12文科高第二九五号
平成一三年三月二八日
各国立学校長あて
文部科学省高等教育局長通知
授業料免除選考基準の運用について 国立学校における授業料免除制度は、経済的な理由によって授業料の納付が困難で、かつ、学業優秀と認められる者等にその納付を免除することにより、修学継続を容易にするもので、学生に対する奨学援護の一環として重要な役割を果たしておりますが、平成一三年度以降における授業料免除の対象者の選考に当たっては、左記の事項に留意の上、制度の趣旨に従い遺漏のないよう願います。 なお、「授業料免除選考基準の運用について」(平成一〇年三月五日付け文高学第一〇四号高等教育局長通知)は、廃止します。 記 一 家計について (一) 授業料免除の対象者となる者は、その者の属する世帯の一年間の総所得金額が全額免除にあっては別表第一、半額免除にあっては別表第二の収入基準額以下の者であること。この場合、総所得金額の算定は別添「総所得金額の算定方法」によること。 ただし、大学院に在学する者のうち、次のいずれにも該当する者については独立生計者と認定し、本人(配偶者があるときは、配偶者を含む。)の一年間の総所得金額で判定すること。 [cir1 ] 所得税法上、父母等の扶養親族でない者 [cir2 ] 父母等と別居している者 [cir3 ] 本人(配偶者があるときは、配偶者を含む。)に収入があり、その収入について所得申告がなされ、所得証明書が発行される者 (二) 長期療養者がいる世帯、身体障害者がいる世帯など家計の支出が多額となる特別の事情がある者については、総所得金額が収入基準額を超える場合であっても特例として免除の対象とすることができるものとすること。 この場合、日本育英会の特例推薦による金額を超えないものとすること。 (三) 家計の判定に当たっては、本人が受けている奨学金を総所得金額に加算するとともに、本人の授業料相当額を特別控除の対象としないこと。なお、この通知に定めるもの以外の取扱いについては、日本育英会の取扱いを準用すること。 二 学力について (一) 一年次については、高校成績、入試成績、あるいは高校成績に入試成績を加味したものが一定の評価される水準以上であること、また、二年次以上については、各大学が定める標準単位数を修得し、かつ、成績の状況が一定の評価される水準以上であることとし、日本育英会の第二種奨学金に係る学力基準との均衡をも考慮するものとすること。 (二) 修得単位が皆無若しくは極めて少ない者、留年している者又は修業年限を超えた者は、病気、留学など特別な事由があると認められる場合を除き、免除の対象としないこと。 なお、その取扱いに当たっては、「授業料免除選考基準の運用について」(平成四年二月七日付け四高学第七号学生課長通知)に留意すること。 (三) 母子家庭、生活保護世帯等経済的困窮度が著しく高く特別の事情がある者については、特例として、(一)の基準を緩和して免除の対象とすることができるものとすること。 この場合、緩和する程度は、日本育英会の特例推薦の範囲を超えないものとすること。 三 免除の判定について 授業料免除を受ける者は、各学校において前記一及び二に沿って定める家計基準及び学力基準のいずれにも該当している者の中から選考すること。また、免除額を全額とするか、半額とするかは家計基準により行うものとすること。 別表第1 全額免除に係る収入基準額表 (大学・短大)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに80,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 (大学院修士課程)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに90,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 なお、「修士課程」には、博士課程のうち、修士課程として取り扱われる課程及び修士課程に相当すると認められるものを含む。 (大学院博士課程)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに130,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 (高専・その他)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに70,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 別表第2 半額免除に係る収入基準額表 (大学・短大)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに170,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 (大学院修士課程)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに200,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 なお、「修士課程」には、博士課程のうち、修士課程として取り扱われる課程及び修士課程に相当すると認められるものを含む。 (大学院博士課程)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに280,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 (高専・その他)
