社会小中校事務職、残業協定なし 岐阜県内「違法」が常態化岐阜県内の全ての市町村立小中学校が、時間外労働(残業)をさせる場合に必要な労使協定(36協定)を事務職員と結んでいないことが、県教委の調査で分かった。協定なしでの残業は原則として違法となり、県教委は年度内に各市町村教委に協定締結を求める方針。事務職員の役割は近年、法改正で重みを増しており、同様の問題は全国各地にあるとみられる。 6月に成立した働き方改革関連法には、付帯決議に学校での36協定の締結や時間外労働の上限規制などの法令順守の徹底が盛り込まれた。これを受け、岐阜県教委が県内の市町村教委に調査したところ、学校長が事務職員と協定を結んでいる例はゼロだった。残業代は県条例に基づき、自己申告に従って支払われているという。 関係者によると、市町村立学校の事務職員は、大量の業務を自主的な残業でこなしているのが実態。加えて2017年の学校教育法改正で、事務職員の規定が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に変更された。校長や教頭が行っていた予算編成に関する校内の取りまとめなども可能となり、より深く学校運営に関わるようになった。 学校現場では、教員の場合は教職員給与特別措置法(給特法)で残業が自主的な労働とみなされ、36協定の締結義務の対象外。代わりに基本給の4%を「教職調整額」として受け取る制度がある。だが、事務職員は同法に含まれない。 岐阜県内の市町村立の小中学校、義務教育学校は計548校で、大半は事務職員を配置。県教委教職員課の担当者は「もともと学校現場は時間外という意識が薄い。事務職員に36協定が結ばれていない事態は速やかに改善すべきだ」と話す。高校などの県立学校は全て、事務職員と協定を締結済みという。 日本教職員組合は、全国各地の公立小中学校で未締結のケースが多いとみている。担当者は「協定締結をきっかけに、時間外勤務の上限設定など労働環境の改善に向けた取り組みが広がってほしい。教員を含めた学校全体で働き方の意識改革につながれば」と話す。 (中日新聞) 今、あなたにオススメ Recommended by
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