うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

「女犯の輩、家内に入れず」 ~『男色比翼鳥』巻1の2 その2~

『男色比翼鳥』巻1の2続きだよ♪

取り上げて欲しい作品やテーマは引き続き募集中だよ!

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※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
男色比翼鳥 6巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。

翻刻

ならんされば此男牛嶋の方迄来りしいの木の下成家
不レ入レ女犯―輩家内(によぼんのともがらかないにいれず)と額(がく)うちたるを見るとひとしく
さらぬ躰にてさりとハ国に盗(ぬす)人とハいへど戸さゝぬ御世(ミよ)の印(しるし)
入口の戸もひらきたるに亭主(ていしゆ)ハ留守(るす)かと立入るしばら
くあつてそう髪(かミ)なる男来り扨々ひさしや何茂(いつれも)けふは
何方への御出ぞやそれがしいかにかうしたていとなりし
とて御尋(たづね)にも預(あづ)からず口おしき仕合とうらみゆふ内に
も酒肴取出し様々のもてなしに両人も打とけ成ほど
/\うらみの段(だん)尤至極(もつともしごく)とくにも参べき身の今迄おそ
なハるにハすこし分(ハけ)ありそこらハなしミだけゆるし
給へ先以替(かハ)らぬ色見て珎重/\付てハ表(をもて)のがくのてい
むかしにかハらぬ衆道のかんばんとうとき寺(てら)ハ門から

赤字が前回のくずし字クイズの答えです。

【現代語表記】

ならん。
されば、此の男、牛島の方迄来たり、椎(しい)の木の下成る家に、「女犯の輩、家内に入れず(にょぼんのともがら、かないにいれず)」と、額(がく)打ちるを見ると等しく、さらぬ体にて、さりとは「国に盗(ぬす)人」は言えど、戸鎖(さ)さぬ御世(みよ)の印(しるし)、入口の戸も開きたるに、「亭主(ていしゅ)は留守(るす)か」と立ち入る。
しばらくあって、総髪(そうかみ)なる男来たり、
「扨々(さてさて)久しいや。
何(いず)れも今日は何方(いずかた)への御出ぞや。
某(それがし)、如何(いか)にこうした体(てい)と成りしとて、御尋(たず)ねにも預(あず)からず、口惜しき仕合わせ。」
と、恨み言う内にも、酒肴(さかな)取り出し、様々の持て成しに、両人も打ちとけ、
「成程(なるほど)、成程。
恨みの段(だん)、尤(もっと)も至極(しごく)。
疾(と)くにも参るべき身の、今迄遅なわるにじゃ、少し分(わ)け有り。
そこらは馴染みだけ許し給え。
先ず以て、替(かわ)らぬ色見て、珍重、珍重。
付けては、表(おもて)の額の体(てい)、昔に変わらぬ衆道の看板。
尊き寺(てら)は、門から

【さっくり現代語訳】

[二人の姿が美しいから]でしょう。

二人の男は、牛島の方まで来ました。

椎の木の下にあるに、「女と交わるような奴は、家の中には入れないよ!」というが掲げてあるのを見ると、入り口の戸も開けっぱなしなので、「亭主は留守か?」と言って、迷うことなく中に入りました。

「国に盗人あり」[「家にネズミあり、国に盗人あり」『徒然草(つれづれぐさ)』より]とは言いますが、戸に鍵をかけなくても平気なのは、天下泰平な世の中だからでしょう。

しばらくすると、ロン毛でオールバックの男が出てきました。

「おやまあ、お久しぶりだこと。

お二方とも今日はどこかにお出かけですかな?

がこんな風になってしまってから、会いに来てもくれなかったので、残念に思っていました。」

と、恨み言を言いながらも、酒と泪と男と女酒と肴(さかな)を用意して、様々にお・も・て・な・しをするので、二人リラックスして、

「なるほど、なるほど、お恨みになるのも、ごもっともです。

すぐにでも会いに来なければならなかったのに、ここまで来るのが遅くなったのは、ちょっとしたワケがあるのです。

そこんとこは、マブダチなので、許してくだされ。

まずは、お変わりない姿で、よかったよかった♪

それに加えて、表の額の様子を見ると、前と変わらず衆道[男色]好きを看板としているようで。
~~~

【解説】

「国に盗人は言えど、戸鎖さぬ御世の印」は、『男色大鑑』巻4の2「国に盗人とはいへど、錠もおろさぬ入口、いづれ治まる時津風パクった引用しているのでしょう。

二人の男椎の木の所まで来たから、二人の少年を見つけるかと思いきや、スルーして妙な額を掲げた家に入ります。

この家の主、前に名前は出てきたので、誰だかわかりますよね?

次回予告とくずし字クイズ

二人の男が事情を話しているようですが。。。

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三つ目コーナー

総髪にしてみたよ♪

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ヅラでしょ。

   

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