(備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに140,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 (別添) 総所得金額の算定方法 総所得金額とは、申請者の属する世帯(大学院に在学する者のうち独立生計者と認定された者にあっては本人(配偶者があるときは、配偶者を含む))の金銭、物品などの一年間の総収入金額(大学院に在学する者のうち独立生計者と認定された者(配偶者があるときは、配偶者を含む。)が父母等から金銭、物品などの給付を受けている場合はその金額を、本人が奨学金を受けている場合はその金額を合算した額)から、(一)必要経費、(二)特別控除額を差し引いた金額をいう。 なお、一年間の総収入金額は、申請の前年一年間の額(奨学金は、申請の前年度一年間に実際に受けた額を申請の前年一年間の額とみなすこと。)によることとし、これにより難い場合は、日本育英会の取扱いを準用すること。 また、総所得金額の算定に当たっては、「授業料免除選考基準の運用について」(平成四年二月七日付け四高学第七号学生課長通知)の記の二にも留意すること。 (一) 必要経費 必要経費の控除は、次の所得の種類別により取り扱うこと。 [cir1 ] 給与所得 俸給、給料、賃金、歳費、年金、恩給、賞与及びこれらの性質を有する給与等(扶助料、傷病手当金等を含む。)の収入金額については、次の計算式によって、得られた金額を控除する。 ・収入金額が一〇四万円以下のものは収入金額と同額とする。 ・収入金額が一〇四万円を超え二〇〇万円までのもの 収入金額×〇・二+八三万円 ・収入金額が二〇〇万円を超え六五三万円までのもの 収入金額×〇・三+六二万円 ・収入金額が六五三万円を超えるもの 二五八万円 (注) 一 給与所得者が二人以上いる場合、この計算は各人別に行う。 二 同一人で二以上の収入源があって、いずれも給与所得の場合は、収入金額を合算したあと総所得金額を算定する。 [cir2 ] 商業、工業、林業、水産業所得 年売上げ高から、必要経費として、売上品原価と営業経費とを控除する。 なお、売上品原価には、当該年度内の仕入れであっても、年度末に在庫として残っている分(たな卸資産)は含まない。 また、営業経費とは、雇人費、減価償却費、業務に係る公租公課等収入金額を得るための必要経費をいう。 [cir3 ] 農業所得 総粗収入から必要経費として、肥料、種苗、蚕種、家畜の飼料、動力機の燃料等(過去一年間の収入を得るために実際に消費したもの)の購入費を控除する。 なお、総粗収入には、農作物の種類別に作付面積から総収量を算出し、これに販売価格を乗じて得た金額(粗収入)のほか、養蚕、牧畜、養豚等農作物以外の収入及び副業収入がある場合には、その収入金額を、すべて前記の収入金額(粗収入)に加算すること。 また、家計仕向け分(自家消費)も販売価格で換算して含めるものとする。 [cir4 ] その他の職業による所得及び雑所得 給与、商業、工業、林業、水産業、農業以外の職業(開業医、弁護士、著述業、公認会計士、外交員、税理士、大工、左官等)によって収入を得ている場合及び利子、配当、家賃、間代、地代、内職収入、親戚・知人等からの援助等の収入の場合、それぞれの収入を得るための必要経費を要したときは、収入金額からその必要経費を控除する。 [cir5 ] 臨時的な所得 公租公課等の経費を控除する。 なお、臨時的な所得とは、退職金、退職一時金、保険金、資産の譲渡による所得及び山林所得をいい、当該授業料免除実施前六月間における収入のみとする。 (二) 特別控除額 母子・父子世帯、就学者のいる世帯、その他特別の事情のある世帯について、次表の特別控除額を控除する。
備考 一 A欄の「[cir2 ]就学者のいる世帯であること。」による控除は、就学者の中に出願者本人分は含めない。 二 A欄の「[cir2 ]就学者のいる世帯であること。」による控除(国立学校に係るもの)は、当該就学者が全額授業料免除を受けている場合は、B欄の「本人を対象とする控除」と同額とし、半額授業料免除を受けている場合はB欄の金額と授業料納入金額との合計額がA欄の「[cir2 ]就学者のいる世帯であること。」による控除額を超えない範囲内で授業料納入金額を加算することができる。 三 就学者の学種が申請時と異なる場合は、申請時の学種によりA欄の「[cir2 ]就学者のいる世帯であること。」による控除額を適用すること。 四 A欄の控除については、該当する特別の事情が二以上ある場合にはそれらの特別控除額をあわせて控除することができる。 (留意事項) 就学者(国立学校に係る者)の授業料免除状況の確認は、授業料免除申請書に記入欄を設ける等適宜の方法によること。 |
-- 登録:平成21年以前 --
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