「手が届く価格で、最良」こそ大人の理想型
アウターが主役になる秋冬、すでにチェックしているアイテムはあるだろうか。ここ数シーズンはダウンを筆頭に高額かつ高品質なアイテムが支持を得ているが、手の届く価格設定にも関わらず良質なモノもある。「願わくばコスパが高いアイテムが欲しい」と考える我々の目に、それらがとても魅力的に映るのは至極当たり前のことだ。
『アダム エ ロペ』の意欲作。“ダーミザクス”シリーズとは?
「手が届く価格で、最良」。今季注目の逸品としてレコメンドするのは『アダム エ ロペ』が手がける“ダーミザクス”シリーズ。3シーズン目を迎える2018年は、従来以上にコストはかけつつも価格は過去のシリーズ以下という、ブランドの本気を感じずにはいられないアイテムに仕上がっている。
“最高レベル”と謳われる防水性や透湿性、低結露性を備えているのが、東レ(株)が開発したラミネート素材ダーミザクスの特徴だ。また、高いストレッチ性も有しているため、アウトドアやスポーツなどのアクティブなシーンでもストレスフリーで着用可能。もちろん、アウターとしての防寒性にも秀でているため、秋冬を過ごすにはうってつけの素材と言える。
高い機能性を誇る『アダム エ ロペ』の意欲作。このダーミザクスシリーズをさらに知るべく、同ブランドのなかでも、特に強い思い入れのある3名に話をうかがった。
アイテム1ショートフーディダウンは“きれいめなスラックスにも合うダウン”がテーマ
ダーミザクスシリーズの企画に携わるMDを務める吉田智仁氏。数々の商品を手がけてきた彼は、同シリーズのショートフーディダウンを手に取り、次のように話してくれた。
「きれいめなスラックスにも合うダウン、という発想で製作したのがショートフーディダウンです。テーラードに長く務めていたパタンナーと組み、体のラインがきれいに見えるシルエットに仕上げました。また、アウトドアブランドが取り入れているアライド社のダウンを採用したのもポイント。700フィルパワーと非常に高い防寒性を持ちつつ、ダーミザクスの効果で蒸れないので、ダウンを敬遠していた方々にも喜んでいただけると思います」
暖かなダウンパックの存在を感じさせない、美麗なシルエットも同アイテムの持ち味。その上質感を生かし、吉田氏はベーシックなグレースラックスと深みのあるブルーのニットに合わせ、品のあるスタイリングを提案。足元に合わせたオールブラックのハイテクスニーカーが、スタイリング全体と調和しつつも程良く抜け感を与えている。
首周りにはボリューム感のあるフリース素材を採用。「寒風を防ぎたくても、マフラーを嫌う方は多いですよね。でも、これならば防寒になりますし、何よりも肌触りが良好なんです」。ボディのメインカラーと同系色のため、フリース素材であっても野暮ったく見えない点もポイントだ。
部屋着にも合わせられるように、と着丈を長めに設計しているのも同アイテムの魅力。自転車に乗ったり、アクティブに動いたりというシーンであっても腰回りが冷えないように配慮されている。
「昨シーズン以上に、着用していただく方の悩みや要望を想定して仕上げました。コストもかかりましたが、それでも手にとっていただきたいという気持ちから価格を下げています。高価格帯のダウンを愛用している方やアウトドアブランドのアイテムを好む方はもちろん、ダウンに苦手意識があった方にも試していただけたらうれしいですね」
▲ショートフーディダウン/34,560円(税込)
アイテム2上品な趣きでいて、リラックス感あるTWステンカラーダウンコート
『アダム エ ロペ』にて各店舗の運営に携わる國和圭男氏。顧客のニーズと他社製品との両軸から自社に必要なモノを分析する彼はダーミザクスシリーズならではの特徴をこう語る。
