254損害賠償345万円請求裁判判決/おにぎり代を払え
■9月25日、東京地裁にて判決が言い渡されました。原告家庭連合は、私と私の姉及び秋月さん夫婦の4名を相手取り、連帯して344万9256円を支払えという訴訟を提起していました。■判決の主文は以下です。
1 被告地平は、原告に対し、25万4592円を支払え。
2 原告のその余の請求をいずれも却下する。
3 訴訟費用は、これを13分し、その1を被告地平の負担とし、その余は原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
■25万4592円の内訳は以下になります。
①おにぎり代12万1000円
②警備費用11万0592円(2/19と2/26の2日分のみ)
③弁護士費用2万3000円
■私一人が賠償責任を問われました。他の3名には責任は問われませんでした。それは、私が1月22日に松涛本部に入ったこと及び、私が2月12日に堀夫婦を松涛本部に立ち入らせたことが、私の不法行為として認定されたからです。その不法行為を前提として、おにぎりのキャンセル代及び警備費用に責任があるという判断です。警備費用が2日分に限定されたのは、私の不法行為(侵入態様等)の違法性が高いとは言えないということが理由になっています。
家庭連合からの賠償請求金額のうち、弁護士費用が266万4056円と、その大部分を占めているのですが、弁護士費用については「被告地平は、原告に対して23万1592円を賠償すべきであるところ、弁護士費用は2万3000円が相当である」として、大幅に縮小されています。
「3 訴訟費用は、これを13分し、その1を被告地平の負担とし、その余は原告の負担とする」とありますが、これは家庭連合の損害賠償請求額に対して、裁判所が認めた25万4592円が約13分の1だからです。「訴訟費用」とは、印紙代のことであり、本件の印紙代は2万3千円です。
家庭連合としては不服のある判決でしょう。控訴するかも知れません。私の方は控訴するにしても、関係者は私一人で身軽になりましたので、いかようにも判断することができます。
■以下は判決文の結論部分です。(日を改めて全文掲載します)
***
(5)以上によれば、被告地平については、1月22日に本部教会に立ち入った行為、2月12日に本部教会に堀夫婦を立ち入らせた行為及び3月5日に宮崎台国際研修センター付近において、同所に向かつてマイク及びスピーカーを使用して教義上の疑問を投げかけた行為につき、不法行為が成立し(同日の行為については、被告俊三及び被告○○との共同不法行為となる。)、被告俊三及び被告○○については、同日の同行為につき被告地平との共同不法行為の成立が認められる。他方、被告○○については、本件証拠関係のもとでは、何らの不法行為の成立も認められない。
3 争点(2)(損害及び因果関係)について
(1)おにぎりについて
ア 原告は、被告らの行為によって、当初2月5日に開催する予定であった本件イベントを開催することができず、同イベントのために用意したおにぎりをイベント参加者に配布することができなかったことから、おにぎり代金12万1000円の損害が生じたと主張する。
イ (ア)そこで検討するに、前提事実(3)イによれば、原告は、2月5日の本件イベント後に配布するために、おにぎり1000個を12万1000円で購入したこと、前記認定事実(7)アによれば、同日に予定されていた本件イベントを中止したためこのおにぎりを当初予定していたように配布することができず、最終的には同日の日曜礼拝に参加していた信徒等に持ち帰ってもらったこと、本件イベントは、同月12日に延期され、原告は延期されたイベントのために、再度おにぎりを購入したことが認められる。
そして、前述したように、被告地平は、1月22日に本部教会に違法に立ち入っており、大きな騒動になるとともに、この際には警察も臨場していることからすれば、原告において、被告地平が再び抗議活動を行うという情報に接して、このままではトラブルが生じて本件イベントが円滑に実施できないと考えて、その実施の延期をしたことも不合理とはいえない。そうすると、原告において2月12日におにぎり代として支出した12万1000円は、被告地平の1月22日の本部教会への違法な立入り行為との聞に相当因果関係の認められる損害ということができる。
(イ)この点、被告地平は、1月22日に自身が本部教会前での活動をした後、2月5日に再度活動することを同人が運営するブログにおいて告知しており、原告職員は同ブログを確認しているはずであるから、おにぎり代のキャンセル料が発生する前にイベント延期を決定することができた旨主張する。
しかしながら、原告職員が早期に同ブログを確認していたと認めるに足りる証拠もなく、また、仮に原告職員が早期に同ブログを確認していたとしても、事前に告知をしていた本件イベントを実際に中止するかどうかの判断に時間がかかることも十分に考えられることからすれば、原告がおにぎり代金のキャンセル料が発生する前に本件イベントの延期を決めなければならなかったということはできず、被告地平の主張は採用することができない。
ウ 以上より、被告地平は、おにぎり代12万1000円を賠償する義務を負う。
エ 他方、被告俊三及び被告○○に成立する共同不法行為は、3月2日に行った行為に関するものであることから、2月5日に開催される予定だった本件イベントに関する損害との間に因果関係がないことは明らかである。
(2)警備費用について
ア 前期前提事実(3)及び前記認定事実(6)によると、原告は、2月19日から4月2日に行われた日曜礼拝の警備費用として合計37万6704円を、5月14日に有明コロシアムで開催されたイベントに関する警備費用として28万7496円を支出したことが認められる。
イ そして、前述したように、被告地平には、1月22日に本部教会に立ち入ったことと、2月12日に堀夫婦を本部教会に立ち入らせたことについて、不法行為が成立するところ、被告地平の立入り行為等によって、本部教会においては大きな騒動が生じ、警察官も臨場していることからすれば、その後の一般礼拝の実施にあたり、被告らの抗議活動から礼拝参加者や原告職員等の安全を確保するために警備員を雇う必要性があったことは否定できない。
ただし、被告地平による立入り行為等は、いずれも、その侵入態様等において違法性が高かったとまではいえず、また、その後は、鐘築弁護士による通知等の効果もあって、被告地平が本部建物に立ち入ろうとしたこともなかったことからすると、実際に原告が依頼を続けていた期間全般において警備員の派遣を継続する必要性があったとまでいうことはできない。
そこで、本件では、被告地平の立入り行為等との関係において、2月19日及び同月26日分に限っては警備の必要性を認め、その費用を相当因果関係の認められる損害とするが、それ以降については警備の必要性が認められず、その費用は相当因果関係のある損害ということができないと解するのが相当である。
以上によれば、被告地平の上記行為と相当因果関係のある損害額は、11万0592円(同年2月19日の6万3072円、同月26日4万7520円(4万4000円+消費税8パーセント)となる。
ウ 他方、被告地平、被告○○及び被告俊三については、3月2日に宮崎台国際研修センター前においてマイクとスピーカーを用いて教義上の疑問を投げかける等の行為を行ったことについて共同不法行為が成立するが、これは、社会通念上の相当性を超える程度の音量を発生させたことをもって不法行為とするものであり、参加者や原告職員の安全等の確保のために警備を必要とするようなものとはいえない。したがって、その後の日曜礼拝や1万人大会において警備員が雇われたとしても、その費用について、これを被告地平の上記の不法行為と相当因果関係の認められる損害ということはできない。
(3)弁護士費用
被告地平は、原告に対して23万1592円を賠償すべきであるところ、弁護士費用は2万3000円が相当である。
4 したがって、原告は、被告地平に対し、損害賠償金合計25万4595円の支払を求めることができる。
第3 以上の次第で、原告の請求は主文第1項の限度で理由があるからこれを容認し、原告のその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、また、主文第1項については仮執行宣言を付すこととして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第45部
裁判長裁判官 鈴木正弘
裁判官 郡司英明
裁判官 宮里美
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