Arise in Stability
メンバー : (L to R : Suguru(Dr) Masayoshi(Gt) Housuke(Vo) Yusuke(Gt) Kodai(Ba) )
Twitter : https://twitter.com/ais_official
Facebook : https://www.facebook.com/AriseinStability/
ここ日本においても、今や市民権を獲得したテックメタルシーン。日本での先駆けとなったバンドは一体誰だったんだろうか?
改めてその歴史を紐解くと、一つのバンドが浮上してくる。それが、今回ご紹介する横浜のArise in Stabilityだ。メタルコア・ニュースクールハードコアをベースにしつつ、オールドスクールなプログレッシブロックからDjentなどのモダンなテックメタルの影響すら感じさせる彼らの楽曲は、シーンの進化と同時にリアルタイムでブラッシュアップされている。
今回、TOPPA!!編集部は、今年で結成13周年を迎える彼らに対し、結成から現在に至るまでの経緯や、現メンバー体制に至るきっかけ、機材のこだわりなど、余すところなく彼らの魅力を追求した。
取材・文・編集 / 宮久保 仁貴 photo by Jun Tsuneda(hôzvki)
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-Arise in Stability様の活動歴は長きに渡りますが、
改めて、結成から現在に到るまでの経歴を教えて頂けますでしょうか?
Masayoshi(Gt) : 結成は2004年になりまして、結成時のメンバーは今では僕しかいない状態です。元々い軽音という大学のバンドサークルの人間を中心に結成しました。2004年にVoが抜けて、メンバー募集をしている中、翌年2005年にHousuke(Vo)が加入しました。当時スタジオに張り紙を貼ってメンバー募集をしていたんですが、たまたま個人練に入っていたHousukeがそれを見つけて応募したのが加入のきっかけでした。
2006年には最初のデモを出し、2008年にはSuguru(Dr)も加入してメンバーも固定し、ある意味今のバンド体制の原型が出来上がった年になりました。この頃から、曲が急激に複雑になりだしました。後にMVにもなった「Creation of Ruin」が出来たのはこの頃です。
その後、2011年に1stアルバム『The future that amnesiac draws~記憶喪失者の描く未来~』をリリースしましたが、2014年には前任GtのGenki、2015年には前任BaのHiroshiが続いて脱退しました。
そんな中、同年に現BaのKodaiが加入し、ANGAGEMENTとThe Rabiesとsplit EP『The Heretic’s Proof』をリリースしました。
その後リリースツアー中にGenkiの後任だったGtのTatsuyaが脱退しましたが、2016年4月には後任GtとしてGIT masters 2015の優勝者で知られるYusukeが加入、現在に至ります。
–僕個人がArise in Stabilityの事を知ったのが、2011年になるんですが、改めて考えると本当に歴史の長いバンドですね!
Masayoshi : 2004年結成なので、今年で、もう結成13周年ですね。まあ、メンバーも固定せず思うように活動できない時期も何年かありましたが。
-KodaiさんとYusukeさんの加入の経緯をお聞きしても宜しいでしょうか?
