安室さんコンサート:療育手帳で入場断られ…

09.26 16:43 毎日新聞社

 引退した歌手の安室奈美恵さんが2~6月に開催した最後のコンサートツアーで、知的障害者に発行される「療育手帳」を身分証として提示した客が入場を断られた問題で、当事者から「取り返しがつかない」と憤りの声が上がっている。本人確認の業務を請け負った電子チケットサービス大手の「ボードウォーク」(東京都千代田区、飯田尚一社長)は、入場を断られた客にチケット代を返金する方針だが、国会議員が厚生労働省に対応をただすなど、問題は広がりを見せている。【大村健一/統合デジタル取材センター】

ダウン症の妹「来年は入れるよね?」 母は絶句


 「入場を拒否された妹は事情が分からず、母に『安室ちゃんのライブ、来年は来られるかな? 入れるかな?』と繰り返し聞いていました。引退するから来年はもうないことを妹は理解できないと思った母は『そうね……』と答えるしかありませんでした」

 宮崎市に住む会社員の湯浅雅代さん(36)は2月25日、福岡市中央区の「福岡ヤフオク!ドーム」で開催された安室さんのコンサートツアーに母親と姉妹3人の計4人で参加した。

 2番目の妹愛子さん(34)はダウン症。音楽が好きで、安室さんや浜崎あゆみさんのコンサートに姉妹でよく行った。「愛子はコンサートの後、うちわやペンライトを片手にいつも楽しそうに踊っています」と、雅代さんは話す。雅代さんは安室さんのファンクラブ会員で、会員向けの先行抽選でチケットを手に入れた。福岡にライブを見に行くことは、家族にとって数年に1度のぜいたくでもあった。

別の場所に連れて行かれ……


 愛子さんは普段から療育手帳を身分証として使っている。今回のコンサートでも、ボードウォークが「障害者手帳」を身分証の一つと認めていたため、療育手帳を持っていった。

 障害者手帳とは一般的に療育手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類を指す。いずれも都道府県や政令指定都市などが発行するが、療育手帳は国の通知で規定されているのに対し、それ以外の二つの手帳は法律で規定されているという違いがある。

 雅代さんたち4人は開演2時間前に入場ゲートに着き、係員に身分証を見せたところ、療育手帳を見せた愛子さんだけ別の場所に連れて行かれてしまった。

 愛子さんは係の男性に「療育手帳は国から発行されたものではないので入場できない」と言われたが、意味がのみ込めず、係員に何度も手帳を見せた。見かねた雅代さんが駆けつけて説明したが、係員は「入場できない」の一点張り。やむなく愛子さんの入場を諦め、母親が付き添って会場の外に残り、雅代さんと一番下の妹だけで入場した。

「障害者手帳」なら有効とチケット会社は説明


 ステージに近い席だったが「愛子と母の空席が気がかりで、あまり楽しめなかった」と雅代さんは振り返る。

 ホテルに戻って改めてボードウォークの公式サイトを調べたが、療育手帳が使えないとはどこにも書かれていなかった。

 ボードウォークは昨冬のチケット販売開始当初、障害者手帳も身分証として有効と公式サイトで説明していた。その後、安室さんのコンサートツアー中の今年3月上旬に「複数の呼称や様式があり、多数を短時間に入場させる必要のある大規模コンサートにおける本人確認作業になじまない」として、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳の2種類に限る旨の注意書きを加えていたが、愛子さんが入場拒否されたのは、この注意書きが公表される前のことだ。

「楽しかったはずの時間を返してほしい」


 「運転免許証だって都道府県(の公安委員会)が発行しているのに……」と雅代さんは納得がいかない。安室さんのファンクラブにもメールで問い合わせたが「ボードウォークに問い合わせてほしい」と素っ気なく、なすすべがないまま安室さんは引退してしまった。

