安倍政権になってから、ネトウヨはインフレーションを起こして急膨張します。このインフレーションは物価が上がるという意味ではなく、微小な領域の中に存在した量子ゆらぎが宇宙サイズにまで引き伸ばされ、現在の宇宙に存在する構造が成長する種となったとされるインフレーション理論の方です。

 民主党政権下ではネトウヨは政権批判を武器として、草創期の千人未満から3万~7万ほどの勢力になります。

 現実の選挙の場でも、岡崎トミ子さんが慰安婦を支援する水曜デモに出たから反日だ、反日の人間に国益を代表する国会議員なる資格がないといった、国会議員の思想信条の自由を制限するネトウヨ論法を極右候補が用いると、多数の有権者がそのネトウヨ論法に付和雷同して、岡崎さんを落選させ、その極右候補を当選させてしまいます。

 千葉景子さんは、中央大学にいたころに赤軍派に入っていて、三里塚闘争で警察官を焼死させたというデマをネトウヨが流すと、すぐに中央大学には赤軍派の細胞はなかった、赤軍派は三里塚闘争に参加していない、三里塚闘争で焼死した警察官はいない、という完璧な反論が為されたにも関わらず、多数の有権者はネトウヨの言っていることを信じて千葉さんを落選させてしまいます。
 
 政権が自民党に戻る頃には、ネトウヨは選挙結果を左右するような力を持ってきます。

 安倍政権になると、政権そのものがネトウヨとさして変わらない存在なので、政権与党と一体化して、安倍氏のやることであればどんなことでも愛国心に満ち溢れた、国家国民のためになる素晴らしいことで、それを批判する野党に対して常に激しい誹謗中傷を付けることをネトウヨは活動の主体を移してきます。

 安倍政権が韓国人慰安婦の存在を認めて10億円の解決金を支払うと、これが民主党政権であれば祖国に日本人の税金を10億円も貢いだ売国奴と非難していたはずですが、安倍政権であれば、これが手切れ金だ、二度と韓国につべこべ言わせない決定だから素晴らしいと持ち上げる、といった言動をネトウヨは行なうようになり、当初の、日本で良い職を独占している在日コリアンを追い出せば、自分たちが入れ替わりで希望の職に就くことができる、だから在日コリアンの追放が最重要でそれが実行されれば、自分たちの社会的な立場が一変するといった初期の期待感は萎んで行きます。

 ネトウヨは民主党政権の時には、安倍氏が首相になれば即座に自分たちの要求を容れて日韓断交を行なうと言っていましたが、安倍内閣にその気などないと分かると、本来であれば「愛国者」の要求に従わない安倍政権は反日売国政権になるはずなのですが、逆に日韓断交の要求を棚上げして安倍政権を擁護して野党を叩く方向に進みます。

 当初のネトウヨ的には、自分たちが就きたい職が在日コリアンに奪われているから、優秀な自分が無職やアルバイトで日を送らなければならないのだ、となっていましたから、個人レベルの求職のための社会運動でもあったのですが、安倍政権になってからのインフレーションによって、定年退職者や主婦や学生のネトウヨが大幅に増えて無職やアルバイトが少数派になって行くと、在日コリアンからの良い職の奪回はさして重要な問題ではなくなり、活動は安倍政権の応援団といったところになってきます。

 安倍政権の応援団で野党を叩くというのは、現在の不遇をなんとかしたい人たちには希望が持てない運動なのですが、定年退職者や主婦や学生など今の不遇な自分を手っ取り早くなんとかしたい、希望の職に今からでも就きたいと思わない人にとっては、権力の尻馬に乗っての野党叩きは弱い者いじめの愉しい政治活動になっています。

 定年退職者や主婦や学生のネトウヨが増えた結果、ネトウヨの数はインフレーションを起こして急膨張して、18年現在では、120万人から200万人と推定され、大選挙区制の東京の区議や地方の市であれば、1議席を取れるような勢力にまでなっています。


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