今回は久々の古酒、ニッカから発売されていたキングスランドを飲みます。

ニッカ40周年記念ウイスキー

kingsland_キングスランドは、1974年に、ニッカウヰスキー創業40周年を記念して発売されました。
当初は丸瓶で、ギフト向けの高級ウイスキーとして発売されましたが、1978年に、サントリーローヤルを意識したかのような、紐の封印が付けられた角瓶にリニューアルしました。

初期のボトルのラベルには、ブラックニッカで有名なひげのおじさん、キング・オブ・ブレンダーの顔が付けられていましたが、その後はニッカのエンブレムに変えられました。

値段の位置づけは、現在のザ・ニッカ12年とほぼ同じ5000円でした。
このボトル自体は意外に息が長く、2010年まで販売されました。

今回ネットで入手したボトルは、1000mLで特級表記のないものです。
末期ではアサヒビールの販売元が併記され、背面にフリーダイヤルとWebのラベルが加わっていますが、このボトルにはありませんので、1990~2000年代前半辺りになるかと思われます。

上位クラスならではのまろやかさ

まず、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は中庸な琥珀色、香りはブドウ、リンゴ、バニラが感じられます。

口に含むと、レーズンとリンゴが半々に先に訪れてきます。後からはバニラ、ナッツ、樽香が続きます。
味わいは酸味が前に来て、後々から甘さが追いかけます。アルコール由来の辛みは少なく、かなりまろやかです。

次にロックにすると、ライムの香りが揮発しますが目立ちすぎず、レーズン、リンゴとバランスを取るような強さで香ります。後からはピートのスモーキーさがほのかに漂い、バニラの甘い香りが締めてきます。
加水が進むと、シナモンのような甘ったるさも表れてきます。

味わいは、多少のビターが現れるものの、引き続き酸味が主体となり、後味には甘みが得られます。

最後にハイボールにすると、海藻の香りを伴ったピートが前に来るようになり、スモーキーでレーズンやリンゴのフルーティも伴う香りへと変化します。

味わいは若干の甘みを持った印象となりますが、スモーキーさがあるので一癖ある印象です。

ノンエイジであるものの、発売当初は同時に登場した「スペシャルエイジ」、後に「鶴」の次に位置するハイエンドなボトルなだけに、ストレートでもアルコールの刺激がなく、まろやかで比較的飲みやすさを感じられます。

過去のボトルの記憶からすれば、だいたい12~15年くらいの長期熟成原酒を使っているのではないかと思うほど、とてもまろやかながら香り、味わいが豊かです。

現行のザ・ニッカ12年では、ストレートでのアルコールのきつさが気になりましたが、キングスランドはストレートでも刺激が少なく、むしろ上にあるのではと思わせるほどです。

販売終了が2010年と比較的新しく、販売時期も長かったため、中古での入手も比較的容易かと思います。

<個人的評価>

  • 香り AA: ブドウと林檎が豊かに香り、後からバニラ、ウッディへと続く。加水でライム、ピートが見える。
  • 味わい AA: ストレートでも辛さがなくてとてもまろやか。酸味が先行し、甘さが後を追いかける。
  • 総評 AA: 比較的ハイエンドなボトルならではの熟成感の高さを実感。どう飲んでもうまい。