大抵の人が経験したことのある口内炎、通常は1週間から10日間ほどで自然に治るものです。なかなか治らない場合はキケン、口内炎ではなく口腔内のがんの疑いも。口内炎とがんの見分けは?
口内炎と口の中のがんは区別が難しい
多くの種類がある口内炎は日常的に経験するものですが、口の中のがんと見分けがつきにくく、見過ごしてしまうことも少なくありません。
見た目も痛みもほとんど変わらないからです。チェックポイントは症状が2週間以上たっても回復しない場合です。
なかなか治らない口内炎がある場合、耳鼻咽喉科や口腔外科を早めに受診してください。がんを見極める検査と治療が行われます。
口の中にできるがんの特徴
口の中にできるがんで特に多いのは舌がんですが、口腔にできたがんは見た目で一般の人が区別するのは難しい。がんには
- 粘膜の上に盛り上がるタイプ
- 粘膜組織の下に先行していくタイプ
がありますが、どちらもほとんどの場合口内炎と同じように痛みます。
しかし、口内炎は長くても1週間から10日間くらいで自然に治りますが、がんの場合は自然に痛みが収まることはありません。
舌がんは首のリンパ節に転移しやすい特徴があり、特に早期発見が重要です。
※日本歯科衛生士会のホームページで、口腔がんのセルフチェックができますので参考にされてください。
がんの診断
専門医は視診、触診でがんかどうかおよその見極めがつきますが、がんが組織の奥に潜り込んでいる場合は判断が難しい場合もあります。
判断がつきにくい場合は
口内炎の治療薬を使用し、回復が見られない場合は粘膜の一部を切除して診断を確定
します。
ステロイド外用薬、刺激の少ない含嗽剤(がんそうざい→うがい薬)、ビタミン剤などを1週間程度使用します。
口の中の病変が治る、または治る傾向が見られる場合は口内炎と判断できますが、薬の効果がない場合はがんの疑いがより高くなります。
病変を直径2~3mmほど切り取り、がんかそうでないかを確定します。
口内炎と似通った症状の病気
がん以外にも口内炎と区別しにくい病気があります。
白板症(はくばんしょう)
粘膜が白く変化する。10%程度は将来がん化する「前がん状態」の場合があるので注意が必要。
カンジダ症
疲労などで免疫の働きが低下し、カビの一種であるカンジダに感染
扁平苔癬(へんぺいたいせん)
難治性の炎症
口内炎の主な原因と予防
口内炎は口の中の粘膜に起きる炎症で、一般的によくできるのはアフタ性口内炎と呼ばれ、舌、歯茎、唇、ほほの裏などの粘膜の表面が傷つき、白っぽく変色することが多いです。
口内炎ができる原因には主に
- 生活習慣
- ウィルス感染
- 物理的な刺激
があります。
物理的な刺激はがん化しやすいので特に注意が必要です。
生活習慣とウィルス感染
喫煙、口の中の不衛生、ビタミン不足、ストレスなどがあると口内炎ができやすくなります。
口内炎を防ぐには、
- 禁煙
- アルコールは適量
- 歯磨きをしっかり行い、虫歯は治療して口の中を清潔に保つ
- 緑黄色野菜などビタミン類を摂る
- 睡眠を十分に取る、疲労をためない
ようにしましょう。
口内炎ができてしまったときは辛いものなど刺激物はなるべく避け、刺激を与えないようにします。
ウィルス感染
口内炎の原因となる代表的なウィルスはヘルペスウィルスです。唇付近にできる口唇ヘルペスが多いです。
物理的な刺激
- 歯、かぶせもの、入れ歯など
- 粘膜を噛む、やけどする
などが刺激になって口内炎が起こることがあります。
歯や被せ物、入れ歯などが原因の場合は、いつも同じ場所に刺激が加わり口内炎を繰り返しやすいので注意が必要です。
同じ場所の細胞組織が、損傷と修復を何度も繰り返すので、がん化しやすいのです。
かみ合わせが悪い、かけた歯、尖った歯、入れ歯やかぶせものなどが粘膜に当たる場合は、歯医者で調整してもらいます。
まとめ~なかなか治らない口内炎は専門医を受診
口内炎が長引く場合は専門医を受診し、がんの疑いがあるか診断を受けましょう。予防のため生活習慣の見直しや口の中の清潔に保つことも大切。
また、同じ場所に口内炎が繰り返しできると、がん化しやすいのでかみ合わせやかぶせもの、歯が粘膜に当たるなどは早めに歯科で調節してもらいましょう。
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