登録会員限定記事 現在はどなたでも閲覧可能です
米アップルが2018年9月12日(現地時間)に開いた新製品イベントを同社のサイトで見た。発表になったiPhoneとApple Watchの新版について雑感を述べたい。
まずは第4世代「Apple Watch Series 4」に思うことから。2015年に登場した初代Apple Watchをいまだにフル稼働させている私としては、「そろそろ買い替えかな」と考えていたので、Series 4の登場はうれしかった。目玉は、画面の大型化と心拍センサー、心電図(ECG)機能であろう。なかでも心電図に注目した。
現状、心臓に問題を抱えているわけではないが、ヘルスケア機能が充実したデバイスを常に身に着けるということは、年齢を重ねた身としては安心感が得られるものだ。まして、手元で心電図を診ることができるなんて、このうえない近未来感にワクワクするではないか。
だが、残念ながら日本発売のSeries 4では、心電図が封印されている。おそらく薬事法における、医療機器としての認証問題が絡んでいるのではないだろうか。薬事法とウエアラブル端末の関係についてちょっと調べてみた。ただし、アップルや医療関係者に直接取材したわけではないので、あくまでも筆者調べに基づいた仮説である。
Apple Watchは「管理医療機器」なのか
大手製薬企業の法務部門に勤務する友人に聞いたところ、「Apple Watchの心電図機能は、薬事法における管理医療機器に当たる『クラスII』に分類されるのではないか」という。「クラスII」分類は、MRI装置、電子内視鏡、超音波診断装置と同じカテゴリーに入る。クラスIIの管理医療機器は、「第三者認証」が必要になるとのことだ。
厚生労働省の資料「医療機器の薬事承認等について」によると、第三者認証は「厚生労働大臣が基準を定めたものについて大臣の承認を不要とし、あらかじめ厚生労働大臣の登録を受けた民間の第三者認証機関(現在12機関)が基準への適合性を認証する制度」とある。
ただし、身に着ける機器であることや、体の状態を通知する機能を備えていることから、第三者機関による認証ではなく、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のより厳しい審査が必要なのではないか、という専門家の意見もある。
加えて、件の友人は、「Apple Watchの販売拠点に、医療機器を販売するための資格を持った人員を配置する必要があるかもしれない」と付け加える。だとしてもこの資格は、講習を受けて取得できるものだそうなので、大きなハードルにはならないだろう。アップルが日本で売るApple Watchにおいても、心電図機能を重視する方針であるならばクリアできる課題かもしれない。その友人は、「アップルが医療関係のスペシャリストを求人するかどうか、今後の広告に注目するとよい」とアドバイスする。