(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年9月24日付)

EU離脱、英首相に逆風 離脱派は集会 EU大統領は「当てこすり」

オーストリア・ザルツブルクで開かれた欧州連合(EU)非公式首脳会議を受け、英ロンドンの首相官邸で英国のEU離脱交渉について声明を発表するテリーザ・メイ英首相(2018年9月21日撮影)。(c)Jack Taylor / POOL / Getty Images〔AFPBB News

 欧州連合(EU)の指導者たちは、英国は絶対に合意なしのブレグジット(英国のEU離脱)を受け入れないと結論づけた。

 この結論はEU側の交渉ポジションに影響を与える。結局、この判断が正しかったということになるかもしれない。

 だが、オーストリアのザルツブルクで19~20日に開かれたEU首脳会議の後、騒ぎが落ち着いてくると、無謀なほどリスクの高い賭けのように見える。

 ブレグジットのプロセスがこれほど危険なのは、英国、EU双方が互いの意図を読み違え続けているからだ。

 前任者と同様、テリーザ・メイ英首相がEUの首脳間の考え方の違いを利用できると考えたのは間違いだった。一方、EU諸国の首脳たちはメイ首相の政治的な制約を読み違えた。

 メイ首相が公式別荘チェッカーズで打ち出した離脱案についてブリュッセルとEU27カ国が抱く懸念は妥当だ。

 だが、提案を完全につぶしたのは間違いだった。EUはそうすることで図らずも、合意なしの無秩序離脱の確率を高めてしまったからだ。

 ごまかしの合意が成立する小さな可能性はまだ残っている。離脱合意にアイルランドに関する安全装置が盛り込まれ、将来の関係について、拘束力のない政治的な宣言がなされる事態だ。