「Veiw As」と呼ばれる他者から見た自分のページの外観を調べる機能は、当分の間使えないようにする。
万が一被害を受けるかもしれない人も含め、最大9000万人が同社のアカウントに再ログインする必要がある。被害を受けうるユーザーの地域別の所在は分かっていない。
同社によるとハッカーが名前や性別、住んでいる町といったユーザーの基本情報にアクセスしようとしたことは把握済み。ただ、実際にアカウントが不正に使われたかは「現時点では分からない」としている。誰が背後にいるかなどハッカーの詳細も調査中とした。
28日に緊急の電話記者会見を開いたマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「この問題を非常に重くとらえている」と説明。同社が進めるプライバシー強化策に対し、第三者が対抗して情報を奪おうとする「競争」が起きているとの懸念を示した。
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