「ここ数シーズンで、機能に対するお客様の感度が高まっているように感じています。おそらくアウトドアブランドが隆盛したことが理由でしょう。こうした背景から機能を前面に謳うブランドが増えつつあります。しかし本当に必要なことは、言葉だけではなく機能性の高さがデザインに表現されていること。その点、ダーミザクスシリーズは優秀。手前味噌ですが、細やかな配慮がすべてのデザインに現れているんです」
機能とデザインの調和を語る國和氏が着こなしたのは、アライド社性のダウンを採用したステンカラーダウンコート。ライトグレーのタートルネックニットやダークグレーのコーデュロイパンツと合わせた異素材MIXのワントーンコーデに仕上げている。
「ダウンの暖かさを保ちつつ、大人らしいスマートなデザインがお気に入りのポイントです。見た目全体はもちろん、ディテールも推したい場所が多いんですよ。たとえばスナップボタンひとつとっても、生地に引っかからないよう配慮されています。また、フロントのラペルもコート自体の洗練された印象に合うように設計されているので、ディテールにこだわる大人の方におすすめしたいですね」と、同アイテムの魅力を笑顔で話す國和氏。自身がさまざまなブランドのアウターを着用してきた経験から「高級アウターと比較しても、何ひとつ遜色がない着用感だなと感じています」
上品な趣きながらも、リラックス感のあるサイドシルエットにトレンドを織り交ぜているのも、同アイテムの見所だ。
「あまり意識していないかもしれないですが、サイドのシルエットは本当に重要なんですよね。品良く立ち振る舞いながらも、どこか今っぽい。そのアンニュイなバランスがあるからこそ、ビジネスでもカジュアルでも対応してくれる心強さがあるのではないでしょうか」
▲TWステンカラーダウンコート/37,800円(税込)
アイテム3らしさを引き立てる、どんなコーデにも合わせやすいマウンテンパーカー
初代からこのシリーズを愛用していると話すのは、同ブランドのECマネージャーを務める雨宮丈洋氏。今シーズンは、デザインはもちろん価格設定に驚いたそう。
「シーズンごとに品質が高まっていることは、自身が着用していても感じています。暖かいのに、蒸れない。これって言葉で語るのは簡単ですが、実際にウェアとして落とし込むと大変なはずなんですよ。それでも、言葉通りの機能を果たしてくれる。また、ドレスライクにもカジュアルにも寄らない、いい塩梅の見た目は活用のシーンが広くて助かりますね。徐々にスペックを高めているシリーズにも関わらず、今シーズンは価格が下がったことが何よりの驚きでした(笑)」
「マウンテンパーカーを選んでいるのはショート丈のアウターが好きだから。アウトドアアイテムらしい機能や、充実したポケットなどのディテールは残しながら、あくまでもきれいめのデザインに落ち着いているところがいいですよね」
こう話す雨宮氏の着こなしは、秋冬の季節感にマッチするアースカラー。赤みの入ったネルシャツやボルドーのパンツが、平坦に着地しがちなアースカラーの着こなしに抑揚をつけている。穏やかなムードを醸しながらもスポーティな空気を感じさせるのは、主役として抜擢したマウンテンパーカーの効果。
胸ポケットや胴回りのポケットに加え、袖にもスペースを設けている。「大胆な発想ですが、この収納スペースはかなり使えます」という雨宮氏は、小物が取り出しやすいという点を高評価。他にも腕元を絞るパーツが異素材で作られている点も特徴的。
「アウトドアシーンを考慮して作られたアイテムですが、どんなファッションにも合わせやすいんですよね。スポーティだったりアウトドアだったり、“らしい”コーディネートを組む際には、同アイテムがきれいめな要素になってくれます。それでいてきれいめなアイテムがメインの着こなしには、スポーツ感を香らせてくれる。マウンテンパーカーだけではなくダーミザクスシリーズ全体を通して、そのバランス感は秀逸だなと感じています」
▲マウンテンパーカー/18,360円(税込)