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日本を分断する「糸魚川-静岡構造線」の謎解明!断層活動は終息か

 本州中部を南北に走る断層「糸魚川-静岡構造線断層帯」は、日本列島を東と西で分断する国内最大の活断層だ。産業技術総合研究所や名古屋大学などのチームは2012年から2014年にかけて現地調査を実施し、糸魚川地域では活動を終了していることを突き止めた。

 

「糸魚川-静岡構造線」は、日本海が誕生した2000万年前から1500万年前にかけて、日本列島の基礎となる岩石が現在の形に配列されたときにできた断層で、新潟県の糸魚川市から、長野県の諏訪湖を経由して、静岡県静岡市につながっていると考えられている。

 

 ここを境界に東日本と西日本では大きく地質が異なることから、列島の成り立ちを考えるうえで重要な場所だが、周辺は日本アルプスが連なる険しい山岳地帯のため、これまで詳しい地質調査を行うことができなかった。

日本を東西に分ける大断層帯

 産総研や名古屋大の竹内誠教授のチームは、2012年〜2014年にかけて、構造線最北端の糸魚川地域で地質調査を実施し、地層の種類や分布、岩石や火山灰の分析などをまとめた。その結果、構造線の西側には、日本列島がまだ存在しなかった古生代と中生代の地層が広がることをつかんだ。

 

 一方、東側は1800万年以降の日本海に堆積したもろい泥岩地層が広がっていることから地すべりが発生しやすく、さらに約65万年前に火山活動を終えた火山と火山噴出物が堆積した地層も発見した。

 

新しい時代の断層群が寸断か

 今回の調査結果を、これまでにまとめた地質図とつなぎ合わせた結果、糸魚川周辺では地層のところどころが寸断され、高低差があることが明らかになった。このことから糸魚川-静岡構造線最北端の断層は、新しい時代にできた断層群によってバラバラに寸断されており、活動を終了していると結論づけた。

 

 だからといって地震が起こらないというわけではない。構造線最北端の東側は、日本列島が大陸から分離したときに形成された大地溝帯「フォッサ・マグナ」が広がっている。明治時代にドイツの地質学者ナウマンが発見したフォッサ・マグナの一部は、糸魚川-静岡構造線で区切られているが、今回の調査の結果、構造線を寸断した複数の断層群によって100万年前以降、急激に隆起していることも明らかになった。

 

 研究チームは今回の調査結果を5万分の1の地質図「糸魚川」としてまとめ、各地の地質研究所や地図センターで販売を開始した。

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