ソーシャルレンディング基礎知識

ソーシャルレンディングは安全なの?安全性を調査してみた

投稿日:2017年6月3日 更新日:

ソーシャルレンディングは簡単に行える投資です。難しい知識もいりませんし、初心者とプロの差はあまりありません。投資を行う案件と投資する金額を決めるだけですので、誰にでもできることで人気があります。

一度投資してしまえば、あとは投資した金額(=元本)と利益(=リターン)が返ってくるのを待つだけですので、特別な操作もいりません。

また、リターンの相場も投資額の7%と高い利回りを得ることができます。

しかし、ソーシャルレンディングが日本で始まったのは2008年。日本での歴史が浅く、いつ安全性が損なわれるか分かりません。

ローリスクミドルリターンの投資であるため、人気はありますが、安全性がどれほどなのかしっかり把握してからソーシャルレンディングを始めましょう。

 

ソーシャルレンディングの安全性は揺らいでいる

ソーシャルレンディングはリスクがかなり低い投資として、瞬く間に日本でも浸透していきました。2014年を境にソーシャルレンディング事業者が続々と参入しています。

ソーシャルレンディングの歴史については別の記事で詳しくまとめ済みです。
ソーシャルレンディングはどうやってできたの?成り立ちの歴史

日本のソーシャルレンディングが企業向けのローンに特化してからは、今のところ貸倒れは1件も起きておらず、投資したお金が戻ってこなかったことはありません。

しかし、ソーシャルレンディング事業者がずさんな管理体制だったケースもすでに2件発生しており「ソーシャルレンディングは確実に安全」という声が弱くなっていたのは確かです。

 

現在のソーシャルレンディングの安全性は?


photo credit: haru__q Safety via photopin (license)

万が一の金融危機は不安

どの投資にも言えることですが、もしも金融危機が来た場合には、投資しているお金が全て消し飛んでしまってもおかしくありません。

2008年に起きたリーマンショックのようなことが日本で起これば、ほとんどの事業は倒れます。金融危機はそんなに数年に1回のスパンで起こることでもないので、あまり心配する必要はないかもしれませんが、ソーシャルレンディングから投資を始める方は、投資のリスクの1つとして頭に入れておいたほうが良いでしょう。

 

ソーシャルレンディング事業者のずさんな管理

2015年5月にはクラウドバンク、2017年3月にはみんなのクレジットが業務停止命令と業務改善命令を受けています。それぞれ人気のあるソーシャルレンディング事業者だったのですが、証券取引等監査委員会が行政処分の勧告を金融庁に提出しました。

投資家たちは、自分たちの投資した金額が戻ってこないのではないかと不安になっていましたが、2件とも投資金の払い戻しはあったため、投資家に実害はなく、通常通り元本とリターンは返ってきます。

業務停止命令の理由は、急な投資案件の増加による人員不足や投資されたお金を別のものに融資していた実態もあったようです。

資金管理に問題はなく、投資家に支払える状況であったというものの、管理体制がずさんであったことは間違いありません。今回の2件はソーシャルレンディングの基盤が崩れるような事態が起きたわけではなかったので、安全性に疑問は残るものの、今もソーシャルレンディングの人気が続いています。まだまだソーシャルレンディングが完成された投資体系ではないことは明白ですので、注意しておいたほうが良いでしょう。

株取引で資金を失う時は、ほとんど自分の責任ですが、ソーシャルレンディングの場合は、投資家の知らぬところで被害を被ってしまう可能性があるため、気をつけなければいけません。

いつソーシャルレンディングの安全性が損なわれてしまうのか分かりませんので、ソーシャルレンディング業界の動向をチェックする必要はあります

 

貸倒れの可能性は1%以下?

貸倒れとは、投資先の企業が倒産などの理由で返済ができなくなったときのことを言い、デフォルトとも呼ばれます。

過去を遡ると、日本のソーシャルレンディングで貸倒れが起きたことは事実です。

2008年にソーシャルレンディングが日本で始まりましたが、その頃は企業だけではなく、個人に対しても融資を行っていました。ただ、個人相手だと融資されたお金をだまし取る詐欺や事業失敗などのトラブルが相次ぎ、貸倒れが次々に起こってしまったのです。そのため、損失のあった投資家もいました。

今ではどのソーシャルレンディング事業者も個人向けの融資を辞めて、企業のみ貸付を行っています。

そのため、新しい体制になってからのソーシャルレンディングの貸倒れは1件もありません。どのソーシャルレンディングも貸倒れ率(=デフォルト率)は0%だと公開しています。

