目次
- ソーシャルレンディングとは?
- ソーシャルレンディングのタイプは3つ
- マーケット型ソーシャルレンディングの特徴
- オークション型ソーシャルレンディングの特徴
- 貸付・ファンド型ソーシャルレンディングの特徴
- ソーシャルレンディングと投資信託の違い
- 価格変動
- 換金性
- 期限
- 手数料
- 税金
- ソーシャルレンディングの利回りとリスク
- ソーシャルレンディングの平均利回り
- ソーシャルレンディングのリスク
- ソーシャルレンディングに投資するメリット
- 利回りが高い
- 小口投資ができる
- 1年以内の短期投資が可能
- 投資や運用の予備知識が不要である
- ソーシャルレンディングに投資するデメリット
- 元本保証がない
- 延滞の可能性
- ソーシャルレンディング事業者の倒産リスクがある
- 原則的に途中解約できない
- ソーシャルレンディングのおすすめ業者
- オーナーズブック
- LENDEX
- クラウドバンク
- maneo
- sbiソーシャルレンディング
- クラウドクレジット
- トラストレンディング
- ローリスク・ミドルリターンを狙えるソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは?
2010年代以降、ソーシャルレンディングが新たな投資先として注目されています。
ソーシャルレンディングとは、簡単に言うと「個人の投資家からお金を集め、それを企業や不動産事業などに貸付け、利益を個人に還元する」マッチングサービスで、クラウドファンディングの一種です。
資産運用サービスに、クラウドによる「マッチング」を組み合わせているという特徴があります。
また、高い利回りと手軽さが売りであり、金融商品としては「ミドルリスク・ミドルリターン」に分類されることが多いです。
ソーシャルレンディングのタイプは3つ
ソーシャルレンディングは、その運営方法や融資対象によって、以下3つのタイプに分類されます。
- マーケット型
- オークション型
- 貸付・ファンド型
まずは、それぞれの具体的な特徴を見ていきましょう。
マーケット型ソーシャルレンディングの特徴
- ソーシャルレンディング業者が借り手(融資を希望する側)を審査
- 審査の結果を格付けで表示
- 格付けを元に貸し手(融資する側)が金利と金額を提示
マーケット型は、以上の3つの特徴があります。金利や金額を投資家が決定するという点が、これまでの金融商品と大きく異なる点です。
また、借り手は個人であることが多という特徴も持っています。国内ではエクスチェンジコーポレーションの「AQUSHマーケット」が代表例といえるでしょう。
オークション型ソーシャルレンディングの特徴
- 借り手が貸し手に自らアピールする
- 貸し手は公開されている融資希望情報から、入札(投資)するかどうかを判断
- 金利は入札によって決定(もっとも利率が低い入札が適用される)
オークション型は以上のような3つの特徴があります。
一般的に低金利で資金を調達できないような人でも、入札次第では安い利息でお金を借りられる可能性があります。ただし、ハイリスクな借り手に対しては利率が高くなる傾向にあり、ハイリスクハイリターンな投資ともいえます。
日本では、かつて「maneo」がオークション型ソーシャルレンディングを展開していました。しかし、貸し手・借り手共に個人(P2P)が多く融資額が伸びなかったこと、延滞や貸し倒れが発生したことなどを理由に撤退を決定。日本には根付く気配が薄い形態といえるでしょう。
貸付・ファンド型ソーシャルレンディングの特徴
- 業者が借り手(法人)を決算書や事業計画書、信用情報で審査
- 業者が金利・募集金額・返済期間を決定
3つ目の貸付・ファンド型は、このような特徴を持ち、マッチングを行うソーシャルレンディング業者が信用力を担保するタイプです。また、貸し手は金利の指定はできないものの、自分の好きな案件を選んで出資額を決定できるというメリットがあります。
一般的に貸付・ファンド型は、クラウドファンディングと同じ意味で語られることも多いです。
代表的な企業には前述したmaneoやSBIソーシャルレンディングなどがあります。
日本では貸付・ファンド型が主流
オークション型が根付かなかった日本では、貸付・ファンド型が一般的になっています。
理由としては、借り手が法人であること、ソーシャルレンディング業者が信用保証や担保の確認までを行い貸し倒れリスクが低いこと、などが挙げられるでしょう。
ソーシャルレンディングと投資信託の違い