 ボードウォークは8月26日に返金の告知を公式サイトに掲載。雅代さんはそのことを毎日新聞の取材で初めて知った。返金は申し込んだが、わだかまりは消えない。「お金より、私たちの楽しかったはずの時間を返してほしい。ボードウォークには、取り返しのつかないことをしてしまったことを分かってもらいたいです」

名古屋でも同じトラブルの報告


 同じような訴えは他にもある。

 「あまりぐずぐずしていると警察を呼びます」--2月中旬に開催された安室さんのナゴヤドーム(名古屋市東区)でのコンサートで、知的障害がある愛知県田原市在住の女性は本人確認の際に療育手帳を出して認められず、押し問答になった末、係員にそう言われたという。

 これは愛知県岡崎市の社会福祉審議会の分科会で、知的障害者の支援団体「岡崎市手をつなぐ育成会」の山田美佐子代表(55)が紹介した事例だ。この分科会の議事録はネット上に公開されている。

 山田さんによると、この女性は諦めて帰宅した。ボードウォークに返金の申請はしたが、「お金の問題ではない」と残念がっていたという。

 山田さんは「療育手帳は、東京都では『愛の手帳』と名付けられるなど、都道府県によって名称や形が異なることが多い。障害者手帳としてなかなか認識されないので、こうした問題が起きたのではないか」と話す。

条件変更の告知が「あまりにも分かりづらかった」


 「告知があまりにも分かりづらかった」と憤る人もいる。

 知的障害を持つ兄のために4月26日の京セラドーム(大阪市西区)公演のチケットを申し込んだという女性のもとには1月、ボードウォークから「【重要】入場時の注意事項について」というタイトルのメールが送られてきた。そこでは限定なしで「障害者手帳」が身分証として認められていた。

 ところが、4月上旬に再び「【重要】入場時、指定身分証による本人確認の実施について」というメールが届いた。そこでは有効な身分証について「障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳のみ可)」と表記が変更されていたが、タイトルや本文にそのことが書かれておらず、女性は気づかなかった。

 女性はこの変更に公演前日に気づいたが、兄の身分証は他になかったため、問い合わせた。しかしボードウォークは「もし今回入場を許可したら『今まで断ってきた人はどうなのか』となってしまう」などと主張し、結局入れてもらえなかった。

精神障害者保健福祉手帳でも拒まれた?


 療育手帳以外の障害者手帳でも拒まれたと訴えるケースもある。

 川崎市の女性は5月2日の東京ドーム(東京都文京区)公演で、同市の精神障害者保健福祉手帳を提示したが、「国が発行したものではない」と入場を断られた。あきらめきれず、終演後に「これで入れますか」と別の係員に手帳を見せたところ「入れます」と答えたという。「対応が一貫していないと感じた」と女性は話す。この件について、ボードウォークは「スタッフ全員に確認したが、確認できなかった」と説明する。

「差別に当たる可能性否定できず」と厚労省


 毎日新聞がこの問題をニュースサイトで最初に報じた19日以降、「ひどい」「対応が不誠実だ」などツイッター上には多くの批判が投稿された。

 長島昭久衆院議員(無所属、元副防衛相)は21日に「なんと!大変驚いている。二度とないコンサート。思い出はお金に換えられない。こんなことが二度と起こってはなるまい。療育手帳が身分証明になることがきちんと徹底されているのか、早速、厚生労働省から話を聞く」と投稿。同日「療育手帳がIDとしての有効か否かについては主催者の判断に委ねる他ないが、他方、本件が障がい者差別に当たる可能性は否定できず、主催者側の理解不足、対応の不備との批判は免れない」との厚労省の見解も投稿した。

 長島氏は取材に「今後は障害者手帳の制度の統一や、療育手帳の根拠となる規定の法制化など、根本的な問題解決に向けた努力をしたい」と答えた。

他のアーティストのコンサートでもあった?


