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織田信長の天下統一を手助けして現代に帰った俺が何故か祭り上げられている件について 作者:インスタント脳味噌汁大好き
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第4話 大日本帝国から孤立する世界

「今の大日本帝国に貿易相手国っているの?」

「……中国に食料を輸出している以外、盛んに交易をしている国はございません」

「……イギリスとは険悪なんだよね。3世紀ぐらいずっと小競り合いを続けている感じ?」

「はい。インドの生産物を独占する大英帝国とは犬猿の仲ですね」


仁美さんと話しながら、どこの国との関係を重視するか、考える。現在、大日本帝国は世界から孤立しているというか、標的にされている状態だ。基本的に相手国を見下している感じがあるから外交が上手くいっていない。為替レートすら定められてないし。


一応中国には食料を売り払っているようだけど、余っている物を高値で売っているだけだから特別仲が良い訳では無い。


現在の日本の貨幣の単位は円で、紙幣が使われている。硬貨は金銀銅が勿体無いから造ってないそうだ。1円札から1万円札までがあり、偽札も一時期は流行したとのこと。偽札を作った人物、組織に対する犯罪には法の適用が為されない、と決めてからは減ったようだが。


……要するに偽札を作ったと国に判断された人には何をしても良いということだ。これは死刑よりも重い刑罰として時々適用されるらしく、服を剥ぎ取っても、皮を剥ぎ取っても、家を燃やしても、髪を燃やしても、財産を奪っても犯罪にならない。偽札を作った人に対して一般国民も「豊森家の発行する紙幣を偽りやがった」という思考が働き、暴力的行為に歯止めがかからない。


モラルもヤバいが税収の仕組みもヤバい。大日本帝国の今の歳入はほぼ10割が税収だ。それだけならまだ良いが、税収は所得税のみ。シンプルかつわかりやすくて嬉しいな。所得税は累進課税で最終的な税率は70%にまで達するけど。国外に逃げないことが不思議なほどだが、よく考えればそこまで累進課税で課せられるのは豊森家の人間だけだった。


「一般国民の平均年収が100万円って、大体2割が所得税で持っていかれるのにどうやって生活してるんだ?」

「……?

あ、米の価格は10㎏で1000円です」

「ああ、ごめん。物価が想定より安かった。食料自給率200%を超えてるんだったな。

……それにしては高くないか?」

「食料品や、日用品の価格は豊森家が一定の価格というものを定めているので、他の商会の販売価格はもう少し安いですよ」

「そっか。社会主義的な面もあるのか。

……まあ、国民全員が全体主義的な思想だしな」


大日本帝国は現在、国有企業の商品と民間企業の商品が同じ市場で売られている。雇用対策として国が国民を雇って生産した食料品や日用品は常に価格が変動せず、安定していると聞いて民間企業が死なないか不安になったが、民間企業は民間企業で独自戦略を組んで商品を売っているとのこと。簡単にリストラが出来るのも、民間企業の生き残りの要因の1つになってそうだ。


あと国有企業の給料は軒並み安い。食料品や日用品の配給がある分だけ安い。これを高くしてしまうと民間企業に人が流れないから、様子を見て上手いこと調整しているとのこと。そこらへんの調整だけは神懸かっている。


例として、国が雇って作った米は普通の米で10㎏1000円、とある農家が作った米は美味しいけど10㎏1200円、別の農家が作った米は普通の米でも10㎏800円、というように国が一定のラインを定め、最悪この価格で買える、という値段を設定している。ちなみに民間企業は安くし過ぎると経済の混乱を招いたとして処罰されるとか。


実際、国が安定した価格で供給することは良い仕組みなのかもしれないが、国の農地で働く国民は実質強制労働だということを考えれば手放しで良いとは言えない。ほとんど農奴みたいな存在だし、元は占領した土地の原住民の男が中心だった。それが今では雇用対策になっている、ということだ。この国に生活保護は無かった。職を失えば雇ってやる、働かないのなら死ね、と言っているのだろう。


ついでに言うと、国有企業の大体が赤字だ。鉄道の敷設や建築、災害対応など、国の下支えをしている企業があるから仕方ないことだけど、せめて黒字を出したい。


まあ、生活保護とかは財源に余裕が無ければ無理ということが国の歳出、歳入を細かく見ているとよくわかる。社会保障制度は60歳以上の老人や障害者への食料品と日用品の配給、のみ。国債については概念自体が無い。


……まだ国債の発行には踏み出させないけど、概念だけは伝えておこうか。


「うん。とりあえず当面の目標はロシアと何故かアメリカの一部を食ってるメキシコとの関係改善にしよう。フランスにもイギリスにも相当恨まれてそうだし」

「フランスは労働者革命以降も全く国交がありませんし、大英帝国……イギリスは日本国民が良い感情を抱いていません」

「……外交面は本当に問題しかないな。

国内は造船所の改良と研究機関の設立を優先かな。研究に必要な物を生産する工場も建てることになるだろうけど」


数時間、仁美さんに付きっ切りで国の予算というこの国にとっての機密情報を教えて貰い、偉そうに色々と言ったけど、仁美さんは終始真剣に話を聞いてくれた。俺のことを妄信し過ぎていて何も言えない。目の前で裸になって、と言えば本当に服を脱ぎそうな雰囲気だ。


「……どうかなさいましたか?」

「いや、何でもないよ」


……抜群のプロポーションを持つ仁美さんだけど、何故かエロい目で見れないのは俺の子孫、という意識があるからだろうか。戦国時代にいた頃は16歳の身体のままで成長しないこともあり、性欲が抑えられず、しかも飽きという感情が湧かなかったためにヤリまくった思い出がある。だけど今は……護衛の凛香さんの豊かな双丘で反応したから性欲が無くなったわけじゃないか。子孫であることも関係ないな。


必死に簡易的な世界地図に文字を書き込んだり、手帳みたいな本に文字を書き込んでいた仁美さんは、作業が終了すると「それでは失礼します」と言ってさっさと部屋から出て行ってしまった。部屋に残ったのは俺一人。手持ち無沙汰になりどうしようか悩んでいると、凛香さんが複数の女性を引き連れて部屋の中に入って来た。


「私達は秀則様の護衛、世話役として新設された秀則様の親衛隊です。

私は副隊長の豊森 愛華(あいか)と申します。何かあれば、何でもお申し付け下さい」


親衛隊という名のお世話係のようだけど、室内に入って来た6人全員が身長180センチを超えていて、歴戦の戦士を思わせるような雰囲気を漂わせていた。中でも副隊長の愛華さんは一番背が高くて、眼鏡をかけているのが特徴だ。隊長は凛香さんだった。


全員お腹が引き締まっていて格好良いけど、軍服のような制服がへそ出しって……。凛香さんの腹筋が凄すぎて触りたくなった。


とりあえず、最初に食事の用意をお願いすると、愛華さんが海老の天ぷらを作ってくれたので美味しく頂いた。凛香さんは料理が出来ないらしく、少し落ち込んでいる。クールで無口な格好良い大きな身体の女性がしょんぼりしている姿って、ギャップ萌えというか、何とも言えない感情が湧き上がってくる。


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