ここまでの内容から投資信託とどう違うのか?という疑問を持つ方も少なくないでしょう。特に融資・ファンド型のソーシャルレンディングは、貸し手側から見れば一般的に投資信託に似ているともいえます。そこで、ソーシャルレンディングと投資信託の違いを明確にしてみました。
価格変動
投資信託を含む金融商品では、投資対象の価格が日々変動するのが一般的です。たとえば株や債券は、毎日値段が変わりますよね。
それらはひとことで言うと「相場性がある」ということになりますが、一方でソーシャルレンディングの対象は価格変動が起きず、常に一定です。
換金性
投資信託は、保有している銘柄が値上がり、もしくは値下がりしたタイミングで自由に売却して換金できます。しかしソーシャルレンディングは、原則として契約期間まで換金できません。
期限
一般的な投資信託には、期限が儲けられていません。売却するも持ち続けるも、投資家の自由です。しかしソーシャルレンディングは案件ごとに期限が決められており、期限が到来すればどの案件も元本と利息が還元されます。
手数料
手数料がかかるという点では、投資信託もソーシャルレンディングも同じです。ただし、投資信託が販売手数料、管理手数料、信託報酬などさまざまな手数料が必要なのに対し、ソーシャルレンディングは入金・出金手数料のみであることが多いです。
最終的な手数料の金額はともかくとして、単純明快なのはソーシャルレンディングのほうだといえるでしょう。
税金
投資信託とソーシャルレンディングでは、課税方式が異なります。投資信託は原則「申告分離課税」であるのに対し、ソーシャルレンディングは「総合課税(給与所得と同じ税率)」です。
また、ソーシャルレンディングは、基本的に源泉徴収された後の金額が入金されます。
ソーシャルレンディングの利回りとリスク
ソーシャルレンディングは、利回りの高さが魅力です。その一方で、「リスクが高いのではないか」という疑問を持つ方も多いです。
リスクが一切ない金融商品はありませんが、リスクとリターンを正しく知ることは投資を成功させるための第一歩です。ソーシャルレンディングの利回りが高い理由、またそのリスクについて解説します。
ソーシャルレンディングの平均利回り
ソーシャルレンディングの平均利回りは、8%を超えると言われています。かなり安定した案件で5%~6%、高いものでは13%という案件もあります。
これに対して投資信託は、利回りが高いもので平均4%~6%と言われていますので、ソーシャルレンディングの方が利回りが高いと言えます。ただし、リスクがゼロというわけではないので、リスクを理解した上で行う必要があります。
ソーシャルレンディングのリスク
ソーシャルレンディングも含め、一般的に金融商品は利回りが高いほどリスクも高くなる傾向にあります。
ただし、ソーシャルレンディングは一般の金融機関よりも貸出金利(借り手に課す金利)を高く設定している一方、「融資の柔軟さ」が売りです。
金融機関からの融資上限を上回っていて資金が不足していたり、少額の案件であることから資金が集まらなかったりする「高収益案件」を優先的にカバーしています。
また、返済さえ確実ならば融資を行うというスタイルです。そのため、一概には「高金利=ハイリスク」とはいえないのです。
特に担保設定がある不動産投資案件などは貸し倒れリスクが低く、過去3年で貸し倒れがゼロという業者もあります。要は案件の選び方次第ということですね。
ソーシャルレンディングに投資するメリット
ソーシャルレンディングに投資するメリットとデメリットを整理します。
利回りが高い
2017年の業界平均利回りが約8%となっており、一般的な投資信託や定期預金、国債と比べると高利回りであることがわかります。
小口投資ができる
業者や案件によって最低投資額は異なるものの、最低1万円という少額から投資ができるのもソーシャルレンディングのメリットです。
1年以内の短期投資が可能
国債のように10年も待つ必要がなく、3か月から2年という期間で計画的な投資ができます。はじめは期限の短い案件に投資し、慣れてきたら徐々に期限を延ばしてくという方法も可能です。
投資や運用の予備知識が不要である
これは投資信託でも同じことが言えますが、予備知識が不要でより高い利回りを期待できるのは大きなメリットです。
また、価格変動がないことから、精神的な負担も少なく「買ったら放置」というスタイルで投資できます。
ソーシャルレンディングに投資するデメリット
元本保証がない
投資全般に言えることですが、ソーシャルレンディングも基本的に元本は保証されていません。ただし、少しでも貸し倒れリスクを防ぐために、借り手から担保をとっている案件は数多く存在します。
延滞の可能性
決まった日に元本と利息が返ってこない「延滞」の可能性があります。これによって、資金計画が狂う可能性がゼロではないことを覚えておくべきです。
