米Googleが9月4日(現地時間)にアップデートしたWebブラウザ「Chrome 69」から、新機能としての告知なしに変更されたある機能が、一部のユーザーが問題視したことで明らかになった。
Chromeブラウザで「Gmail」や「Google Keep」などのGoogleのサービスにログインすると、自動的にChromeにもログインするようになったのだ。
従来は、Chromeへのログインとその他のGoogleサービスのログインは独立していたが、Chrome 69からは同時にログインすることしかできず、Chromeでログアウトすると、Gmailなどからもログアウトする。
この新機能のどこが問題なのかを、ジョン・ホプキンズ大学のマシュー・グリーン教授が23日、分かりやすく解説した。それを参考に、問題を整理してみる。
Chromeには以下の4つの「モード」がある。
新機能では、Googleサービスへのログインで自動的にChromeにもログインするが、すぐにChromeログインモードになるのではなく、閲覧データがGoogleのサーバに送られることはない。Chromeのツールバー右端の、ログイン中であることを示すアイコンをクリックすると「同期してカスタマイズしたChromeをどの端末でも使用できます」という説明と、同期を開始するための青いボタンが表示される。
これをクリックしても簡単には同期は始まらず、何が同期されるのかの説明と、同期の設定を変更するページへのリンクが表示される。
これらの説明を読むユーザーであれば、不用意に自分のデータを提供することはなさそうだが、端末横断でデータを同期できる便利さは自分のデータをGoogleに提供することで得られることに気づかずに同期していまう可能性もある。
Googleのエンジニアはグリーン氏に対し、この変更は「例えばユーザーがAというアカウントでGmailにログインしながらBというアカウントでChromeにログインして同期した場合の混乱をなくすため」だと説明した。だが、そもそもChromeにログインしていないユーザーの場合はそのような問題は発生しないとグリーン氏は指摘する。
GoogleはChromeにログインしただけではデータを収集するわけではないのでプライバシー的には問題がないというスタンスを変えていないが、グリーン氏などの指摘や批判を受けて24日、Chromeのプライバシーポリシーのブラウザモードの部分を少しだけ修正した(まだ英語版のみ)。
「デスクトップ版Chromeでは、GoogleのWebサービス(例えばGoogle.com)へのサインインあるいはサインアウトによりChromeにサインインあるいはサインアウトしたことになります。同期はあなたが選択して初めて可能になります」という1文が追加された。
グリーン氏は、Googleがこれまで、膨大な量のユーザーデータを収集しているわりには米Facebookなどと異なり、ネガティブな印象を比較的もたれなかったのは、ユーザーデータの取り扱いを慎重に、責任をもって行ってきたからだが、こうして築いてきた信頼は簡単に失われると語った。「Googleがなぜこんな変更を決めたのか私には理解できないが、残念だ」。
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