 ボードウォークは9月30日まで、同社のサイトで返金の手続きを受け付けている。毎日新聞は同社に対し▽これまで何件、返金の求めがあったか▽いつから療育手帳を提示した客の入場を断っていたのか▽謝罪や返金の告知は公式サイトへの掲載以外の手段でもしているのか▽返金の期限を延長する考えはないか--などについて25日までに見解を求めたが、26日現在、まだ回答はない。

 また、同社は今回の返金について、安室さんのコンサートでのトラブルとは明示していない。同社は人気バンド「Mr.Children(ミスターチルドレン)」など、他のアーティストの公演も手がけている。安室さん以外のコンサートでも同様のトラブルがあったのかどうかについても同社に問い合わせているが、未回答だ。

 一方、前述した「手をつなぐ育成会」代表の山田さんによると、2016年に人気アイドルグループ「嵐」が開催した公演でも、最終的には入場できたものの、ダウン症の女性に対して同種のトラブルがあったという。ボードウォークの運営ではなかった。

 別の業者のチケットでは、有効な身分証として身体障害者手帳のみを挙げ、精神障害や知的障害のある客が障害者手帳を使えないケースもある。

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鉄道:台風予測 広がる「計画運休」 リスクを回避

09.26 14:23 毎日新聞社

 台風シーズンに、鉄道の運休をあらかじめ告知する「計画運休」が京阪神エリアで浸透しつつある。今月4日に近畿地方などに上陸した台風21号を巡っては、JR西日本だけでなく、南海、京阪も初めて実施。大型で非常に強い台風24号が沖縄の南を北上する中、利用者からは運用の改善を求める声も上がる。【山下貴史】

 「企業活動に影響を及ぼしたのは申し訳ないが、無理に出社してもリスクに直面する。有事では一定程度必要な措置ではないか」。JR西の来島達夫社長は19日の定例記者会見で、計画運休についてこう語った。JR西は3日午前10時45分の段階で、翌4日の京阪神エリアの計画運休を公表。4日正午過ぎまでに近畿の全線で運転を取りやめた。

 同社が京阪神の全線運休を前日に知らせるようになったのは、2014年10月の台風19号からだ。この時は結果的に台風の勢力が弱まり、他の私鉄が運行したこともあって苦情が寄せられた。

 だが、計画運休を見送った15年7月の台風11号では、東海道線の新快速電車が駅間で約4時間立ち往生し、19人が救急搬送される事態に。同社は台風の中心気圧が950ヘクトパスカルより強い勢力で近畿を縦断すると予想される場合などは、前日夕までに全線運休を知らせる指針を策定している。

 今月の台風21号では、JR西に続き、南海電鉄が3日正午に、京阪電鉄も同日午後5時に、それぞれ計画運休実施を公表。両社とも4日正午過ぎから全線で運転を見合わせた。

 ただ、京阪は告知が夕方になったとあって、広報担当者は「『もう少し早く教えてもらえるとありがたかった』という利用者の声があった」と明かし、「どの程度の台風の規模の時に計画運休の判断をし、いつ公表すべきかが課題だ」と話す。

 一方、阪急電鉄、阪神電鉄、近鉄は「安全が確認できる間は走らせる」として事前告知は見送り、台風の影響が大きくなった4日正午前後にいずれも全線運休した。これに対し、大阪府北部の自治体で働き、阪急京都線で通勤する女性は「事前に知らせてもらった方がありがたかったかも」と振り返る。朝出勤はしたが午後の運休で帰宅できなくなると判断し、ほとんど仕事をせず午前中のうちにとんぼ返りしたという。

 ある鉄道会社幹部は「運転中に台風による飛来物で架線が切断され、停電で電車が駅間で止まったり、冷房が利かなくなったりする可能性があった。乗客に線路を歩かせるわけにもいかない」と語り、計画運休に理解を求めた。

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警視庁:空自隊員が受け子 詐欺容疑で逮捕

09.26 12:13 毎日新聞社

 警視庁青梅署は26日、東京都青梅市の80代の女性からキャッシュカードをだまし取ったとして、埼玉県狭山市稲荷山2、航空自衛隊入間基地の空士長、藤原聖也容疑者(24)を詐欺容疑で逮捕したと発表した。

