コマツの驚くべきシェアリング対策

日本企業のためのオープンイノベーション教室(2)

2018年9月28日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「100年に一度の大変革」と言われる自動車のEV化や自動運転化の競争が象徴するように、新しいテクノロジーへの対応が企業の命運を分ける時代に突入している。大変革への対応に欠かせないのがオープンイノベーションである。その進め方を実践的に解説した書籍『新たなる覇者の条件』の著者が、最新の産業ニュースを踏まえながら、オープンイノベーション成功のポイントを紹介する。

 前回は、トヨタの脱・自前主義を例にして、オープンイノベーションの5つのステップを解説した。今回は、5つのステップの4番目「プラットフォームを進化させる」について、建設機械(建機)大手のコマツを例に考えてみる。コマツは、新しいプラットフォームを作り、シェアリングビジネスに挑もうとしている。

国内のシェアリング経済は依然黎明期

 近年、日本でもシェアリングエコノミーの市場成長が始まっている。野村総合研究所によると、2017年の国内ユーザー取引総額は2,660億円に達している。ただ、海外と比較すると日本の市場規模は小さい。海外のシェアリングエコノミーは巨大で、ライドシェアの米ウーバー1社だけで、2016年に200億ドル(約2兆2,000億円)ものサービスを生み出している(→参考記事)。

 ウーバーがサービス展開している多くの国でタクシー業界が苦境に陥っている。ユーザーの立場からは、タクシー利用の激減はやむを得ない。筆者がサンフランシスコ市内から空港までの移動にウーバーを使った時はタクシー料金の半額以下(金額は時間帯で変動する)、車もきれいで、ドライバーの愛想も良かった。サービスが悪いことで有名な米国のタクシーと大きな違いがある。

シェアリング経済が次に破壊する産業とは

 ライドシェアはタクシー業界にとって現在進行形の「破壊者」だが、長期的に見ると、トヨタやBMWなど自動車産業の破壊者になり得る。なぜなら、ライドシェアのサービスが社会の隅々まで浸透すると、車を保有する人が減り、結果的に生産台数も激減するからだ。車に乗っている時間帯が週の5%に満たないドライバーにとって「所有からシェア」に移行することは理に適っている。

 ただ、すぐにそのような世の中が来ることはないだろう。自動車のような巨大産業が破壊されるには、社会構造や人々の認知も変化する必要があり、時間がかかる。一方、シェアリングエコノミーは自動車に限らず多くのモノ作り産業に脅威を与える。まず変わるのは、自動車よりも社会的なインパクトが少ない産業だろう。

併せて読みたい

オススメ情報

「新たなる覇者の条件」のバックナンバー

一覧

「コマツの驚くべきシェアリング対策」の著者

尾崎 弘之

尾崎 弘之(おざき・ひろゆき)

神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科教授

1984年東京大学法学部卒業、1990年ニューヨーク大学MBA、2005年早稲田大学アジア太平洋研究科博士後期課程修了、博士(学術)。1984年野村證券入社、ニューヨーク現地法人などに勤務。モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント、ゴールドマン・サックス投信執行役員、複数のベンチャー企業の立ち上げ・経営に携わり、2005年東京工科大学教授、2015年から神戸大学教授。専門はベンチャー経営、オープンイノベーション 。経済産業省、環境省、沖縄県、経済同友会などの委員を務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック