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2018年9月26日 (水)

【竜田一人】東電が発明したフクイチという言葉は穢れだそうです。【井上リサ】

最近またぞろおかしな発言をする輩をみかけた。

調べてみると前からそんなことを言っている。

井上リサさんさあ、今アカウント名を「— 井上リサ☆10.6柏崎刈羽紀行」にしてるみたいだけど、どうせならへぼ担当に事の顛末聞いてみたら?彼の最初の配属先は福島第二で、時期からすれば、後で紹介する小野俊一氏と違って見聞してておかしくないのでね。

こういった発言で思い当たる人物と言えば、竜田一人。代表作『イチエフ』の冒頭シーンのセリフ「1Fをフクイチなんて言う奴はまずまずここにはいない」である。まぁ後述のようにただのでまかせなのだが。

彼のツイートを読み進めていくと、フクイチという言葉が偉く気に食わないらしい。

怒れるPA屋(パブリックアクセプタンス、要は宣伝屋)達ばかりでなく、現役・元関係者にも変な固定観念が蔓延している。
・今日は俺たちの職場、"1F"に皆様をご案内しよう
・1Fは「いちえふ」と読む
・現場の人間 地元住民 皆がそう呼ぶ 1Fをフクイチなんて言う奴はまずまずここにはいない

 まさしくこのとおり。以前「フクイチ最高幹部の独白」と言った書物が出ましたが、現場の人間が自分たちのことを「フクイチ」と言うはずがないのです。一体なぜ、このような題名にしたのか(書かれている内容をよめば、確かに現場取材したことはわかりますが)私には理解できません。「いちえふ」「にえふ」と呼ぶのが、東電・地元の習わしです。この単語を間違って使っている人間は、100%現場の経験がないと断言してよろしい。

小野俊一「モーニング掲載「いちえふ」-元原発技術者としての目から」『院長の独り言』2013年10月22日
だそうである。
ところが、彼等の主張は全て誤りなのである。

何故なら、「フクイチ」とは東電が地元に溶け込むため、1990年代から2000年代にかけてPRで盛んに使用していた愛称だったからである。
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論より証拠と言う感じでしょ。そのまんまのタイトルな広報誌があった。ついでにもう一つ。

Kyoshintokyoseip29

『共進と共生 福島第一原子力発電所45年のあゆみ』P29

このように、地元住民への広報誌の他、1997年以降、毎年10月には発電所で『ふくいちふれあい感謝デー』なるお祭りもやっていた。古株なら知らない筈がないのだが、彼等は何をしていたのだろうか。

 

1993年には本店勤務となった小野俊一氏が1996年5月に初開催された『ふくいちふれあい感謝デー』を知らないのは無理もないことだ。

しかし、@mikunyoさんの場合は悪いが、父親の話位よく聞いといたら?と言いたいね。何せ、次の政経東北のPR記事の最後の段を読むと、毎年4000人も来いてたというのに。

Seikeitouhoku199905

『政経東北』1999年5月号

ちなみに2001年には物揚場で「ふくいちふれあいフィッシング」も開催している。参加者は以前ブログで採り上げた剥き出し海水ポンプを背にして悠々と釣りを楽しんだに違いない。

ただ、これらのイベントは2002年に東電が例のトラブル隠しの不祥事を起こして社長引責辞任、全プラントが検査で停止したのをきっかけに何年か自粛された。他に2001年に911テロもあったが、その年の10月13日にはふれあい感謝デーを開催しており、警備強化は最大の理由とは思われない。なお、ふれあい感謝デーは2007年10月に再度開催されている。また、「ふくにファミリーデイ」なる職場参観も存在した。

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「ワーク・ライフ・バランス」を考えるきっかけづくり”家族の職場参観”『電気情報』2010年4月

今思い返せば中越沖地震対応とバックチェックで東電全体としては多忙だったと思われる時期によく開けたとある意味感心する。「ふくにファミリーデイ」を企画したのは311後賠償問題で矢面に立ち、女性問題で辞任した石崎芳行氏が所長だった時期だ。元々優秀なPAを打って来る人物としてある意味評価もしていたが、職場参観などを見ていても、ネットでのリンチを伴った恫喝的なPAよりは健全で好感も持てる。

自業自得で親しみを込めた「ふくいち」(「ふくに」)のPRがしぼみ、311でトドメを刺された一方、業務でしか使わない「イチエフ」(「ニエフ」)という無味乾燥な言葉だけが生き残った。これはある意味、地域社会との関係を表象しているのである。

だからある程度調べ物をしていくと「何なん?あんた等。モグリ? 方々の体で全国に散らばったと思って好き勝手な歴史作ってんじゃないの」って思ってしまうのである。

大体、発電所の呼称に拘って現場感を演出しても仕方がない。そもそも、「イチエフ」という呼び方も、1974年以降に生まれたものである。何故なら、その年まで福島には原子力発電所は1ヶ所しかなく、今の福島第一原子力発電所は単に「福島原子力発電所」と呼ばれていたからだ。古い文献ではその名前で載ってるから、CINIIで試してみるといい。

それが福島第二の建設準備が本格化し、建設事務所を開くことになって第一、第二という名称に変更されたのである。以前の略号は、号機単位では「NF-1」(福島1号機)、「NF-2」(同2号機)という塩梅だった。1号機を建設していた頃まで戻ると原子炉建屋を指して「TEPCO-1」などとも呼ばれていた。

コロラドこと牧田寛氏が言及していた「原子力村」の件と言い、どうしてPA屋は自分等の業界で発明した単語を憎悪するのかね。リニアに邁進する葛西敬之氏ですら、「国電と言う言葉を使う人の話は信用しません」なんて言ってるの見たこと無いけど。

小野氏はともかく、たかだか言葉1つで憎悪までたぎらせてる井上リサと竜田一人には「バーカ」と言っておきたい。特に竜田、代表作のマンガで最初のコマから間違えちゃって赤っ恥ですなぁ。今更直しようもないと思うけど。

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