 逮捕容疑は8月28日、仲間と共謀し、百貨店員や警察官を装い「店に不審な女性が来ている。あなた名義のカードを何枚も持っている。カードを止めなければだめだ。これから取りに行く」などと女性の自宅に電話をかけ、キャッシュカードとクレジットカード計7枚をだまし取ったとしている。

 青梅署によると、藤原容疑者は特殊詐欺グループの受け子や出し子役で、だまし取ったキャッシュカードでコンビニエンスストアの現金自動受払機(ATM)から300万円を引き出したとみられる。容疑を認め「インターネットで知り合った人に仕事を紹介された。詐欺だと分かっていたが、金がほしかった」と供述しているという。

 入間基地司令の影浦誠樹空将補は「隊員が逮捕されたことは誠に遺憾。事案の内容を確認し、厳正に対処します」とコメントを出した。【山本有紀】

大相撲:番付編成会議 貴乃花親方は欠席

09.26 11:54 毎日新聞社

 大相撲九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)の番付編成会議が26日、東京・両国国技館で行われ、審判部所属で25日に日本相撲協会に引退届を提出した貴乃花親方(46)=元横綱=は会議を欠席した。協会は親方の退職に必要なのは「引退届でなく退職届だ」として、引退届を受理していない。

 貴乃花親方は2月の理事候補選挙で落選し、取組の勝負審判や番付編成を担当する審判部に配属された。3月には春場所中に弟子が付け人に暴力を振るった責任を問われ、親方の階級で最下位の年寄に降格された。【飯山太郎】

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大阪地裁:たこ焼き店脱税、起訴内容認める 初公判

09.26 11:51 毎日新聞社

 大阪城公園(大阪市中央区)でたこ焼きなどを売って得た所得を申告せず、約1億3200万円を脱税したとして所得税法違反の罪に問われた軽食店経営者、宇都宮タツ子被告(72)=西成区=は26日、大阪地裁(増田啓祐裁判長)の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、脱税の動機について「貯蓄したいと考えていた」と指摘。「将来への不安があった」と供述していたことも明らかにした。

 起訴状などによると2014~16年、大阪城公園で「宮本茶屋」を経営し、約3億3000万円の所得を申告せず、所得税の納付を免れたとされる。

 店舗は1989年に開店し、2013年ごろからインバウンド(訪日外国人客)の増加で売り上げが急増したという。14年から3年間で約5億8000万円を売り上げたが、一切申告していなかった。問題の発覚後は営業を自粛している。【高嶋将之、松本紫帆】

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大道芸人:ギリヤークさん 50周年の新作、来月披露

09.26 11:24 毎日新聞社

 今年10月に街頭デビュー50周年を迎える大道芸人、ギリヤーク尼ケ崎さん(88)が10月の東京・新宿公演で披露する新作の舞「果たし合い」の練習に励んでいる。新作には50年近く懇意にしている俳優の近藤正臣さん(76)から譲り受けた刀のつばを使う。ギリヤークさんは「この踊りは、一人称のチャンバラ。日本人が失いかけた郷愁を表現する」と意気込む。

 ギリヤークさんと近藤さんの出会いは1970年にさかのぼる。新宿の歩行者天国で熱演するギリヤークさんを近藤さんがたまたま見かけたのがきっかけだった。

 国内外を問わず、しばしばゲリラライブのように踊っていたギリヤークさん。路上を縦横無尽に跳びはねる舞をしていると、警察にストップをかけられた。その様子を見た近藤さんが「歩行者天国だから自由だろ」と警官に抗議し、一緒に交番まで行ったことで2人の交流が始まった。

 ギリヤークさんが都内の近藤さんの自宅に呼ばれたある日のこと、近藤さんがアンティークとして持っていた二つの刀のつばが目に留まった。「近藤さん、これ、貸してください。作品を作るから」。その後、作品作りは前に進まず、刀のつばは数十年間、ギリヤークさんの自宅の引き出しで眠っていた。

