素晴らしく良い出来。
レオパルドンがコールできない以外、ほぼ文句なしである。
東映版スパイダーマンネタも仕込んである。
スパイダーマン好きにはお勧めしかできない。
YEAH!
一応エンディングまで見たので、感想をザクザク書くぜ。
■大枠の感想
「移動」「バトル」「ゲーム進行」それぞれに対して書こうと思う。
・移動
スパイダーマンの特徴といえばウェブでスイングする移動。
サムライミ版映画でも、その特徴的な動きが強調されていたが、ゲーム版でもその気持ちよさは見事に再現されている。
これだけで、ご飯10杯イケる。イケる。恐ろしい。
(×)でジャンプし、[R2]ボタンでウェブ発射orバルクール。移動方向は(L)スティック。
こんだけの操作で、ビルのジャングルを軽快で気持ちよく移動できる。
相当強烈にアシストが効いているのだろうが、ほぼ違和感なく自在に、びよんびよん、スパイダーマンの唄を歌いながらスイングできる。(歌う必要はない)
この移動のおかげで、広いマップの移動が苦にならず、それをダレさせない仕組みとして、ラジオや独り言がひっきりなしにボイスで流れ、下手くそでもソコソコ速度が出るが、ちょっとなれるとかなり速度が出せる(自分の位置より高い建物が無いとスイングできないなどのちょっとした制約と、連打できないが(X)ボタンで水平方向に加速する、なるべくビルや地面に着地しないなどの)あってもなくてもいいテクニックがあり、さらに空中で回転するなどのトリックをすることでわずかに経験値が入るといった、「気持ちよく移動させつつ、そこで物語を与え、ゲーム性ももたせて、飽きさせない」という、このゲームの一つのウリが達成されている。
特に特筆すべきは、このアシストの入り方で、これ仕様書どう書くんだよ、というレベルである。エンジニアとゲームデザイナーの中で何度キャッチボールがあった事か。
ここに関しては殆ど文句が出ない。
絵的にも素晴らしく、それを支える技術も見事、手触りの練度も、ほぼほぼ違和感を感じさせない凄まじさだと思う。
・バトル
バトルは基本的に(□)ボタン連打で敵を殴る+(□)ボタン長押しで敵を空中に打ち上げ、そのまま連打で追い打ちをかける(カプコン系にエリアルレイウ的な動き)をメインに、そこにウェブを使って敵を固定したり、物を引っ張ってぶつけたりという、地形効果の遊びを混ぜ、背後や遠方から気づかれずに倒すというスニーキングアクションも可能という、これも複数のバリエーションをまとめこんだとてもよく練られたバトルになっている。
自分はベルトアクションゲームが大好きだが、このスパイダーマンのバトルには、同じような「面制圧」する面白さがある。
1vs1では確実に勝てる敵を複数配置して、その配置によるどいつから順にどのように倒せば効率的か、という遊びをちゃんと作ってある。
そのうえで、敵と戦う(空中コンボする)と溜まるゲージがあり、これを「回復に使う(↓)or即死攻撃に使う(△+□)」の選択をユーザーにさせることで、ヘッポコならばヘッポコなりに傷を直しつつ戦えるが、上手ければガンガンゲージをためてバンバン即死攻撃に使っていけば、あっという間に制圧できる。
これは、下手くそでもクリアできる難度を担保しつつ、プレイヤーの意思で難しい戦い方にチャレンジすることができる、というバランスのとり方であり、ほれぼれする。
プラスアルファとして、ガジェットを使って楽に戦闘を進行する方法がある。
素晴らしい出来だが、個人的には、敵の量(雑魚ウェーブ)が多すぎて、流石に飽きるので、位置戦闘での敵登場数を半分か1/3ぐらいでいいんじゃないかと思う。(上手になれば、この人数をスピーディにさばけるのだろうが)
・ゲーム進行
広いマップに、集めるものが多く散らばっている。 これはスパイダーセンスで簡単に見つける事が出来るので、移動してそこに行くことのみがゲーム性であり、先ほどのべた効率的なwebスイング移動の遊びのオマケとして機能している。
ほかにも、マップの各地にミニゲームが用意されている。
図形合わせゲーム、電波チューニングゲーム、配線ゲームといった、ミニゲームと、
マップでの移動と、バトルシステムを用いた、爆弾処理や、バトルながある。
また、スパイダーマン以外の人物を操作するパートもあり、こちらは超人的なパワーが無いので、スニーキングアクションとなっている。
こうやって複数のゲームを進行させながら、ゲーム内収集物をあつめ、スパイダーマンのコスチュームや、スキル、ガジェットをアンロックしながら、ゲームを進める、という仕組みになっている。
戦闘一辺倒にならず、移動一辺倒にならず、といった具合で、いろいろとテイストを変えて遊ばせることで、牛丼に紅ショウガ、親子丼に三つ葉、カレーに福神漬け、かつ丼に沢庵といった、アクセントとして機能している。
非常に気が利いていて、かゆいところはございませんか?ここはかゆくないですか?とりあえずかいておきますね。
みたいな作りである。
■どうでもいい感想
難を言えば、ヒロインであるところのMJがくそウザいのだが、まぁ仕方がないのである。原作準拠だから。
各種のアンロックをしないとゲーム進行が厳しくなるのだが、何も考えずにアンロックしていっていいのか、ダメなのかが分からないので、序盤渋っていたらわりとゲーム難度が高かった。
何も考えずにアンロックしてよいタイプのゲーム(適当にやってたら8割はアンロックできる)だったらしい。
自分は、この手のアンロックのあるゲームシステムはそんなに好きではなく、最初からすべての機能を入れておいてくれ、説明は必要になったらしてくれ、という派閥なのだが、スパイダーマンのアンロックシステムは、かなり多くの人がなじみやすいように調整されており、この自分でもイラっとくる量が少なかった。ほんと気が行き届いている。
物語は、そもそもスパイダーマンは何度も何度もリブートされているので、これはどの話だと思いならプレイするわけだが、序盤がマップ上で散発的に事件が起こるだけなので、はぁはぁこういうノリなのかと思っていたら、中盤に大事件がおこり、有名ヴィラン(敵怪人)がズラズラっと登場するので、ここでおっさんのテンションには火が付くのであった。
シナリオワークは、箱庭型ゲームとしてはかなりしっかりしており、エンディングへの流れもスムーズである。
ここまでよくできていると、あといくらか払うから、レオパルドン呼ばせてくれ。
それがかなわないなら、サムライミ版の大家の娘を頼む。
といった要望がどうしても出る。
■まとめ
このレベルになると、企画者が細かい仕様を書けるのかこれ?って感じである。
まぁ海外スタジオなので書いてると思うのだが、それにしても仕様書書いてはい終わりには絶対ならない、フィードバックキャッチボール大会だったことは想像に難しくない。
そこまではいいが、その後それをドキュメントに残すのかと思うとゲンナリする。凄いね。
そんなキャッチボールの中、毎月溶けていく莫大な金額を「ハハハッ発売したら何倍にもなって帰ってくるぜボーイ!」とか思って眺めてられるプロデューサーとかな。もう気が狂ってる。
全体的なボリュームや、そのボリュームの出し方、どれもこれもほんと、とんでもない。いつまでたっても終わらないエンディングテロップがその恐ろしさを端的に表している。
ほんといつまでたっても終わらない。
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