NASAは火星への有人宇宙飛行を計画した。
しかし、火星は遠く、何かあっても救助を差し向けることはできず、無事に地球に帰って来られる可能性は極めて低い。
そこでNASAは、それでも火星に行きたい、という勇気ある人材を公募した。
同時に、報酬についての希望も尋ねることにした。
3人の男が応募し、面接にのぞんだ。
最初の応募者は、技術者だった。
インタビュアーは彼の応募の動機と希望する報酬について尋ねた。
技術者:「私は、人類の発展に寄与するために火星に行きたいと思います。また、この任務を遂行する報酬として100万ドルください。生きて帰って来られる可能性が低いので、私はそれを出発前に母校であるマサチューセッツ工科大学に寄付します」
2人目の希望者は医者だった。
インタビュアーは彼にも同じ質問をした。
医師:「私は医者なので、人間がどこまで火星への有人飛行に耐えられるか興味があります。報酬としては200万ドルを希望します。生きて帰って来られる可能性が低いので、出発前、そのうち100万ドルを家族に渡し、残りの100万ドルを医学研究の発展のために寄付したいと思います」
最後の応募者は弁護士だった。
彼は、インタビュアーに近づき、耳元でささやいた。
弁護士:「私を選んで300万ドルを報酬として渡してくれれば、100万ドルをあなたの銀行口座に振り込み、100万ドルをマサチューセッツ工科大学に振り込み、残りの100万ドルを仲介料として私がそのまま受け取り、人類の発展に寄与したい優秀な技術者を火星に派遣できますよ」