8月16日にNHKBSで、「幻解!超常ファイルUFО最大の謎に迫る」と題する番組が放送されました。UFОといえば日本テレビ矢追純一の大嘘番組という印象があるので、NHKがどのように扱うか興味があったので見てみました。

 宇宙人がやってきている、目撃されているUFОはその乗り物であるという煽り番組ではなくて、UFО騒ぎの変遷を扱ったものでした。

 1950年代にUFОの目撃証言がアメリカで多数出て来て、UFОが宇宙人の乗り物であるとする人たちは、なんの証拠も持たないまま、アメリカ政府が、アメリカ軍が事実を隠している、大統領が宇宙人と内密に取り引きしていると言い立てます。

 60年代に入ると、騒ぎが大きくなったので、幾つかの大学でその研究が行われます。何年かの研究で、論議に値するものではない、なんの証拠も示せないもの好きが言い騒いでいるだけのものということがはっきりしますが、大学がその研究結果を発表すると、UFО信者たちは、UFОが地球に来ている宇宙人の乗り物てあることを隠している政府や軍に頼まれて、嘘の研究発表を大学はやっていると言います。

 このような人たちは、自分たちが満足できる結果でなければ永久に嘘だと言い続け、政府や軍に隠しているUFОの証拠を国民に公開せよと言い続けるのです。

 大学がUFОの研究を始めればUFОが存在している証拠だと言い、その結果が否定的なものであれば嘘を言っているとするのですから、どんなことがあってもUFОは宇宙人の乗り物として存在することになってしまいます。

 STAP細胞は存在が証明できないので否定されましたが、これは発見者の小保方氏が証明責任を負っていて、再現して証明することが出来なかったので否定されたわけです。UFОは宇宙人の乗り物だとしてる人たちは自分で証明責任を負わず、アメリカ政府や軍が隠していることにしてしまっていますから、いくら政府や軍や大学が存在しない見間違いだと言っても、隠していることを知られたくないから見間違いだと言っていると言えば、UFО実在論者は絶対に議論に負けることはありません。

 政府や軍や大学が、こっちは税金でやっているのだ、無意味な水掛け論の応酬には付き合っていられないとしてUFО論議から撤収すれば、反論不能になって逃げたから自分たちの議論は正しかった、UFОが宇宙人の乗り物であることが証明されたと言います。

 レーガン大統領が例え話として、世界中で地域紛争が起きているが、もしも宇宙人が攻めてくるような事態になったら、人類は地域紛争を止めて団結して宇宙人と戦うのではないのか、どうしてそういう気持ちになって地域紛争を止められないのかといった演説をやると、大統領が宇宙人の存在を認めた、アメリカ政府がUFОを隠しているとする我々の主張は正しかったと言い出します。

 自分の側は一切の証明責任を負わず、相手に絶対に違うということを証明させるネトウヨ論法と、UFОの論法とはよく似ています。

 人の世の議論というものは、正確なことを言っている者が勝つのではなく、自分の側が証明責任を負わないように持って行った者が勝つということを、アメリカのUFО論議は証明しており、日本のネトウヨはそれと同じことをやっているだけなのです。


記事に賛同の方は下のバナーをクリックして下さい。
 賛同できなかった人も読んだのですからクリックして行って下さい。

コメント(10)