今年6月に東証マザーズへ上場した、フリマアプリのメルカリ。創業者である山田 進太郎氏(会長兼CEO=最高経営責任者)から社長を引き継いだのが、小泉 文明氏(社長兼COO=最高執行責任者)だ。大和証券SMBCでIPO(新規株式公開)を担当し、ミクシィではCFO(最高財務責任者)を務めた後、13年12月にメルカリに入社した。創業者ではない、小泉氏にとっての「起業のリアル」とは。
■オープン編集会議とは
読者が自分の意見を自由に書き込める双方向メディア「日経ビジネスRaise(レイズ)」を活用し、日経ビジネスが取材を含む編集プロセスにユーザーの意見を取り入れていくプロジェクト。一部の取材に同行する「オープン編集会議メンバー」を公募。現在、25人のメンバーとともに、起業にまつわる様々な疑問をユーザーとともに考えるオープン編集会議第2弾「起業のリアル」を実施中。
■メルカリ小泉社長への取材に同行したメンバー(敬称略)
入江 清隆 | 大日本印刷 |
植竹 理江 | フリーランス |
熊本 有紗 | 国土交通省 |
田中 宏 | 大正製薬ホールディングス |
栃木 ひかる | ワークスアプリケーションズ |
原島 洋 | ウェブマスターズ |
松下 芳生 | JPスタイル研究所 |
三輪 愛 | ミニストップ |
水庫 郁実 | 早稲田大学学生(日経ビジネス編集部インターン) |
佐伯 真也(日経ビジネス編集部):小泉さんは、大学卒業、大和証券SMBC(現・大和証券)を経て、ミクシィに転じました。大企業からスタートアップに飛び込む際にリスクは考えられましたか。
小泉 文明氏(メルカリ社長兼COO=最高執行責任者):僕自身、卒業後に入社したのは投資銀行でした。将来的に事業を手掛けたいと考えていたので、学びが多いと考えて投資銀行である大和証券SMBCに入社しました。配属の第一希望はIPO(新規株式公開)部門。これから成長する企業にアドバイスし、企業価値も上げていくことに携わりたかった。
大学時代からインターネットが好きだったこともあり、ディー・エヌ・エー(DeNA)やミクシィのIPOを担当しました。大企業も含めいろんな案件を手掛ける中で評価していただき、入社から約3年半経ったタイミングである大型案件に平社員でただ一人、選ばれました。サラリーマンとしては出世コースですね。
一方で同時期に手掛けていたのがミクシィのIPO。右手には大企業の大型案件、左手にはミクシィ。出世コースに乗るのもアリかなと思いましたが、ミクシィにはまだまだやるべきことがありました。どちらが将来後悔しないか、考えた結論が未来を作る会社に身を置くことでした。クライアントでもあったので、転職時にあまりリスクは感じなかったですね。
大企業の人はとても優秀
佐伯:評価されていると引き留めもすごかったのでは。
小泉氏:僕自身、大和が好きだし楽しかったけど、自分にしかできないことは何だろうと考えました。大企業の中には優秀な人が多いので、自分でなくても誰かができる。自分にしかできないことをやりたかった。
佐伯:大企業からスタートアップに転じるとギャップがありそうですね。
小泉氏:当然、ありましたよ。すべきことは山積みなのに人が足りない。あと、大企業の人はとても優秀で、1言えば5わかってくれた。今は優秀な人材がスタートアップに入りますが、当時は1言っても、1も理解してもらえませんでした。
もちろん、意思決定含めて相談する人は少ないのでスピード感という楽しさはありました。けど大和でもある程度の裁量が与えられていたので、そこは変わらなかったかもしれません。承認得るのに判子をたくさんもらうといった大企業のデメリットをほとんど経験せずに済みましたから。
いただいたコメント
コメントを書く