valid,invalid

関心を持てる事柄について

Engineering Manager Meetup #1 をやりました

Engineering Manager Meetup をやります - valid,invalidで宣言した通り Engineering Manager Meetup #1 をやりました。本記事では感想と振り返りを、イベント運営者と参加者の両視点から忘れないうちに記しておきたいと思います。

connpass.com

本記事の主な想定対象読者はイベントに参加されなかった方です。#em_meetup ハッシュタグ を目にして興味が湧いた方や、Engineering Manager Slack に入っているがイベントには来られなかった方々に""現場の様子""をお伝えするのが目的です。

(参加された方にとっては既知のことばかりかもしれませんが、イベントを追体験したり主催者の思考をのぞき見することで楽しめる可能性があります)

3行で要約すると

気づいたら6,000字以上も書きなぐっていたので要約しました。

  • Engineerng Manage(r|ment) に関心と情熱がある人は少なからずおり"需要"があるとわかった
  • 圧倒的当事者意識を持って参加してくださった皆さんが出会って"何か"が生まれた
  • 早速フィードバックを貰えて"情熱"が伝播したので第2回開催を決めた

Engineering Manager Meetup とは?

イベント開催の動機や趣旨については Engineering Manager Meetup をやります - valid,invalid をご参照ください。

当日のようす

当日のようすです。写真上の文字は各テーブルで話し合われていたテーマです。

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OST形式の魔力

今回のイベントではゲストによるトークやプレゼンは抜きでOST(オープンスペーステクノロジー)形式でのセッションを2回行いました。

オープンスペースは「興味関心の拠り所は明確だが誰もその問題について正解や答えを知らない」chaotic な問題に向き合うのに適したディスカッション形式です。*1

オープンスペースとは、各自が喋りたいテーマを持ち寄り、その中からテーマと進行役(セッションオーナー)を選出し、各グループに分かれて自由に発表、議論、雑談などを行うイベント形式です。

セッションオーナーはあくまで進行役、その時間の枠で何をするかを決めるだけで、そのテーマについて必ずしも詳しい必要はありません。

https://www.meetup.com/ja-JP/GraphQL-Tokyo/events/251782724/ より

この形式を選んだ理由は以下です。

  • 「Engineering Manager」というロール自体が不明瞭であったり、付随する周辺課題についても唯一解がないものばかりなので、そんなテーマたちを話し合うために優れた形式だと考えた
  • 参加者同士が関心を持つ事柄について話し合い、共感したり意見を交わし合うことで横の繋がりを生みたかった
  • イベント全体でのインプット・アウトプットの総和を最大化したかった

振り返ってみてもこの形式を選んで良かったと思っていますが、OSTが成功するか否かは何よりも参加者の姿勢に依存するので、圧倒的当事者意識を持って参加してくれた皆さんに改めて感謝です。

オープンスペースのメリットをまとめると

  • 主体的であることにインセンティブがある
    • セッションオーナーになれば自分の聞きたいことが聞ける、話したいことが話せる
    • セッションオーナーだからといって問題に詳しい必要がない
    • 主体的になればなるほど多くを得ることができる
  • 参加者全員に主体的な参加を促すことができる(運営者視点)
    • 話を聞きに来ただけ、という人には向かない
  • プレゼン準備が必要なくて楽 ;-)(運営者視点)

参加した人にのみわかる熱気のようなライブ感にも似た良さがある一方、デメリットを挙げるとすれば

  • 未経験の方に良さが伝わりづらい
    • 参加者の中にはOST未経験の方も少なからずいたのですが、終了後には「この形式初めてやったけどいいですね」というフィードバックをいただきました
  • 発表資料が残るわけではないのでイベント終了後に拡散しづらい(運営者視点)
    • 皆さんの tweet や blog や口コミで広めていただくほかない
  • テーマがなかなか挙がらないこともあるので仕込みはあった方が安心(運営者視点)

という感じです。

いずれ劣らぬテーマたち

以下のテーマについてそれぞれのグループに分かれて30分ずつディスカッションをし、各グループ2分ずつ発表して共有する、という形で進めました。

  • 目標管理・評価制度
  • 『エンジニアリング組織論への招待』について広木さんと語る
  • Engineering manager とは何者
  • 1-on-1のやりかた
  • managerのキャリアパス
  • 採用・ブランディング
  • 給与
  • チームビルディング
  • Engineering Manager の魅力を伝えるには

@cobasparxxx さんの tweet にあるように、全てのテーマが魅力的で参加するグループを選ぶのに本当に、本当に悩みました。。

参加者の感想ツイートもセルフでトゥギャり、参加しなかったグループの雰囲気の一端を味わおうとしました。@dskst9 さんがアップロードしてくれたホワイトボードから"何か"が伝わるかもしれません。

togetter.com

イベント参加者として

「Engineering manager とは何者」→「給与」それぞれのセッションに参加しました。

Engineering manager とは何者

実に本質的な問いすぎて頭がクラクラするのですが、他社における定義や責任範囲を聞くことで改めて多義性・曖昧性があるなぁと実感しました。それでもぼんやりと共通項みたいなものが見えてきており、広木さんの tweet がその辺を絶妙に突いてくれていました。(ちなみに広木さんはこのテーブルにはいなかったw)

給与

インターネットに残せない話が出ました、それだけで大満足です。

書けることの中で興味深かったのは、給与という切り口一つから初めても色んな周辺の問題を議論できるんだな、ということでした。「Engineering Managerは給与を決定する"権限"を持つのか」「"採用"(オファー金額)にどう関わるか」「"評価"への納得感と給与への納得感は一致しない」「"1-on-1" で給与に関する本音を引き出す」などなど。

