米東部ニューヨーク州第14選挙区で、6月26日に行われた民主党予備選挙において、大波乱が起きました。ヒスパニック系米国人女性のアレキサンドリア・オカシオ=コルテス候補(28)が、現職のジョセフ・クローリー連邦下院議員(56)を破ったのです。
得票率はオカシオ=コルテス候補が57%、クローリー議員が43%と、約15ポイントもの差をつけての勝利でした。白人男性のクローリー議員は、下院議員を10期20年務めた大ベテランで、下院議長の候補にも名前が挙がっていた大物です。オカシオ候補の大金星としか言いようがありません。
クイーンズ区北部とブロンクス区東部からなる第14選挙区の住民は、85%が民主党支持者で70%が非白人。2016年の米大統領選挙では、ヒラリー・クリントン元国務長官がドナルド・トランプ候補(当時)に対して78%の得票率を獲得し、圧勝しました。
こうした地盤を考えると、今年11月6日の中間選挙でオカシオ=コルテス候補が共和党候補に勝利し、「史上最年少でヒスパニック女性」の連邦下院議員が誕生することは間違いない情勢です。
オカシオ=コルテス候補とは、どのような人物なのでしょうか。
彼女の父親はニューヨーク市の南ブロンクス、母親は米自治領プエルトリコの出身です。16年の米大統領選挙ではバーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)の陣営にフィールド・オーガナイザー(現地選挙スタッフのまとめ役)として参加し、ニューヨークで集会を開催しました。彼女はサンダース上院議員と同様、民主社会主義者で、国民皆保険や公立大学の授業料無償化を訴えています。
驚くべきことに、オカシオ=コルテス候補は民主党予備選挙の1年前まで、ニューヨークでレストランのウエイター・バーテンダーとして働いていました。資金も地盤も看板もない彼女が、いかにして現職ベテラン議員に劇的な勝利を収めたのかを探るため、筆者はニューヨークへ飛びました。
筆者が9月7日、ニューヨーク市クイーンズ区にあるオカシオ=コルテス候補の選対を訪問すると、若い選挙スタッフが同候補が支持表明した民主党知事候補・副知事候補及び検事総長の応援の準備をしていました。オカシオ=コルテス候補自身も本選を控えているわけですが、それほど彼女の陣営には余裕があるのでしょう。
翌8日には、クイーンズ区の「74丁目ブロードウェイ」駅前にあるダイバーシティ・プラザで集会が開催されました。そこで筆者は、参加したオカシオ=コルテス候補に突撃取材しました。