Masayoshi : Kodaiの加入については、前任BaのHiroshiが抜けた際、GraupelのYuuから推薦されました。在学期間は被っていないんですが、Yuuはい軽音の遠い後輩になりまして、ふとした機会に、「い軽音で上手い人いない?」と彼に聞いてみると、Kodaiを紹介されました。
実はKodaiは加入前からちょこちょこArise in Stabilityのライブに遊びに来てくれていたので、顔は覚えていたんですよね。ただ、当時ベース歴が2年半だと聞いたので、「大丈夫かな?」と思ったんですが、いざスタジオに入ってみるとむしろ前任者より上手いんじゃないかというところもあったので、メンバー一同、彼を迎え入れました。
Yusukeに関しては、前任GtのTatsuyaが相当上手いギタリストだったので、「彼に続く人間がいるんだろうか?」と、悩んでいました。その時、元々はうちらのお客さんで、今はアー写やプレイスルー映像を撮ってくれている常田君(hôzvki)から「去年のGIT Mastersの優勝者を紹介しましょうか?」と言われまして。僕は最初、「そんな高レベルの人が入ってくれないでしょ?」と言ったんですが、彼曰く「Arise in Stabilityの曲聴かせたら、非常に興味持ってましたよ。」とのことで。そこから、Yusukeとコンタクトを取って、「中々バンド活動は地道な活動多く、ギャップとかも色々ありますよ。」と、普通の人なら絶対嫌がるような長文を彼に送ったんですが、「やります。」と返って来ました。
そこでスタジオに入ったところ、Kodaiと同じくバッチリニュアンスが合い、Yusukeの加入が決まりました。彼は自分達が持っていない音楽的要素を沢山持っていて、加入当時から僕達の音楽性に多大な影響を与えてくれています。
脱退したメンバーにもスポットを当てますと、2013年に脱退したGtのGenkiはい軽音の同輩でして、1stアルバムは作曲面に置いて、僕と彼の2人で詰めた作品になります。
また、2016年に脱退したGtのTatsuyaも元々高校時代にArise in Stabilityのコピーバンドをするほどのファンだったみたいです。
Kodaiも元々は僕たちのファンだったので、最近のメンバーの加入に関しては、僕たちが種まきしたものが戻って来た感触があります。
Kodai : 僕とMasayoshiさんで干支ひとまわりしてますもんね(笑)。
Masayoshi :い軽音繋がりで行くと、このサークルのOBにbilo’uのVoのShinichiとBaのKozu、Arbusの下手Gtの藤田 亮介がいます。
Shinichiのbilo’uの加入は、僕が彼らに勧めたのがきっかけですね。
藤田のArbusの加入の件については、「京都のArbusってヤバいバンドと今度対バンするから、お前も見に来い!」と藤田をライブに誘ったのがきっかけです。
そして、これらのOBバンドの話を聞いて、GraupelのYuuはい軽音に入るために上京したと言っていました。そもそも、彼は北海道の函館出身で、高校生の時にArise in Stabilityが出演した函館のイベントを企画してくれた過去があったんです。そして、気がついたら、Yuuがい軽音の後輩になっていて、そのつながりでKodaiが加入して……思い返せば、このバンドは人の縁に助けられていますね。
–約13年という、バンドとして非常に長い歴史がありますが、改めてバンドとしての音楽的ルーツを教えて下さい。
Masayoshi : バンドとしてのルーツは、DREAM THEATER、BETWEEN THE BURIED AND ME、KING CRIMSON、MESHUGGAH、NOTⅡBELIKESOMEONE、そしてSIAM SHADEといった感じです。このバンドは始めた時は、こんなに複雑になるとは思っていませんでした(笑)。
僕は元々ただの速弾きメタラーだったのですが、ハードコアに傾倒したきっかけが、い軽音の先輩後輩がやっているバンドの企画だったんです。今は無き渋谷GIG-ANTICにnervous light of sunday、Crystal Lake 、NOT II BELIKESOMEONEなどが出演していて、彼らのライブを見て非常に衝撃を受けたんです。そこから国内のニュースクールハードコアにハマっていったのですが、特に京都のNOT II BELIKESOMEONEとfireflyからは「同じ展開を繰り返さずにいかにドラマをつくるか」という点で多大な影響を受けています。
そして、ポリリズムパートは、完全にKING CRIMSONですね。ちなみに1stアルバムに収録されている『If Jamie’s Chinese Gong Falls on Your Foot, You Must Rush To Tibet Before It Turns Crimson』という曲は、KING CRIMSONへのオマージュなんです。KING CRIMSONが『太陽と戦慄』をリリースした際に在籍していたJamie Muirというパーカッショニストがいるんですが、ある日スタジオでドラを叩いたら足元に落ちてきて「痛えー!!」って叫んでそのままスタジオを飛び出したまま失踪しバンドを脱退、翌年彼がチベットで見つかるという逸話があり、そこからこの曲名は来ています。
-もうこの話の時点からしてプログレッシブさ極めていますね(笑)。
Masayoshi : おそらく80%はウソなんでしょうけど、KING CRIMSONなので本当かもしれません(笑)。Arise in Stabilityのクリーンなポリリズムは、ほぼKING CRIMSONから影響を受けていて、分かる人が聴いたら「あれ?これFrame By Frameなんじゃね?」と思うかと(笑)。
–この一連の会話、オタク度半端ないですね(笑)。それでは、各個人のルーツをお聞きしても宜しいでしょうか?