Engineering Manager の魅力を伝えるには

こちらのセッションには参加できなかったものの実に興味深いテーマでした。

感想ツイートに並ぶ「エンジニアリングマネージャも人間である」がヒットしている様子を見るに、皆さんはふだん人間と思われていなくて辛い思いをしている可能性が濃厚になってきました。

こうした雰囲気が続くとエンジニアリングマネージャを誰もやりたがらなくなってしまう。だからこそ楽しさも伝えていったほうが良いはずだという流れから、何やらこのイベントをきっかけにすごい"戦闘潮流-ムーブメント-"が生まれそうです。

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イベント運営者として

まずは終わってほっとしました。

イベント運営の知見がないために至らないところが多々あったかと思いますが、 圧倒的当事者意識のある皆さんのおかげでなんとかなったところが多分にあると思います。

特に@dskst9 さんを始めとしたアスクル社の皆さんは会場提供のみならず受付・設営・ホワイトボードや文房具の準備など本当にありがとうございます。セッションが始まった瞬間に何も言わずとも皆さんがホワイトボードを活用し始めたのを見て勝利を確信しました。

第2回

濃度の高い方々(第1回に参加してさっそく第2回を望む方と、今回参加できなかった方)だけで相当数集まることがわかったので第2回も企画します。ご期待ください。

余談

イベント関連の知見、というかメモみたいなものを貼っておきます。

参加者数

  • 申し込み 76名
  • キャンセル 35名
  • 実際の参加者 27名

connpass の統計ページで見ると、公開直後と増枠のタイミングで波ができています。

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(イベントでの集客のコツはこまめな増枠で波を作ること、というのを広木さんから聞いた。あと少しで定員という状況を作ると申し込みしたくなる心理)

当日のキャンセルが22名ぐらいあってドキドキしたが初心に帰って"濃度"を意識しました。

事前の仕込み

大きく2つやってみました。

Engineering Manager Slack

Engineering Manager Slack を作って事前に参加者同士の繋がりを作ろうとしました。

これはかなり良かったと思っていて、おかげでイベント参加前からすでに"エンジンが暖まっている"人々を集めることに成功しました。「この人たちが参加してくれるなら無限に安心だ」という心持ちになりました。(まぁ、そのうちの何名かは参加できなかったのですが…次回に期待!)

イベント会場にて「Slackでお見かけした○○さんですね?」みたいな会話が偶発的に生まれたときの「あ、"オフ会"…!?」という感動的瞬間もありました。

一方でSlackに参加されずに来場された方もいたと思うのでそうした方々から見た時に内輪っぽい感じになるというか、"クラスのLINEグループに自分だけ招待されてない"時みたいな気持ちになってほしくはなかったのでSlack上で起きた会話を前提とした進め方は極力避けました。(もし出てしまっていたらすみません)

また、有志4人による先行オフ会が行われたのも非常に良かったです。そのときの異常な""濃度""はそのままイベントにも引き継がれました。

Topic bucket

当日話すテーマが挙がらなかったときのために Topic bucket sheet を用意して事前に書き込んでもらおうとしました。

こちらはいまいちで、内容を見れば分かる通りなのですが僕がSlackの雑談の中でちょくちょく上がっていたトピックを転記したのがほとんどです。これは単純にあまり集まらなかったからです。

雑談の中で諸々出てきていたので「ネタはあった」「しかし書き込まれなかった」というのが実態だと思い、書き込むハードルがやや高かった or 導線が悪かったと反省してます。

横の繋がりをつくる

もともと予定にはなかったのですが、終了間際に参加者の皆さんにSNSアカウントや名刺を交換する時間を設けました。

人間だと思われていない者たちが抱えている孤独を分かち合ったからこそ生まれた"何か"があった、そしてこれから生まれる"何か"があると信じます。(何か言っているようで何も言っていない文)

その他の反省と改善点

  • ohbaryeの会場到着が18:57と開始3分前で余裕がなかった
    • テーブル割りとかを事前にチェックしておけばよかった
  • 司会進行・タイムキーパーあたりを同時にやるとけっこうきつい
  • 途中参加した方に対するフォローがなかった
    • それぞれのグループにぬるっと紛れ込んでもらうほかなかった
  • 飲食物の提供がなかった(個人のイベントなので省エネでやった)
    • 食べながらの議論は難しいので食料は無くても良かったが、よく喋るイベントなので飲み物は用意しても良かった
  • スライドを投影していたohbaryeのPCの電源が途中で落ちた
    • いろいろ慌ててしまったが参加者の方の機転で助かった
  • 各セッションのアウトプットを良い感じに共有できる仕組みがほしい
    • 2分間の発表でも伝わるものはあったが、それをストック情報にしたい
    • 口頭で「ブログや tweet で今日の input / output を教えてください!」と呼びかけてはみたがスマートではない
  • イベント運営に気を揉んだために100%ディスカッションに集中できなかった
    • セッションオーナーへの立候補も自重し、ある意味""サーヴァント""していた
    • イベント片手に回しながらセッションオーナーも余裕を持ってできるぐらいになりたい
  • ohbaryeが名刺を切らしてしまった
  • OSTのあとに懇親会をやりたい(めっちゃ盛り上がりそう)

長々6,700字も書きましたがとにかく楽しかったので優勝です。