フロイドの狂気日記

いつ走り出すか誰も教えてくれなかった、お前はスタートの合図を聞き逃したんだ!

PR

有能なエンジニアを雇いたい経営者の誤解

良いエンジニアを採用するにはどうしたらいいか - おもしろwebサービス開発日記

 

有能なエンジニアを雇いたい経営者は多い。だがエンジニア側から見ればこれほどコスパの悪い職業もない。


よく言われるのは有能なエンジニアは無能なエンジニアの100倍の生産性である、というものだ。当然だが給料は100倍ではない。


せいぜい2~3倍といったところだ。
年収400万で雇っている人と年収800万の価値がある人では実力差はかなりあるだろう。東京なら1200万というレベルもありそうな話ではある。


大阪で凡百のエンジニアで年400万は比較的難しくないはずだ。問題なのはそれ以上の給料はほぼ望めないが。


そこから超えていくには、どこへ出しても恥ずかしくないエンジニアリングレベルになり、その上でエンジニアに金出す文化のある企業に転職するしかない。
それらはエンジニアリングそのものがお金を生み出している企業だけが可能である。社内のインフラを作っていたり、下請けで他社のインフラを作る企業では売り上げに上限があるため、どれだけ優秀なエンジニアにも出せないのだ。


逆説的にいえば社内インフラや下請け担当に優秀なエンジニアはいらないともいえる。


IoTで商売をしていたり、ゲーム制作などはそれ自体がお金を生み出している。
あるいはサブスクリプションwebアプリなんてのはそうだろう。そういった企業以外は予算の上限が給料の上限である。


冒頭で上げた記事は、やたら勉強会を上げているけれど高度技術を持った人ってみんな勉強会行くのだろうか。
アウトプットバリバリで高速のコード書きなら自分で起業するなりOSS作ったりするなりしそうだ。


優秀なエンジニアの望みは決まっている。


「クールな先端技術を取り入れて、大規模なユーザー向けアプリを作る」
「ロケットのような夢のある製品を作る。」
このいずれかだろう。


なので有能なエンジニアを雇いたいなら勉強会でせこせこ接点を持つ必要がないと僕は思う。
むしろアンチパターンを考えるほうがいいかもしれない。


「下請けになって大手のおっさんの気遣いをしない。」
「マネタイズを要求されない」
「テクノロジーに寛容でない人々が社内で幅をきかせない」
「足手まといの知りぬぐい作業をしない」


まあこんなところか。


大手の下請けは安定して金になるが、魅力的な仕事はそうない。製品のコントロールは大手のえらい人たちが全部するわけで、理不尽な納期とセットだったりすると最悪だ。


有能エンジニアを雇うに値しない社長さんはすぐに金にするということをしゃべりたがる。
投資家や株主向けに話すのはいいが、エンジニアの仕事じゃあない。
エンジニアはテクノロジーに没頭するのが仕事だから、会社の懐事情なんて知るかってもんですわ。


最近アメリカでは社長もコードをかけという。エンジニアが何をしているかさえ理解しない社長さんは有能な人々に見切りをつけられるからだだからテクノロジーへの理解を深める必要がある。


最も重要なのは自分の偉大でクールな仕事に向き合う時間があるということだ。
誰かが適当に書いたコードで出たエラーの修正を延々と繰り返すのはつらい。
有能エンジニアは自分の書いたコードを理解しているので、デバッグもきっちりやる。エラーが出ても対処できるようになっている。足手まといをいかにして社内にいさせないかは考える必要があるだろう。そういうわけで正社員登用するには慎重さが必要というわけだ。


シリコンバレーのスタートアップが最初期のメンバーを集めるのには慎重になれ、安易にエンジニアを増やそうとするな、と言われるのはそういうことがあるからだったりする。実力や方向性が合わない人達を集めても烏合の衆にしかならない。


他にも超基本としてハイスペックなPCがちゃんとあるとか、椅子が高価なやつとかデスクとオフィスが広くて快適とかもあるが言うまでもないだろう。


アメリカのスタートアップの本を読むと、必ず指摘されるのは夢を語れみたいなことだ。
「こういう製品が作りたいんだ。世界を変えたいんだ。」というメッセージを出せと。
そこにいたるまでの一体感がエンジンそのものだからだ。
100倍の生産性をいかんなく発揮しても、100倍の給料でなくていいのは
そういうクールな夢に対してジョインできている実感があるからだろう。


「僕らのやることは大手の社内システムをご機嫌とりながら作ることです。」というなら凄腕エンジニアを集める必要はないし、勉強会に参加する必要もない。きちっと作る社内環境があれば十分だ。
優秀かどうかよりもコントロール可能かどうか。
コーディングルールと開発環境の入念な準備さえしていればパニックにならずに開発でき、ちゃんとした工数があれば炎上もしない。


だが本当に世界を変えるための夢のような製品目標があるんだったら
有能な人たちを惹きつけるための「夢」が必要かと思う。


社長は金儲け優先じゃなくて、最高の何かを語る必要がある。ま、それができないから有能エンジニアが集まらないんだろうけど。


夢がないなら金を積んで、コーディングテストをしまくることだろうね。
能力的なハズレは引かなくてすむ。


要するにゴタゴタ言わずに、クールな世界観を語れや、というわけだ。