「もはやiPhoneを買う予算でMacBookが買える」――iPhone XS/XS Maxの価格が発表されてから、一部でこんなことがささやかれています。確かに、iPhone XS/XS Maxともに最低容量でも12万円超(税込)。XS Maxの512GBモデルを選べば、約18万円というお値段になります。これほどお金を出すのならMacBookを買った方がいいという意見も一理あるようには思います。
一方で、ネット上の反応を見ていると「今まで携帯本体の価格を意識してこなかっただけで、実は大して値上がりしていないのでは?」という声も聞こえてきました。
そこで、本記事ではiPhoneの価格推移を検証すべく、2008年発売の「iPhone 3G」から「iPhone XS/XS Max/XR」まで、発表当時の歴代価格をまとめてみました。
記載する価格は、注記がない限り全て税込価格です。
早速ですが、iPhone 3Gからの日本で発売した歴代iPhoneの定価をまとめたグラフが上記になります。
色は販売キャリアを示しており、グレーがソフトバンク、オレンジがau、赤がNTTドコモです。白抜きはApple直販価格となります。
それぞれの棒の上下端は最低容量の価格と最大容量の価格を示しています。例えば右端のiPhone XRを例に見ると、最低容量の64GBが9万1584円、最大容量の256GBが10万9944円のため、約2万円の幅の棒が10万円のボーダーをまたがるようになっています。iPhone XRには64GB/128GB/256GBと3つの容量モデルがありますが、中間容量の価格はグラフに示していません。棒の上部に記した4桁の数字は各モデルの発売年です。
それでは、グラフを読んでいきましょう。
古い機種から見ていくと、iPhone 3Gと3GSは約7万~8万円とほぼ同じ価格で発売されました。2010年の「iPhone 4」まで、ソフトバンクが専売していたことが分かります。
全機種を通して、定価が最も安かったのはソフトバンク販売の「iPhone 4/4s」。最低容量の16GBモデルが4万6080円で販売されていました。4sからはauが取り扱いを始めましたが、14年まで価格面ではソフトバンクが健闘していたようです。
13年にはNTTドコモも取り扱いを開始。「iPhone 5s」の全容量を同じ価格に(しかも他社よりも高い価格に)するなど、独特な戦略を取っていました。
ところで、「実質価格」がいくらであっても、ユーザーは端末代金を基本的に「定価」で購入しています。例えば6万円の端末を2年間の割賦で購入すれば毎月2500円の端末代金の支払いが発生しますが、この端末が「実質0円」であった場合、通信料金から2500円分が割り引かれる計算になります。割り引かれるのはあくまで通信料金であり、端末代金ではありません。ここでは「端末の定価を比較する」という趣旨から、そうした各社の割引キャンペーンは考慮していません。
12年の「iPhone 5」の価格を調べる際、当時のキャリアが実質価格しかリリースに表記しておらず、毎月の割引額も記載されていないなど、調査に苦労しました。
本記事に掲載しているグラフは各キャリアのリリースやITmediaの過去記事などを参考に作成しました。
iPhoneの価格が初めて10万円を越えたのは、14年の「iPhone 6 Plus」。最大容量の128GBモデルのApple直販価格のみ10万7784円と大台を突破。一方で、キャリア3社は128GBモデルでもギリギリ10万円を越えない価格設定としていました。
15年はキャリアごとに販売戦略が分かれたことが見て取れます。着実に値上がりするApple直販価格にソフトバンクは追随。auは全容量でApple直販価格から約1万円値引く戦略に。ドコモは、最低容量の価格ではAppleと並びながら、最大容量でも10万円を越えないよう調整していました。
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