アストラインターナショナルとは
私がかつて投資していた会社に「アストラインターナショナル」という会社があります。インドネシアの会社です。
インドネシア有数のコングロマリットです。特に自動車産業への関わりが強い会社です。トヨタ、ブジョー、BMW、日産といった数々の自動車メーカーと独占販売契約を結んでおり、ダイハツといすゞはインドネシア国内での生産も担当しています。
また、バイクではホンダ、建機ではコマツと提携しており、いずれもインドネシア国内でトップシェアです。元は農産物の卸商社のようなことをしていましたが、国の成長に合わせて業態を変え、規模を大きくしてきました。
アストラインターナショナルとインドネシア
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経済成長率は鈍化しつつあるものの、5%以上の成長を続けています。アジア通貨危機の時の落ち込みが目につきますが、それ以外は毎年高成長です。
そしてインドネシアはすでに人口2億3000万人という大国でありながら、未だに人口増加国であるということも魅力です。
FOURIN, Inc. - ASEAN自動車産業 2015
これをみて分かるようにインドネシアの自動車生産数は急激に伸びています。しかし、人口2億3000万人の大国であることを考えるとまだまだ伸びしろは十分あります。所得3000ドルを超えると始まると言われるモータリゼーションはまだまだ始まったばかり、そんな印象を受けます。
そんな中で同国で自動車の販売と生産を担っているのがアストラインターナショナルです。実にインドネシア自動車販売のシェア半分以上を占めています。もちろん、シェアトップです。そしてこれからも販売台数は拡大し続けるのでしょう。そこが最大の魅力ですね。
アストラインターナショナルとジャーディン・マセソン
実はアストラインターナショナルの大株主はジャーディン・マセソン社という巨大コングロマリットです。ジャーディンマセソン社は明治期の日本にも関わりの深い会社です。
例えば、薩摩藩や長州藩に武器を納入していたグラバー商会のグラバー氏はジャーディン・マセソン社の社員でした。グラバー商会は長崎にあり、ジャーディン・マセソン社の総代理店でした。昔から、アジアに深く入り込んでいたのです。
坂本龍馬の亀山社中・海援隊と取引をしたり、薩摩・長州藩士のイギリス留学や渡航の便宜を図ったりしました。
それもそのはず、ジャーディンマセソン社はイギリス東インド会社にルーツを持ちます。イギリス東インド会社はその名のとおり、アジアにおけるイギリスの植民地支配に大きな役割を果たした会社です。
その会社が、いまだにインドネシアで影響力を持つのです。いや、インドネシアだけではありません。
例えば、シンガポールのST指数30銘柄に採用のジャーディン・ストラテジック・ホールディングスもグループ企業です。香港に本社があるマンダリン・オリエンタルホテルもグループ企業です。高級ホテルグループで、東京にもありますね。
また、イギリス・香港に拠点をもつHSBC(香港上海銀行)は元はと言えば、ジャーディンマセソン社などが香港をはじめとするアジアで稼いだお金をイギリス本国に送金するために設立された会社です。
このジャーディンマセソン社はケズウィック家というスコットランド出の一族が経営しています。実に200年にも及ぶ一族の経営が今も続いているのです。そして、アジアで影響力を保持しています。
ヨーロッパ諸国の植民地支配は直接的に対象地域から富を吸い上げるシステムでしたが、今は共存共栄しつつそれぞれの地域に根付いているとも言えるでしょう。
一筋縄ではいかない新興国投資
話を戻します。結局私は有望なアストラインターナショナル株を売却します。理由は3つあります。
- インドネシアルピーのインフレが高すぎる
- インドネシアルピーの使い勝手が悪い
- どうせなら親会社に出資したい
インドネシアルピーは当時7%のインフレ率でした。それを上回るリターンを上げ続けるのはなかなか大変です。通貨の信認が弱い国への投資は慎重になったほうがよいですね。同じように、例えば中国、香港、マレーシアなども日本とは異なるインフレ率です。つまり、日本の感覚で利回りを見ると思惑から外れることになります。
また、インドネシアルピーはインドネシアでしか使えません。ドルであれば世界中でそのまま使えるか、あるいはすぐに両替できます。自国通貨よりもドルが流通している国はいくらでもあります。それだけドルは信認されているのです。
鵜飼の鵜というたとえはあまり良くありませんね。アストラインターナショナルも大変有望ですが、私はジャーディン・マセソン社のような多国籍の儲けのシステムを知る会社に投資したいということです。
成長を続け、儲けのシステムを知る会社。それが多国籍企業です。そして、その株を買うことで日本にいながら配当で恩恵を受けることができます。さらに、2割の納税を続けることで、労働だけでない日本社会への貢献も果たすこともできます。
アストラインターナショナルへの投資は、現在のような米国株投資一本にするきっかけとなった投資でした。新興国の成長性は魅力ですが、それと株式の成長が同一とは限らないということですね。
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