Masayoshi :僕のギタリストとしてのルーツはRandy Roseです。Randyがきっかけでヘヴィメタルにハマり、毎月YOUNG GUITARの譜面を見て、32音符でニヤニヤしているギター小僧になりました(笑)。
この他にもDREAM THEATERのJohn Petrucciは勿論のこと、Chris Impellitteri 、EXTREMEのNuno Bettencourt、HAREM SCAREMのPete Lesperance、SYMPHONY XのMichael Romeo、日本ではSIAM SHADEのDAITAさんに多大な影響を受けています。
–そういったテクニカルな土壌があるからこそ、Arise in Stabilityの楽曲が出来てくるのだと思います!
Yusuke : ギターソロだけ聴いてみれば、クソ早いギターの下降フレーズとかモロにIMPELLITTERIですからね(笑)。
僕の音楽的ルーツに触れますと、音楽を聴き始めたのは井上陽水やBUMP OF CHICKENからだったんです。今演っている音楽からは考えられないんですが(笑)。
ある時、「DRAGONFORCEがメタルの中でも凄い!」という話を聴いて、試しに聞いてみたら、そのスピードに度肝を抜かれました。そこから、この手の音楽を聴き始め、それと同時に、ジャズやフュージョンを聴き始めました。
プレイヤー的ルーツは、日本国内ですと、筋肉少女帯のGtの橘高文彦さんや、DEAD ENDのGtの足立祐二さんのビブラートやピッキングハーモニクスに影響を受けました。
海外だと、メタルならDREAM THEATERのGtのJohn Petrucciの影響が大きいです。
フュージョン的なところだと、ERIC JOHNSONやSHAWN LANEのメロディセンスを参考にしています。
逆に、Arise in Stabilityに加入してからは、変拍子やポリリズムなどの複雑な要素を逆に吸収してしています。このバンドでの活動は、日々僕自身の進歩に繋がっていて、非常に勉強になります。
Kodai : 僕の音楽的ルーツは高校時代だと水樹奈々やアニソンがメインで、メタルとは遠い音楽ライフを過ごしていました(今から思い返すと、水樹奈々の曲ってバリバリメタルな曲もありますね(笑))。
そして、浪人時代にアニメ繋がりで、アニメタルを聴いたんですが、そのテクニカルさと激しさ・速さに感動しました。ここがメタルを聴き始めたきっかけになります。そこから、アニメタルのVoのさかもとえいぞうやGtのSyuの繋がりで、ANTHEMやGalneryusなどの日本のメタル、そこから海外のIMPELLITERIなどを聴き始めました。
その後、大学に入って、「メタルかっこいいな!」という思いから、自分もやってみようと思って、先述のい軽音というサークルに入りました。入った当初は、特にこの楽器がやりたいというのは無かったんです。ただ、僕の中でギターでピロピロするのは皆やってるから、じゃあこれをアニメタルのBaのMASAKIさんみたいにベースで速く弾けば良いんじゃないか?という考えがあって、そこからベースを始めました。それこそ、地獄のメカニカルトレーニングから始めて、3フィンガーピッキングを練習していました。
い軽音は正統派のメタルというよりは、AUGUST BURNS REDやKILLSWITCH ENGAGE、そしてHATEBREEDのようなメタルコアやハードコアのコピーをよくやってるサークルでした。先輩達がやってるオリジナルバンドも数多くあるんですが、その中で、個人的に一番メタル魂が強いと感じたのが、Arise in Stabilityだったんです。初めて曲を聴いた時は、「一筋縄でいかない曲展開だし、メンバー変人なんだろうな。」と思いました(笑)。
プレイヤーとして影響を受けているベーシストはArise in Stabilityの前任BaのHiroshiさんですね。それこそ、タッピング・スウィープに関しては、めちゃくちゃ影響を受けていて、完全にHiroshiさんのファンです(笑)。
Suguru : 僕がバンドを始めたのが、中学生の頃で、丁度バンドブームがあって、GLAYなどのヴィジュアル系が盛り上がっていたんです。中学の時、文化祭で先輩から「一緒にバンドやろうぜ!」と言われて、そこから彼らのコピーを始めたと共に、音楽にのめり込んでいきました。
