『男色比翼鳥』巻1の2の続きだよ♪
取り上げて欲しい作品やテーマは引き続き募集中だよ!
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
男色比翼鳥 6巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。
【翻刻】
見へ番(ばん)太郎ハ家よりしるゝの道理貴殿家内と見て
案内(あんない)なしに立入ぬしかし両人ハ古(いに)しへの心(き)は引かへさる
方より桜(はな)と紅葉(もミじ)の色ざかり見せたらきしよもがを
らんほどうつくしき女房もつかゝる目出度寶(たから)の女(きミ)と
新枕(にいまくら)かわせしより此かた若衆さらりとやめし也付て
ハ何とやらかくいへばあらたまつた云分なれど貴殿
事ハ奥村次良左ェ門とて以前(いぜん)ハ少知(せうち)をもけがしたる
身の今浪(ろう)々のすまひかなしきとやいわん情なやし
かし我々もさのごとし市川源蔵山田半平といふて
両腰(こし)をもたばさみさび鑓(やり)をも持せたれと今この
ていと成口おし然れども時世にしたがへば是悲(ぜひ)もなし
夫に付き内々貴殿に逢(あふ)たら咄さんと存つれど
※赤字が前回のくずし字クイズの答えです。
【現代語表記】
見え、番(ばん)太郎は家より知るるの道理。
貴殿家内と見て、案内(あんない)無しに立ち入りぬ。
しかし、両人は古(いにしえ)の心[気](き)は引き換え、さる方より、桜(はな)と紅葉(もみじ)の色盛り、見せたら貴所も我折らん程美しき女房持つ。
かかる目出度(めでた)き宝(たから)の女[君](きみ)と新枕(にいまくら)交わせしより此の方、若衆さらりと止めしなり。
付けては何とやら、かく言えば改まった言い分なれど、貴殿は奥村次郎左衛門(おくむらじろざえもん)とて、以前(いぜん)は少知(せうち)をも汚したる身の、今、浪々(ろうろう)の住まい。
悲しきとは言わん、情けなや。
しかし、我々もさのごとし、市川源蔵、山田半平と言うて、両腰(ごし)をも手挟(たばさ)み、錆(さ)び鑓(やり)をも持たせたれど、今この体(てい)と成り、口惜し。
然(しか)れども、時世に従えば是悲(ぜひ)も無し。
夫(それ)に付き、内々、貴殿に逢(おう)たら咄(はな)さんと存ずれど、
【さっくり現代語訳】
ありがたいお寺は中に入らなくても門構えを見ただけで分かるし、木戸番も小屋の中にいながら合図で人が来たのが分かるのと同じように、衆道の額を掲げているのは、あなたの家だとすぐに分かったので、案内も請わずに中に入りました。
しかしながら、我々二人は、前とは気が変わりました。
ある方からの紹介で、あなたが見ても気が変わるに違いない、桜や紅葉の盛りのように美しい女房を持ったのです。
このような見事な宝である女性と初めてチョメってからは、若衆を愛でるのはキッパリやめました。
改めて言うまでもないのですが、あなたはかつては奥村次郎左衛門という名で、殿から少なからずも知行[俸禄]を与えられていた身分でしたのに、今は浪人となってしまい、悲しいやら情けないやら。
そういう我々、市川源蔵と山田半平も、刀を二本差し、使う機会もない世の中なので錆付いた槍も持っていた武士でしたが、今ではこの体たらく。
こうなったのは、成り行き上、仕方のないことでしたが。
この件に関して、あなたに逢ったら話そうと思ってはいましたが、
【解説】
二人の男の会話の続きです。
はい、読者のために、二人の男は、わざわざ家の主と自分たちの名前を言っています(笑)
今回登場した三人の名前は、文殊様のお告げに出てきましたね!
kihiminhamame.hatenablog.com
文殊様のお告げに出てきた名前は、奥村幸手軒、山下半平、市川源蔵。
今回出て来た名前は、奥村次郎左衛門、市川源蔵、山田半平。
奥村次郎左衛門は昔の名前で、今は奥村幸手軒と名乗っているようです。
ん?文殊様は山下半平、今回の自己紹介では山田半平。
おや?名字が違う!
どうやら文殊様は名前を間違えたみたいです!
この文殊様、大丈夫なのかしらん?(笑)
まあ、名前ミスはこの時代の作品には当たり前のように見られます。
ちゃんと校正とかしない時代だったのでしょうね。
次回予告とくずし字クイズ
市川源蔵と山田半平は、どうやら男色から女色に転向したようです。
いまだに男色派の奥村幸手軒に何を言いに来たのでしょうか?
三つ且コーナー
待って!僕の名前↑↑↑間違ってるよ!
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