ストリーミング再生回数を操作して全米チャートの順位を上げる方法が問題視される

先日発表されたアメリカの上半期の音楽市場の売り上げは、75%がストリーミングサービスからのものとなっており、アメリカにおけるストリーミングサービスの一強時代は揺るぎないものとなっている。

それを裏付けるかのように全米ビルボードチャートは、ストリーミングサービスの有料会員の再生数を、自身のチャートでより重視する方針に転換を図ったのも事実だ。

しかしBuzzFeedのアメリカ版に、ストリーミングサービスを用いたファンによるチャート操作についての記事が掲載されている。

この記事によれば今年初めてK-Popのアルバムで全米チャート1位を獲得したBTSのファンたちの行動が掲載されている。記事によればあるBTSのアメリカのファングループはSpotifyの有料会員アカウントを1000個作成、Twitterやslackなどを用いて、アメリカ国内や国外のファンに配布。大量に再生させ続けることで、ストリーミング再生回数を伸ばしたというのだ。

もちろん国外のファンが普通に再生をしてもアメリカ国内の再生回数にはカウントをされないが、VPNと呼ばれるネットワークを使用して、自身の居場所を偽りアメリカ国内からアクセスしたという手法をとっていた。

こうしたファンによる再生回数アップの手法は、BTSだけでなくHarry Stylesのファンたちも用いたと言われており、ビルボードチャートに影響を与えているという。また記事に登場したアメリカの大学教授はSpotify上でヒットしているものは、ユーザーにとっての聴くべき指標となっており、さらなるヒットに繋がる可能性があるとも指摘している。

今後さらにストリーミングサービスが強力になっていくことで、このようなファンによる行動は大きな問題になっていく可能性もある。こうした大量再生回数をストリーミング再生回数に含むべきか、全米レコード協会やチャートの統計をとっているNielsenなどは方針を示していない。

RELATED

アメリカの音楽市場の2018年上半期の売り上げが発表 | ストリーミングが売り上げ全体の75%を占める

アメリカ・レコード協会(RIAA)が、2018年上半期の売り上げを発表。前年2017年と比較して全体の売上高は10%伸び46億ドル(5177億円)。

Spotifyがインディーのアーティストが直接楽曲をアップロード出来る機能を追加

今まで、インディーのアーティストが自身の手で楽曲をアップロードするためのプラットフォームはSoundCloudとBandcampが主流だった。しかし今回、世界最大のストリーミングサービスSpotifyが、ディストリビューターなどを通さずに直接楽曲をアップロードできる機能を追加すると発表した。

米国上院議会が音楽プロデューサーにも印税が支払われる法案を可決

9/18に米国の上院議会は、音楽の著作権の改善とストリーミングの収益の分配を見直す法案を、満場一致で可決した。

MOST POPULAR

音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果

音楽を聴いて鳥肌が立つ、という体験をしたことがあるだろうか。もしあるならば、あなたはとてもラッキーな経験をしている。

大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていると、研究により明らかになった。

Appleの重役がiTunesの音楽ダウンロードが終了することを認める

ついにその日が来てしまうのだろうか。先日発表されたアメリカレコード協会(RIAA)の2017年末の収入報告でもデジタルダウンロードの売り上げが2011年以来6年ぶりにCDやアナログレコードなどの売り上げよりも少なくなったと発表されたが、ちょうどそのタイミングでApple Musicの重役のJimmy Iovineが、iTunesストアの音楽ダウンロードが、終了する見込みであることをBBCの取材に対して認めている。