(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年9月21日付)
中国は世界を変えた。しかし、世界の中国観も変えてしまったことを理解するのが遅すぎた。
中国政府は今、心中穏やかでない。中国の台頭はこれまで、中国自身の考えに沿って進んできた。
壁にぶち当たったり突風にあおられたりすることもあったし、ワシントンとにらみ合いになることも時折あったが、西側諸国はほとんどの場合、忙しくて中国どころではないか、すんなり受け入れてくれるかのどちらかだった。
おかげで中国の指導者層は、自分たちの考えを押し通すことに慣れてしまった。ところが今、こちらの言うことに従えという圧力をかけられている。
ドナルド・トランプ米大統領が発表した新たな懲罰的関税――中国の対米輸出に250億ドル相当の税をかける措置――への対応については、中国共産党指導部が注意深く練られた戦略を持っていると考えたくなる。
西側の評論家の間では、中国は常に3手先を考えて動いているとの見方が定着しているからだ。
しかし今回は、そうなっていない様子が垣間見える。中国の状況を分析している人々は、指導部は不意を突かれたと話している。
米国では物事がどのように決まってどのように動いているのか。このテーマをめぐる長年の研究成果が、トランプ氏の意図的な予測不可能性によってひっくり返されている。