ソーシャルレンディングは安全性の高い投資として人気なのは、貸倒れが1件も起こらないようになったからです。

 

ソーシャルレンディングで安全に投資するために

投資額は少額に

ソーシャルレンディングの投資額は事業者ごとによって違いがあるのですが、大体の案件は1万円から投資することができます。1つの案件に数百万円を投資する人もいるのですが、最初は最低金額で投資を始めましょう。

確かにこれまで貸倒れが起こっておらず、ほぼ確実にリターンに期待できるので、できるだけ多くの資金を投資してしまいたくなります。

しかし、ソーシャルレンディングはまだ出来たてのサービスですので、石橋を叩いて渡る気持ちで投資をしたほうがリスクは下がります。

安全性を重視するのであれば、最初のうちは少額投資を心がけましょう。

 

複数の案件に投資する

ソーシャルレンディングの基本は「少額投資を複数の案件に」と憶えておきましょう。

1つの案件に全資産を投資してしまうよりも、その資産を分割して複数の案件に投資することがリスク軽減に繋がります。もし1つの案件に貸倒れが起きても、他の案件からのリターンで損失を回収することも可能です。

極端な例えですが、1つの案件の利回りを7%だと仮定すると、13件のファンドに投資しておくことで、貸倒れが1件起きても損失を回収できるようになっています。

ソーシャルレンディングはこれまで貸倒れが1件もないところを見ると、これからも貸倒れが起こる確率は低く、投資先を分散しておけば、投資した金額よりも返ってきた金額のほうが少ないということはないでしょう。

複数の案件に投資するだけで安全性はかなり高く保たれます。

 

複数の事業者に登録する

「少額投資を複数案件に」が基本になりますが、それでも全ての投資金を損失してしまうリスクはあります。

それは登録しているソーシャルレンディング事業者が潰れてしまった場合です。あなたと企業をつなげるパイプ役であるソーシャルレンディング事業者が潰れてしまえば「少額投資を複数案件に」していたとしても、全ての資金を持っているのは事業者です。事業者が何らかの理由で潰れてしまえば、損失が大きくなってしまうので、できれば複数の事業者に登録することをおすすめします。

あまり登録しすぎると管理が大変になるため、3件ほどは登録しておいたほうが良いでしょう。

「少額投資を複数案件に複数の事業者で」
この3つを守れれば、リスクはかなり低く抑えることができます。トータルの投資金額を決めて、それをちょうど事業者毎に分割して投資するようにしましょう。

この3つを守ってこそ、ソーシャルレンディングは安全性の高い投資と言えます。

 

借金はするな!余剰資金だけで始める

ソーシャルレンディングの投資で気をつけることが最後に1つあります。それは、投資は余剰資金だけで行うということです。

ソーシャルレンディングは確かにリスクが小さく、ほぼ確実にリターンが返ってきますので、ついつい多額で投資してしまいたくなります。しかし、ソーシャルレンディングで投資したお金はある程度の期間が経たないと返ってきません。

生活資金ギリギリまで投資してしまうと、万が一の際に手元にお金が無い状況となってしまいます。ソーシャルレンディングは一度投資したら途中解約することはできません。急なお金が必要になった時に、ソーシャルレンディングに投資したお金はあてにできませんので、最悪借金をしてしまうリスクもあります。

とても美味しい投資なので、ついついやりすぎてしまいそうになるかもしれません。しかし、借金してしまったら何のための投資か分からなくなってしまいますので、ある程度の生活資金は手元に残して、投資をするようにしましょう。

 

株やFXよりは安全性が高いといえるソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは投資と言っても、株やFXほど高い収益を望める投資ではありません。しかし、安全性は抜群です。

株やFXをしている人にとってはあまり面白みのない投資かもしれませんが、銀行にお金を余らせている人にとっては貯金を簡単に増やすことのできる投資と言えます。

仕組みとしてはお金の預け先が銀行からソーシャルレンディング事業者になっただけですので、預け先を変えるだけで金利が数百倍も上がると考えるとかなりおいしい投資です。

しかし、安全性の高さを比べると銀行のほうが安全なのは確実でしょう。もしも、ソーシャルレンディングに興味がある場合は、ほとんどの案件が1万円から投資できますので、試しにやってみるのも悪くないと思います。

投資の世界は実際に経験しないと分からないこともありますので、少額で投資の世界を覗けるソーシャルレンディングは、初心者でも参入しやすい良い投資であることは事実です。

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