その中で、X JAPANを聞いて、「何だこの速さは!」となりまして、そこからHELLOWEENなどのジャーマンメタルやアメリカのスラッシュメタル、それこそMETALLICA、SLAYERを聴くようになりました。中学生時代はずっとこれらのアーティストばっかり聴いていました。
そこから、メタルをもっと深く聴くようになり、ARCH ENEMYなどのメロデスにも手を出して行きました。ただ、僕の地元が愛媛なんですが、こういったビッグなアーティストを生で見る機会がなかなか無く、そのかわりに地元のライブハウスでツアーバンドのライブをよく見ていました。当時だと、山嵐やMINOR LEAGUE、SUNS OWLとかが好きでしたね。また、地元でそういったバンドが好きな人がいなかったので、好みの合う連中がおらず、悶々としていました。
そこから、大学入学と共に静岡に来て、サークルでバンド組んで、たまにメタルやったりしていました。その頃、ちょうどメタルコア・ニュースクールシーンが盛り上がり始めていて、それこそAFTeRSHOCKとかを僕自身も聴いて、ハードコアの泥臭さや、曲の構成の様式美に惹かれ、「やるならこれしかないな!」と思ったのが、ハードコアにのめり込むきっかけでしたね。
こうやって思い返すと、Arise in Stabilityみたいな変拍子や複雑な展開は、実は加入するまでは叩いた事がなかったんですよ(笑)。The Dillinger Escape Planは好きだったからよく聴いていたんですが。
そして、ルーツとなったプレイヤーなんですが、実は好きなドラマーというよりは、好きなバンドで見ちゃうタイプなんです。バンド全体としてみるからこそ味があるというか。それこそ、METALLICAのDrのLars Ulrichはドラマー単体としてみれば、めちゃくちゃ上手い訳ではないけど、METALLICAで叩いている姿を見れば、METALLICAというバンドにあった叩き方をしているというか。なので、特にこれといったドラマーはいないです。
Houseke : 元々親の影響で、子供の頃はTHE CARPENTERSとか聴いていたんです。
Masayoshi : それが今やどうしてこうなった?!って感じだね(笑)。
Housuke : まさしくその通りだわ(笑)。あと、邦楽自体をあまり知らなかったんです。それ以外に聴いていた音楽はLED ZEPPELINやFRANK ZAPPAかな、特にZAPPAに関してはアルバム全てを聴き込むほど好きですね。ただ、バンドを実際に演ること自体には、当時はさほど興味はなかったです。
しかし、高校生ぐらいの時にヤマさん(Suguru)と同じく、俺の高校でもバンドブームがあって、高校の部活動でRANCIDやBLINK-182のコピーバンドとか演りましたね。そして、その頃SLIPKNOTやLINKIN PARKが出てきた時代でもあったので、個人的にシャウト使っている音楽がかっこいいなと思い、深く掘り下げるようになりました。そのあとに、ARCH ENEMYやSOILWORK、DARK TRANQUILLITYなどのメロデスにハマりました。
その後、たまたま音楽スタジオで個人練をしてたら、メンバー募集の張り紙があって、「Lamb of Godとか好きなVo募集!」って張り紙があったんです。ただ、そこで面白い所があって、好きなバンドが羅列してあったんですが、メタルコアやハードコアバンドに並んで、KING CRIMSONやTOOLの名前があったんです。「変だけど面白いな。」と思って、応募をしまして、これこそまさにArise in Stabilityの加入のきっかけでした。
ただ、Arise in Stabilityに加入する前までは、実はそんなにKING CRIMSONとかの良さがわからなく、加入してからは、彼らの変拍子にどハマりし、他のプログレも掘り下げるようになりました。それこそMAGMAやEMERSON LAKE & PALMER、YES、ANEKDOTEN等が大好きですね。モダンなバンドだとMESHUGGAHとかも影響を受けました。
Voとして多大に影響を受けているのは筋肉少女帯の大槻ケンヂですね。
バンド自体も好きですが、何より、彼のステージングや歌詞の世界観に多大に影響を受けています。あと、MESHUGGAHを知って、そこから細かなリズムやポリリズムが好きになっていきました。これはMasayoshiも一緒だと思うんですが、MESHUGGAHにハマってから、Arise in Stabilityの曲がどんどん複雑になりだしましたね(笑)。
–それでは、ギター・ベース陣の機材のこだわりを教えて頂けますでしょうか?
