「新潮45」休刊声明の嘘! 杉田水脈擁護、LGBT差別は「編集部」でなく「取締役」がGOを出していた

「新潮45」休刊声明の嘘! 杉田水脈擁護、LGBT差別は「編集部」でなく「取締役」がGOを出していたの画像1
休刊した「新潮45」


 昨日夕方、新潮社が「新潮45」を休刊にすると発表した。これはもちろん、同誌10月号に掲載された、右派論客らによる杉田水脈衆院議員擁護特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」をめぐって下された決定だ。周知のように、この特集のなかで、安倍首相のブレーンである自称文芸評論家・小川榮太郎が、「LGBTを認めるなら、痴漢の触る権利も保障せよ」というとんでもない差別的文章を掲載し、これについて、各方面から厳しい批判が寄せられていた。

 それは、同社と縁の深い作家や書店も例外ではなかった。『俺俺』など何作も同社から出版し新潮新人賞の選考委員を務めたこともある星野智幸は〈社員や書き手や読者が恥ずかしい、関わりたくない、と思わせるような差別の宣伝媒体を、会社として野放しにするべきではない〉と指摘し、「新潮」に掲載された「日蝕」で芥川賞を受賞し、多数の著書を同社から出している平野啓一郎も〈どうしてあんな低劣な差別に荷担するのか〉と批判。そのほかにも複数の作家や翻訳家らから「新潮社の仕事はしない」という表明が相次ぐ事態となっており、同社の書籍の取り扱いを拒否する書店も出ていた。

 そんななか、21日に佐藤隆信社長が声明文を出し、昨日とうとう休刊発表となったわけだ。しかし、これは、新潮社がグロテスクな差別を掲載した自社の責任に向き合った結果ではない。

 実際、新潮社がLGBT差別についてまったく反省していなかったことは、これまでの動きを見れば明らかだ。今回、新潮社は「新潮45」休刊の発表に際して、こんな談話を発表している。

〈ここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません。その結果、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」(9月21日の社長声明)を掲載してしまいました。このような事態を招いたことについてお詫び致します。
 会社として十分な編集体制を整備しないまま「新潮45」の刊行を続けてきたことに対して、深い反省の思いを込めて、このたび休刊を決断しました。〉

 また、昨日夜の新潮社の広報担当役員の会見でも、該当号が役員らに配布されたのは発売当日朝だったと説明した。

 ようするに、編集部のずさんな体制、不備が招いたものだとすべての責任を編集部に押し付けたわけだが、実際はそうではない。10月号の杉田水脈擁護特集は、編集部レベルの判断でなく、担当取締役がお墨付きを与え、原稿もチェックしていたのだ。新潮社社員がこう証言する。

「実は、『新潮45』の若杉良作編集長は、もともとオカルト雑誌『ムー』の編集者で、右派思想の持ち主でもなんでもない。押しが強いわけでもなく、上の命令に従順に従うタイプ。最近のネトウヨ路線も、売れ行き不振の挽回策として、担当取締役の酒井逸史氏から命じられていた感じだった。酒井取締役は元『週刊新潮』の編集長でイケイケタイプですからね。10月号の擁護特集も酒井取締役が事前にGOを出している。会社は役員が読んだのは発売当日になってからという意味のことを言っていたが、そんなわけがない。少なくとも酒井取締役は事前にゲラも読んでいると思いますよ。それどころか、『ここで反論すれば売れる』と企画そのものを焚きつけた可能性もある」

 取締役の関与を証言しているのは、この社員だけではない。昨日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも、「新潮社の現役社員」の話として、「編集長、編集部のトップよりもさらに上の担当役員レベルのGOサインがあった」という情報を紹介していた。

いずれにしても、10月号のグロテスクな差別記事は、「編集部の不備」でもなんでもなく、取締役レベルで決定した確信犯的企画だったということらしい。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

「新潮45」休刊声明の嘘! 杉田水脈擁護、LGBT差別は「編集部」でなく「取締役」がGOを出していたのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。新潮45新潮社杉田水脈編集部の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 テレ朝が森友事件モデルのドラマに圧力で脚本改ざん?
2 大坂なおみの母親が日本で受けた結婚めぐる人種差別
3 沖縄知事選で佐喜真応援団が組織的なデマ攻撃
4 “自衛隊OB軍事評論家の子女”防衛大生の交通事故めぐり忖度疑惑
5 安倍が甘利明を党三役に起用、改憲の旗振り役に
6 BBCが山口事件の被害者・詩織さんを特集
7 産経が「慰安婦を強制連行」と報道!
8 加藤浩次が五輪批判に「外野がウダウダ言うな」
9 BTSと秋元康のコラボ中止で浮き彫りになった日本のガラパゴスぶり
10 宮崎駿も鶴瓶も安倍政権にNO!
11 林真理子が文春で山口敬之問題に言及!
12 『報ステ』小川彩佳降板は政権批判が原因か
13 神社本庁の田中総長が辞意、原因は不動産不正取引疑惑
14 グッディ!土田マジギレ真の原因
15 『ZERO』降板の村尾、安倍首相ブチギレ事件
16 菅に日歯連から3000万円迂回献金
17 安保擁護・戦争協力者ランキング後編
18 八代弁護士とせいじが消費税で「たかだか2%」の暴論
19 つんく♂が秋元のメンバー差別に
20 ホリエモン、真央のタクシー叩きは弱い者いじめ
1安倍首相が秋葉原街宣で動員以外の一般市民を排除
2大坂なおみの母親が日本で受けた結婚めぐる人種差別
33選安倍首相の秋葉原街宣で参加者に謎の茶封筒が…
4“自衛隊OB軍事評論家の子女”防衛大生の交通事故めぐり忖度疑惑
5安倍が甘利明を党三役に起用、改憲の旗振り役に
6「新潮45」でLGBT攻撃!小川榮太郎と安倍の関係
7沖縄県知事選で佐喜真陣営が予算をエサに建設業者を動員
8 「新潮45」杉田水脈擁護に安倍応援団揃い踏み
9 八代弁護士とせいじが消費税で「たかだか2%」の暴論
10 テレ朝が森友事件モデルのドラマに圧力で脚本改ざん?
11加藤浩次が五輪批判に「外野がウダウダ言うな」
12神社本庁の田中総長が辞意、原因は不動産不正取引疑惑
13 BTSと秋元康のコラボ中止で浮き彫りになった日本のガラパゴスぶり
14 秋元康のガールズバンド計画が大炎上
15安倍首相が圧力問題で自分の嘘をバラし犯人を示唆
16樹木希林が辺野古に現れた日
17安倍首が総裁選討論会で嘘と逆ギレ連発
18 “慰安婦像に蹴り”人物と杉田水脈、和田政宗の関係
19沖縄県知事選で創価学会幹部が暗躍
20安倍首相が総裁選でトンデモ発言継続中

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