ソーシャルレンディング事業者の倒産リスクがある
ソーシャルレンディングを提供している事業者は、経営基盤が弱かったり、資金力が乏しかったりする場合があります。できるだけ体力があり、基盤がしっかりしている事業者を選びたいところです。
ただし、事業者そのものは小規模であっても、大手金融機関と資本提携している場合もありますので、バックグラウンドは正確に把握しておきましょう。
原則的に途中解約できない
投資信託との違いでも述べたとおり、ソーシャルレンディングは一旦契約したら期限が到来するまで現金化できません。そのため、急にお金が必要になっても対応できないのです。必ず余剰資金で行うようにしましょう。
ソーシャルレンディングのおすすめ業者
では最後に、国内のソーシャルレンディング事業者からおすすめを紹介します。各社特徴がありますから、よく吟味して投資するようにしてみてください。以下の業者はいずれも法人向け融資案件で貸し倒れがゼロの業者です。
オーナーズブック
最低投資額が1万円と非常に低額で、投資初心者でもお小遣いレベルから投資できます。また、これまで高額な資金が必要であった不動産投資を、手軽に始められる事業者です。運営会社のロードスターキャピタル株式会が元々総合不動産会社であり、不動産投資・運営・アセットマネジメントに強みを持っています。
LENDEX
LENDEXは東急リバブルの査定結果を利用している点が大きな特徴になります。東急リバブルの査定結果を利用することで担保に対する信頼が高くなっています。
また利回りが10%近く、業界最高水準ですのでハイリターンを狙うことができます。
クラウドバンク
クラウドバンクは応募総額300億円を誇るソーシャルレンディング事業者です。取り扱っている投資案件の種類が豊富で、中でも事業性ファンドが多いです。
一万円からの小口投資が可能のため、気軽に始められます。
maneo
日本国内ではソーシャルレンディングの先駆けともいえる存在で、サービス開始から10年目を迎えている老舗企業です。2017年末には成立ローン総額が1,000億円を突破し、実績ではナンバー1といえるでしょう。
2011年に法人向け融資に転換して以降、比較的安定した案件を供給しています。また、投資先に直接質問できたり、会員ステータスによって特典が付与されたりといったサービスも提供中です。
sbiソーシャルレンディング
大手金融グループのSBIグループに所属しており、安定感は随一と言えるかもしれません。不動産担保ローンが主流です。また、出金手数料が無料であったり、リスクの低い案件が多かったりと、初心者でもソーシャルレンディングを始めやすい環境を提供しています。
案件の利回りは5%~7%が多く、ソーシャルレンディング業界全体としてはやや利回りが低いです。しかし新たにカンボジア技能実習生支援ローンを開始し、利回り10%を掲げています。信用力や安定性と利回りを天秤にかけながら投資したいところですね。
クラウドクレジット
設立当初から「成長期待国への融資」を主力としているソーシャルレンディング事業者です。伊藤忠商事と資本提携していることでも有名ですね。メキシコ・ペルー・ロシア・東欧諸国など、さまざまな地域に投資できるという特徴があります。
また、全体的に利回りが高く、年利8%~13%が主力です。投資対象も零細事業者に融資する「マイクロファンド」や女性起業家を応援するファンドなど、実に多彩。ただし、案件によってはリスクが想定しづらいものもあるため、初心者ならば償還実績のある案件を中心に選びたいところです。
トラストレンディング
不動産担保付きの案件が中心で、平均利回りが10%と、業界平均よりを上回っています。また、営業者報酬(ソーシャルレンディング事業者が受け取る報酬)も明確に記載してあり、案件の透明性が高いです。ただし、募集中案件が少ないため、小まめにチェックする必要があるでしょう。
ローリスク・ミドルリターンを狙えるソーシャルレンディング
日本国内で普及しているソーシャルレンディングは、貸付・ファンド型が大半であることから、実はそれほどリスクが高くありません。担保付の案件であれば、元本が一切返還されない可能性はかなり低いと思われます。
そのため、利回り=リスクと単純には断定できないのがソーシャルレンディングです。また、投資対象の値動きがないことから、どちらかといえば定期預金に近いイメージを持つ方も多いようです。
しかし定期預金とは全く性質が異なり、案件によってはローリスク・ミドルリターンを狙うこともできます。ただし、人気の案件は即日完売になることもありますから、複数の業者に目星をつけておき、定期的に案件をチェックしておきましょう。