米最高裁判事候補に新たな性暴力疑惑 大学時代に露出か
ドナルド・トランプ米大統領が最高裁判事に指名したブレット・キャバノー高裁判事(53)について、2人目の女性が性暴力被害を受けたとして実名で名乗り出た。
イェール大学でキャバノー氏と同期だったデボラ・ラミレス氏(53)は、米誌ニューヨーカーで疑惑の被害の詳細を語った。
それによると、キャバノー氏には学生寮でのパーティーで性器を露出しラミレス氏の顔にこすりつけ、合意のない身体接触を行った疑いが持たれている。
先にはカリフォルニア州のパロアルト大学で心理学を教えるクリスティーン・ブラゼイ・フォード教授(51)が、1982年にキャバノー判事から性暴力被害を受けたと報告。27日に上院司法委員会による公聴に応じる構えだ。
判事はどちらの疑惑も否定しており、ラミレス氏の件について「名誉毀損だ」と述べている。
連邦最高裁は激しい賛否両論のある法律について最終判断を示すほか、米国の市民生活に重要な影響力を持つため、判事の選出は極めて重要とされる。
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疑惑の内容は?
ラミレス氏は1983/84年度にキャバノー判事と共にイェール大学で学んだ。
問題の行為があった学生寮のパーティーで、ラミレス氏とキャバノー氏は友人らと、次に飲む人を指名するゲームをしていたという。
ラミレス氏によると、ゲームの最中に1人の男性がプラスチック製の男性器で彼女の方を指し、その後、別の男性が性器を露出したという。
「顔の前に性器が現れたのを覚えている。酔っている状態でも、自分がそれを嫌がっていると分かった」とラミレス氏は説明した。
ラミレス氏がそれは本物でないと言うと、あざ笑わればかにされ、最終的には男性を押しのけるために性器に触ることになったという。
敬けんなキリスト教・カトリック教徒として育てられたラミレス氏は、「私は結婚するまで男性器に触らないはずだった。笑いものにされ、辱められ、侮辱された」と話した。
ラミレス氏は、自分の右側に立ったキャバノー氏が、笑いながら下着を上げたのを覚えているとしている。
同氏は飲酒のためにその日の記憶には欠落があると認めた上で、ニューヨーカーから接触があった時、名乗りを上げることにためらいがあったと話した。
疑惑に対する反応は?
この記事を執筆したローナン・ファロウ記者とジェイン・メイヤー記者は、ラミレス氏の主張を検証し裏付けるために何十人もの同級生に接触したと話した。
うち3人の元学生が、直接的な目撃者ではないものの、当時この件についてぼかされた表現で聞いたり話したりした記憶があると証言した。
一方、この件に関わったとされる2人の男性は、他の同級生と共にラミレス氏の主張に反論し、キャバノー氏への疑惑は「全く彼らしくない」と話した。
キャバノー氏は声明で疑惑を否定し、「35年前の疑惑の出来事は起こっていない。当時の私を知る人々はそれを知っているし、そう言っている」と述べた。
「これは単純な名誉毀損だ。27日に上院で真実について証言し、私の名誉と、生涯をかけて作り上げてきた性質と誠実さを、この段階で浮上した疑惑から守るのを心待ちにしている」
ホワイトハウスの報道官は、トランプ政権はキャバノー判事に味方すると述べ、疑惑を「良き人物をおとしめるために民主党が企てた名誉毀損キャンペーンだ」と一蹴した。
次に何が起こる?
キャバノー判事は21人から成る上院司法委員会と上院からの承認を得て初めて、連邦最高裁の判事の空席に着くのが認められる。
クリスティーン・ブラゼイ・フォード氏は先週、性暴力被害に遭ったと名乗りをあげ、27日に司法委公聴会で証言に応じることで合意した。
フォード氏は15歳のとき、当時17歳だったキャバノー氏が自分をベッドに押さえつけて服を脱がそうとしたと話した。
トランプ大統領を含む複数の共和党員は、フォード氏と民主党が上院司法委による承認を遅らせ、阻止するために故意に疑惑を持ち上げたと非難している。
この疑惑が持ち上がって以降、フォード教授とキャバノー氏、そしてキャバノー氏の妻の元に脅迫が送られて来ているという。
また弁護士のマイケル・アベネッティ氏はツイッターで、フォード教授の主張をめぐり、キャバノー判事とその場にいて一部始終を見ていたと名指しされたマーク・ジャッジ氏について「信頼できる情報」を持っている女性の代理人をしていると明らかにした。
アベネッティ氏は、トランプ氏との不倫後、2016年の大統領選中に米ポルノ女優のストーミー・ダニエルズ(本名ステファニー・クリフォード)氏の弁護人を務めている。