Yusuke : ギター陣はIbanezからエンドースを受けています。今自分が使っているモデルは市販品のRGIF7をベースに、自分の好みで細かな改造を加えています。
ステンレスヘッドに打ち替えて下さいだとか、このインレイを埋め込んで下さいとか、中々自分のわがままを聞いてもらっています。ただ、元の完成度が非常に高いので、中身に関しては、ほぼ既製品と変わりません。
Masayoshi : 彼が使っているモデルが、実は店頭で10万台で買えるモデルなんです。値段の割に、この出音の素晴らしさは本当に優れた技術の賜物だと思います。
Yusuke : あと、実は自分自身エフェクターに関してはそんなにこだわりがなく、使いやすいものを長く使えれば、という気持ちで機材を選んでいます。それこそどんな場所でも対応が出来るように、Fractal Audio Systems Axe-Fx IIを使用しています。
あと、Ibanezのエンドースを受ける前から、いわゆるファンフレット、マルチスケールのギターを使用していました。マルチスケールの何が良いかと言うと、低音弦のリフが非常にタイトに弾ける点と、その反面ハイフレットを使用したギターソロは揺らしやすい点です。
人によっては指板が見えにくいだとか慣れにくいとかあると思いますが、逆に僕の場合はこれに慣れすぎてて、まっすぐなフレットが逆に曲がって見える時があります(笑)。
これからの将来、恐らくマルチスケールのギター以外は使用しないでしょう(笑)。
Masayoshi : 僕もYusukeと同じくIbanezからエンドースを受けておりまして、S Seriesの7弦(S5427)とJ customの7弦(RG8527Z)を使用しています。
Ibanezは7弦ギターのパイオニアとして有名なメーカーですが、やはり多弦ギターにおけるネックの薄さ・弾きやすさと強度の両立は特筆すべき点だと思います。さっきも少し言いましたが昔から全ての価格帯ラインナップにおいてコストパフォーマンスも最強だと思ってます。
アンプはEBISU GANGというリペアショップによる改造マーシャル(元はJVM410)を使っています。ハイカットと超低音ブーストがついていて、パワー管に電圧負荷をかけてるところが市販のものと違います。あとパワー管を自由に選べるように改造されてるので、真空管はちょくちょく変えて遊んでますけど基本はSvetlanaの6550を使ってます。
足元に関しては、空間系エフェクトとスイッチャーがTC ElectronicのG systemです。
他のエフェクターに関しては、「The Heretic’s Proof」制作の際、RECを手掛けたSTUDIO PRISONERのエンジニアでMetal SafariのギタリストでもあるHiroさんに影響を受け過ぎて、全てSTUDIO PRISONERと同じ機材にしました(笑)。FULLTONEのワウ、ISPのノイズリダクション、そしてカギとなるのがブースターのPRO TONE PEDALSのDead Horse Overdriveですね。Baと被ってしまう不必要な低域を、ほどよくカットしてくれて、かつGtの音を3本オーバーダブしたようなパワーが出るので気に入ってます。
またシールドやスピーカーケーブルの制作と楽器類全般のメンテナンスはbilo’uのGt圭介さんがやってるEndall Original Soundにお願いしています。
(Endall Original Sound URL : http://www.endall-japan.com/index.html )
Kodai : 僕の機材のこだわりは、前任BaのHiroshiさんから受け継いだWALTER WOODSのヘッドが全てですね。
竿に関しては、弾きやすさ重視でセッティングしています。
低音弦の5弦はテンション高めなんですが、その他の弦は弦高を低くしてて、
めちゃくちゃタッピングしやすいように設定しています。
それだとサステインが失われるんじゃないか?と思われるでしょうが、
そこは右手の技術を常に研究して、アタック強めな弾き方をしてカバーしています。
-7月に開催された自主企画「Windows to the soul vol.12」はArise in Stabilityと同じく、どこかプログレッシブな匂いを持つバンド達が共演しましたね。この企画の手応えは如何でしたか?