 転機となったのは今年5月。2人は十数年ぶりに都内で再会を果たした。ギリヤークさんは、刀のつばを使った新作の構想を語った。ただ、ギリヤークさんはパーキンソン病で手足が震え、背骨が曲がる「脊柱(せきちゅう)管狭さく症」なども患い、体は自由が利かない。それでも近藤さんはギリヤークさんの「精神は衰えていない」と感じたという。

 「果たし合い」は5分強の演目だ。ギリヤークさんがあこがれる宮本武蔵の剣術をイメージしながら、自身の初期の代表作の一つである「念力」の音楽に乗せて演じる。8月の北海道公演で「試演」し、10月8日に新宿三井ビル「55ひろば」で披露する。この新宿の公演は78年から毎年欠かすことなく続けており、芸人生命をかける場でもある。

 5月の再会後、近藤さんは直筆メッセージをギリヤークさんに送った。

 とてもきびしい道でしたね あなたの人生は、芸能者の原点をつらぬいた立派な生きかたです 大道芸人ギリヤーク尼ケ崎 五十年おめでとう そしてありがとう

 近藤さんは毎日新聞の取材に「(ギリヤークさんは)昔のように動き回って、跳び回ってということはできないが、心で演じる新作だと思っている。どんな舞になるか見たい」と語った。

 ギリヤークさんは68年10月、38歳の時に初めて東京・銀座の路上で舞った。70年代半ばからはフランスや米国など海外にも活動の場を広げ、現地でも大きく報道された。観衆の「投げ銭」を糧に生きるまれな芸風から「最後の大道芸人」とも称される。「観客も夢を持って見に来てくれる。この50年で体はボロボロになったけど、第一人者の誇りを持って、精魂込めて踊らせていただきます」とギリヤークさんは話している。【後藤豪】

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風疹:流行続く 患者127人増

09.26 11:09 毎日新聞社

 国立感染症研究所は26日、風疹の患者が10~16日の1週間で127人増え、今年の累計で642人になったと発表した。患者報告は2週続けて100人以上となり、流行が続いている。

 都道府県別で新たな患者が多かったのは、東京39人▽千葉38人▽神奈川14人▽愛知、茨城8人▽埼玉7人--の順。患者の内訳は30~50代男性が多く、感染研は免疫の有無を調べる抗体検査や、ワクチン接種を呼びかけている。【野田武】

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日韓首脳会談:安倍首相「金委員長と直接向き合う用意」

09.26 10:15 毎日新聞社

 【ニューヨーク高山祐、渋江千春】安倍晋三首相は25日午前(日本時間26日未明)、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と米ニューヨークで約50分間、会談した。文氏は18~20日に行われた南北首脳会談の際、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「適切な時期に日本と対話し、関係改善を模索していく用意がある」と述べたことを首相に伝達。首相は拉致問題の解決に向けて「相互不信の殻を破り、金委員長と直接向き合う用意がある」と表明した。

 文氏は冒頭で南北会談について「首相のメッセージを金氏に忠実に伝え、その答えも聞いた。朝鮮半島の平和構築のため、日朝首脳会談の実現に積極的に協力する」と述べた。首相は、文氏が南北会談で拉致問題に言及したことに謝意を伝えた。文氏は南北会談の詳細を説明し、両首脳は朝鮮半島の非核化に向けて北朝鮮に対する制裁を維持する必要があるとの認識で一致した。

 韓国の青瓦台(大統領府)によると、文氏は2015年の慰安婦問題に関する日韓合意に基づき、日本政府が出資した10億円で設立された「和解・癒やし財団」について「(元)慰安婦のおばあさんと国民の反対で財団が機能できない状況だ。国内で財団解散を要求する声が高い。賢明に決着をつける必要がある」と述べた。財団の事実上の解散を示唆したとみられる。これに対し、首相は「合意の着実な実施が必要だ」と改めて主張した。

