ざっつなオーバーロードIF展開   作:sognathus
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タイトルの通り本編では全滅した漆黒の剣のメンバーは本作ではアインズによって生き返らされます。
ニグンさんを配下にしている設定なので、スレイン法国で信仰されている六大神の事も知っており、それらがプレイヤーである可能性があるという結論にもアインズは至っています。


実は生き返っていた漆黒の剣

孫を助けるたいなら全てを差し出せと言ったモモンにリイジー・バレアレは彼を悪魔かと言った。

そんなバレアレを見てモモンはふとある事を思い付いた。

その思い付きを実行するのに必要なある人物をナザリックから呼び出す為、モモンは即座にメッセージで命令を送った。

 

「仰せにより罷り越しましたアインズ様。本日は如何様なご用命でしょうか?」

 

10秒もしない内にゲートから現れたのは戦闘メイドの一人のルプスレギナ・ベータだった。

 

「うむ。この場の安全は確保されているな?」

 

「問題御座いません」

 

「よし、なら――」

 

「!!?」

 

ただでさえ唐突な展開に目を白黒させてポカンとしていたバレアレは更に驚愕する事になった。

何故なら不意に目の前の漆黒の戦士が豪奢なローブに身を包んだアンデッドの姿へと変わったからだ。

 

「まぁそう驚くな、というのも難しいだろうが、少し大人しくしていろ」

 

アインズはそう言うと呼び出したルプスレギナに殺された漆黒の剣のメンバー4人の蘇生を命じた。

人間如きを何故蘇生などさせるのか僅かに疑問に思ったルプスレギナであったが、主人の事だから当然その命令にも深い考えがあっての事だと直ぐに思い至った。

そして心の中で主の考えに疑問を持ってしまった不敬を深く反省すると、下された命を速やかに実行した。

 

「なんと……!」

 

バレアレは目の前で瞬く間に起こった奇跡にただただ驚くばかりだった。

そんな彼女にようやくこれから本題だといった様子でアインズが話しかける。

 

「六大神は知っているか?」

 

「え?」

 

「スレイン法国で信仰されている神の事だ。噂程度なら耳にくらいした事があるだろう?」

 

「ま、まぁ……」

 

「今回は部下に働きの場を与える為に私の力の一端を見せるという名目で彼らを蘇らせた訳だが。私自ら同じ事をしようとすれば蘇生の時に力を失う事なく完全に復活させる事など容易いのだ」

 

「……」

 

「さて、そんな君達からしたら神の如き力を持つ私は一体如何なる存在だと思う?」

 

「まさか……」

 

バレアレは先程アインズが冒頭で六大神の事を尋ねてきた事を思い出してもしやと思った。

実際に目にした力は彼の部下のものだったが、部下ですら容易くこんな奇跡を起こせるのだから、そんな彼女らを従えている眼の前のアンデッドの力が強大に過ぎるという事くらい想像は容易だった。

だからこそアインズのこの問い掛けにも然程時間をかける事なく一つの結論に辿り着く事ができた。

 

「もしやおま……貴方は神……と……?」

 

「六大神そのモノではないが、その存在と同格かそれ以上なのは間違いない。見た目はこの通りアンデッドだが……寧ろ見た目が異形だからこそ信憑性も増すのではないか?」

 

「……」

 

バレアレは何も言えなかった。

目の前のオーバーロード(死の支配者)に自分がどんな異見をしても無意味に思えたし、何より彼の存在を知った事で自分のこの先の運命は完全に握られていると無意識に悟ったからだ。

 

「まぁそう不安になる必要はない。ここまで我が力を見せ、正体を教えたのは先程お前が差し出した報酬の話をまとめる為だ」

 

「わ、儂に何をしろと……?」

 

「ああ、そうだ。勿論孫は助けてやる。その上での話だからそこは安心するといい。でだ、私がお前に求めるのは……」

 

 

孫を助ける代償として求められたものはバレアレにとって実行に移すに難くない事だったので彼女は安心した。

確かに住み慣れた街から彼の者が治める土地に移り住み、彼が求めるポーションの研究をしろというのは横暴とも言えなくもなった。

だが研究さえすれば生活の保障はしてくれたし、何よりあれほど強大な力を感じさせた者が治める土地に住むこと自体が、今住んでいるこの街にいるよりは結果的に将来が安泰に思えたので良し心を納得させる事ができた。

 

 

一方その頃、バレアレが早速荷物をまとめる準備を別室でしている時のアインズ達はというと……。

 

「生き返らせたのはナーベラルという事にしとけ」

 

「えっ、私ですか?」

 

「意識を取り戻した奴らにはお前が《死者復活/レイズデッド》まで使える優秀なマジックキャスター(魔法詠唱者)だと信じさせるんだ。近い内にアダマンタイト(最高位)級になるのだから、私自身の武勇も相俟ってチームとしても相応の実力だと認識されるだろう」

 

「なるほど、流石でございます」

 

「ルプスレギナ、お前の手柄を利用する形になって済まないな」

 

「いえ、滅相もざいません! 寧ろ至高の御方のお役に立つことができて歓びが心に満ちております!」

 

「……まぁ正直ここであいつらがナーベラルに恩を感じるようになれば、こいつも多少人間に対して……あいつらだけにでも不穏な態度を取る事は多少は控えるよになるのではないかと期待もあったんだがな」

 

「アインズ様?!」

 

「あー……確かにそれは良い考えだと思います。流石ですね!」

 

「ちょっとルプーまで!」

 

「はは、まぁ許せ」

 

アインズは骨の顔だが優しげな笑い声をあげると片手をナーベラルの頭に、そしてもう一方の手をルプスレギナの頭に置いて二人の頭を撫でた。

 

「あ……! そんな……アインズ様……」

 

「あっ、そ、それは反則ッスぅ……」

 

うっとりした目で幸福感に満ち溢れた顔をする二人、その嬉しそうな様子にアインズは満足すると撫でるのもそこそこにして立ち上がり、再びモモンの姿へと変身した。

 

「さて、4人が意識を取り戻す前に宿屋にでも運ぶぞ」

 

「その後はこのゴ……こいつらはどうするんですか?」

 

「さっきも言った通り奴らは私達に返し切れない程の恩を感じるようになるはずだ。それはこれからの私の名声を高めるのに非常に都合の良い駒になるという事を意味し、そして同時に私という英雄の存在に一生頭が上がらない関係ととなる事を意味する」

 

「なるほど。限界まで利用し尽くすわけですね!」

 

アインズの深慮に目を輝かせて感嘆に震えるルプスレギナにアインズはちょっと引き気味に「まぁそうとも言えるな」と呟き返すと、一度咳払いをして居住まいを正して改めて命令した。

 

「さぁ閑話はここまでだ。ルプスレギナは元の任務に戻れ。ナーベラル、あいつらを運ぶぞ」




アインズ様のシンパとして頭が上がらない漆黒の剣の方々、面白そうだなぁ。






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