Masayoshi : あの時は、Arbusの『SHEEP EP』レコ発ということもありまして、プログレッシブなバンドで固められたらな、という思いがありました。
また、合わせて名古屋のvimokshaを東京に呼びたい!という趣旨もありました。彼らは8弦ギターやスティック(両手タッピングで演奏する10弦ギター)、和太鼓を導入した独自のサウンドを放っていて、ドイツのメタルフェスWacken Open Air 2016にも出演した強者なんです。
上記2バンドに加え、kOTOnoha、Graupel、bilo’uも本当に素晴らしいライブをしてくれたのですが、この日は北海道のSekaichizuに一番衝撃を受けましたね。Gt&VoとDrのデュオによるカオティックHCと爽やかな歌ものポップスの融合という感じで、これだけ聞くとめちゃくちゃそうですが、しっかりと歌を中心に曲が組まれていてちゃんとドラマがあるんです。彼らの今後が楽しみです。
やってみた手応えとしては、「年に一度こういったプログレな企画をやってほしい!」とリスナーさんからの意見が多々ありまして、今後も引き続き続けていければという所存です。
–昨今のラウド・パンクシーンで勢いのあるバンドを教えて下さい。
Masayoshi : 最近見たバンドですと、町田のRiTTLEBOYにはシビれましたね。A Soulless Painと反好旗とGlassjawを足して3で割ったみたいなバンドなんですけど、ライブの気合が凄いんです。12/20に新宿Antiknock企画で、RiTTLEBOYとSailing Before The WindとArise in Stabilityで3マンをやる予定なんですが、是非この機会に観て欲しいバンドですね。
Housuke : ulma sound junctionは現行の日本のプログレッシブロック・メタルバンドの中でもチェックすべき存在だと思います。本当に歌上手いし、新作『imagent theory』もリリースしたばっかりですし。また、2018年1月13日(土)に彼らのレコ発イベントが渋谷CYCLONEでありまして、そこにArise in Stabilityとbilo’uも出演します。プログレメタルファンには必見かなと思います。
Kodai : Crystal Lake主催のTRUE NORTH festivalに出演していたSailing Before The Windが、最近見たライブの中で一番良かったですね。今までの経験値とスキルがTRUE NORTH festivalという大舞台で爆発していたというか、他のバンドも気合が入っている中、今まで見てきた彼らのライブの中でもダントツで良かった、と個人的に感じました。
–今後の予定を教えて下さい。
Masayoshi : ようやくメンバーも固まってきたので、現在、次のリリースに向けて新曲を貯めていたり、ライブのセットリストも入れ替えたりしています。その為、来年あたりにレコーディング出来れば、と考えています。
ただ、作曲に関して、作曲時の自分達が持ちうる最大限の難しい曲を目指す癖がありまして、曲ができてから実演奏できるまで短くて半年、長くて1年かかってしまう事が障壁になっています(笑)。
ライブに関しては、今年の4月にbilo’uと2マンをやったんですが、その時リスナーさんから「いつものライブも長尺で観れたら良いのにな。」との声もありましたので、今後もこういった長尺のライブを定期的に実施出来れば良いな、と感じています。そういった意味では、12月20日の新宿Antiknockの3マンは、普段よりも長尺ですので、普段やらないような曲も披露出来るかもしれません。
–これからシーンを担うバンドマンへのメッセージをどうぞ。
Yusuke : 友達をなくすまで練習しろ(笑)!
Masayoshi : GIT MASTERSの優勝者の言う事は違いますね(笑)。
これはバンドマンというよりリスナーやプレーヤー全般へ、という感じになりますが、できたらライブハウスに足を運んでほしいです。Yusukeは技巧派ギタリスト集団G.O.D.のメンバーでもあり、ギタリスト界隈ですごく有名なので、彼のファンにも是非ライブハウスに来てもらいたいですね。最近はジャンルを問わずハイレベルな音楽プレーヤー達が発信や表現の場をネット上で完結しているものも多いと思います。勿論情報にアクセスしやすいほど多くの人に聴いてもらえるし、利点も沢山あるのですが、その一方で、検索が容易なものほど良くも悪くも想像の範囲を超えにくいのかなと考えています。「体感」までは今の技術では再現できないことが一つの要因かもしれない。
僕もそこそこ多くのバンドを見てきたと思ってますが、前述のRiTTLEBOYを初めて見たときのように「うわー、何だよこれ。俺何にも知らねぇな」って思うような出会いが十何年やってても未だにあって、そこが足を運ばないと出会えないものが持つ魔力なんです。
そう思う反面、僕ら自身も良いライブをしなきゃな、というプレッシャーはありますが…。その感動を与え続けることが、目標の一つです。
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