 両首脳は、今年が1998年10月の日韓共同宣言から20周年に当たることを踏まえ、両国関係を発展させることを確認。文氏の早期訪日についても協議した。

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ゼロ戦:個人宅の資料館で公開 機体名は「報国-515」

09.26 09:05 毎日新聞社

 太平洋・ソロモン諸島のガダルカナル島で見つかった零式艦上戦闘機(ゼロ戦)の残骸が海を渡り、千葉県松戸市六実の個人宅の庭に作られた資料館で公開されている。後部胴体や右主翼がきれいに残っており、塗装や戦闘機名の標記が当時の状態のまま確認できる。公開している陸上自衛官、中村泰三さん(50)は「当時の航空技術を正確に伝える貴重な資料。戦時中の時代背景に思いをはせるきっかけにしてほしい」と話している。【加藤昌平】

 20平方メートルほどの資料館に公開されているのはゼロ戦21型の断裂した後部胴体、右主翼、左水平尾翼、同じ場所で見つかった別の機体の主脚など。昨年3月ごろ、ガダルカナル島のジャングルで発見されたもので、オーストラリアの戦闘機愛好家の下に運び込まれた。

 中村さんは2001年、たまたま訪れた河口湖自動車博物館・飛行館(山梨県鳴沢村)で目にしたゼロ戦の復元機に感動し、同館などで計器の復元などを手伝うようになっていた。昨年10月、ガダルカナル島で見つかった機体について愛好家から聞き、「日本国内で当時の状態のまま残すべきだ」と機体の引き取りを決意。中村さんの知人で戦時中の広島県呉市の庶民の暮らしを描いたアニメ映画「この世界の片隅に」の片渕須直監督が機体の持ち主になることを名乗り出て、同11月にオーストラリアから日本へ運ばれ、中村さんの自宅で保管、展示することになった。

 機体の所属部隊は不明だが、後部胴体には「報国-515(広島県産報呉支部号)」と機体名が記されていた。中村さんが当時の新聞記事を調べたところ製造の経緯がわかり、呉市の産業報国会員が提供した資金によって1942年3月31日に製造されたものと判明した。残骸に残された製造番号や当時の資料から、この機体が墜落した理由についても調べている。

 「残された機体からゼロ戦の歴史や、目的に応じて改造されてきた経過が分かる」と中村さん。片渕監督も「残骸から当時の機体の運用の状況を知りたい」と話しているという。ゼロ戦を巡る歴史や技術を広く伝えるため、月1回、10人限定で無料で一般公開している。他の博物館への貸し出しも考えている。中村さんは「製造会社の社風によってゼロ戦の部品や技術に違いがあり、魅力的。展示をみて戦争について考えてほしい」と話す。

トランプ米大統領:自慢に失笑 国連総会で各国指導者

09.26 08:54 毎日新聞社

 【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領が行った25日の国連総会一般討論演説で「米史上最も多くの成果を上げた」との主張に各国指導者から笑いが起きる場面があった。「米国は世界の笑いものになっている」と、歴代政権の国際協調路線や貿易政策を批判してきたトランプ氏だが、自らがその対象になってしまった。

 演説の冒頭、「私たちの並外れた進展を披露したい」と宣言したトランプ氏が「(就任から)2年足らずで、我が政権は米国史上ほぼすべての政権より多くのことを成し遂げた」と真顔で語ると、議場内に失笑がさざ波のように広がった。このフレーズは自身の選挙集会などで繰り返し、支持者から歓声の上がる「十八番」。しかし、普段と異なる聴衆の反応にトランプ氏は一瞬言葉を詰まらせ、「本当だ」と付け加えると笑いはさらに大きくなった。トランプ氏は「このような反応は予期していなかったが、まあいいさ」と苦笑いで語り、演説を続けた。

 地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」などさまざまな多国間の枠組みに背を向けるトランプ政権に対する国際社会の冷ややかな視線が浮き彫りになった。ネット上では「この国には世界の笑いものにならない指導者が必要だ」というトランプ氏自身の過去のツイートが拡散し、「本当に……」といった反応があふれている。

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