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【社会】

タンク水75万トン基準超 福島第一、放射性物質を再浄化へ

 東京電力は二十八日、福島第一原発のタンクで保管している汚染浄化後の水について、八割以上に当たる七十五万トンに、トリチウム以外の放射性物質が法令の排出基準を超えて残っているとする調査結果を明らかにした。海洋放出など処分する場合は再浄化する方針。十月一日、水の処分について検討している政府の有識者会議で表明する。 (宮尾幹成)

 福島第一で発生する汚染水は、放射性セシウムやストロンチウムなど大半の放射性物質を多核種除去設備(ALPS(アルプス))で浄化処理している。東電は、水から分離が難しいトリチウム以外は、除去できているとしてきた。

 調査結果によると、八月上旬の時点で八十九万トンの処理済み水を保管し、そのうち七十五万トンはトリチウム以外の放射性物質が浄化しきれず、基準を超えて含まれていた。十六万一千トンは基準の十~百倍、六万五千トンは基準の百倍以上だった。

 処理済み水を巡っては、政府の有識者会議が八月末、処分について国民の意見を聞く公聴会を開催。その直前、トリチウム以外の放射性物質も基準を上回るレベルで残っていることが判明し、公聴会では「議論の前提が崩れた」と批判が噴出。ほとんどの参加者が海洋放出に反対した。

 政府と東電は海洋放出を有力視しており、放射性物質の総量を下げる再浄化を打ち出すことで、国民の抵抗感を和らげる狙いが透けて見える。東電は「海洋放出を前提とはしていない」(松本純一廃炉推進室長)と説明した。

<トリチウム(三重水素)> 放射能を帯びた水素で、酸素と結合してトリチウム水になる。普通の水と分離するのは難しい。放射線(ベータ線)は比較的弱く、人体に入っても大部分は排出される。放射能は12.3年で半減する。

(東京新聞)

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