【ゴルフ】ウッズが泣いた 5年ぶりV 史上2人目80勝到達2018年9月25日 紙面から
◇ツアー選手権<最終日>▽プレーオフシリーズ(PO)第4戦(最終戦)▽23日、米ジョージア州アトランタ、イーストレークGC(7346ヤード、パー70)▽晴れ、30度、南東5メートル▽賞金総額900万ドル、優勝162万ドル▽30選手 【アトランタ(米ジョージア州)テッド・ムース】タイガー・ウッズ(42)=米国=が5年ぶりに優勝し、米ツアー通算80勝目を挙げた。首位で迎えた最終ラウンドは71と1打落として通算11アンダーとなったが、2位に2打差をつけて逃げ切った。故障や私的なトラブルなどで不振が続いていたが、ヒーローの復活に全米が沸き返った。松山英樹(26)=レクサス=は65で回り、通算6アンダーで4位。同じく4位のジャスティン・ローズ(英国)が初の年間総合優勝を果たし、1000万ドル(約11億3000万円)のボーナスを獲得した。 勝っても絶対に泣かない、とウッズはスタート前から決めていた。だが、18番でバンカーからの第3打を乗せると、目にうっすらと涙が浮かんできた。第2打を終えた直後からフェアウエーに入ることを許され、USAコールとタイガーコールを繰り返してきたギャラリーの前で10センチほどの最後のパットを沈めると、ゆっくりとカップからボールを拾い上げて両腕を上げた。79勝目から1876日ぶりの復活劇だった。 ウッズ以外の全員がヒールといえる4日間だった。前日は、試合前まで世界ランク1位だったローズが同組で回ったが技術の差を見せつけられた。最終日は新世代の旗手・マキロイが挑戦したものの、ムードに押されたのか前半から崩れた。 3日目までにチャージをかけてトップに立ち、最終日は一転して手堅いプレーで守り抜く-。ウッズの勝ちパターンは全盛時と同じだった。1番で3メートルを沈めてバーディー発進。その後はひたすらパーを続け、前半は34。この時点で2位と5打差がついた。後半はややティーショットが乱れて3つのボギーをたたいたが、すでに後続の選手は戦意を失っていた。 「また勝てる日が来るとは思わなかった」と、プレー後はウッズも興奮を隠さなかった。パワー全盛の米ツアーでは飛距離300ヤード超が珍しくない時代になり、かつて他を圧倒していたドライバーショットの優位性は、すでにない。マキロイに20~30ヤード置いて行かれるシーンもあった。それでも、勝負どころの集中力、ピンチを切り抜ける創造力は、今なお他の追随を許さない。それが多くのファンを引きつける理由だ。 1965年までに米ツアー最多の82勝をマークしたサム・スニード(米国)は、48歳で80勝に到達し、52歳で82勝目を挙げた。42歳のウッズには、まだ多くの時間がある。「プレーを続けていけば、いつか抜けるかもしれない」。前人未到の大記録へ、80勝は通過点にすぎない。
◆一問一答 感情こみ上げてきた-この勝利の意味は ウッズ「これまで勝ってきたメジャー勝利や世界選手権シリーズと同じくらい、本当に大きい。また勝てるかどうか、自分には分からなかった。でも、どうにか今年、バラバラだった自分のスイングを一つにすることができた。18番でボールをグリーンに乗せて、ようやく終わったと思えた。ロリーが最後のパットを沈めた後、すごく感情がこみ上げてきた」 -腰などに痛みが続いた 「痛みがなくなるかどうか分からなかったときが最悪だった。痛みなしに歩いて、座って、寝転ぶことができるか。あのままで生きていくのはいやだった。僕の残りの人生はどうなるのだろうと思った」 -もし(2006年に亡くなった)お父さんが生きていたら 「とても誇りに思ってくれると思う。きょうのこのタフなコンディションの中でのプレーをほめてくれると思う」
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