立命館大学びわこ・くさつキャンパスでの肉肉カンファレンス2018に参加・発表してきました。
食の価値の多様化をまじまじと感じた会でした。稲見昌彦先生(東京大学先端科学技術研究センター 教授)の「肉はメディア、料理はメディアアート」という視点が興味深かったです。
全体を振り返ると、テーマが「タンパク質としての牛肉、嗜好品としての牛肉の未来」であり、食品学、調理学、栄養学がホームグラウンドの人間としては、「牛肉が嗜好品?」と思うところもありましたが、その嗜好品という観点が、食の未来を考える上でとても興味深いものでした。
講演を聞いている間、以下のようなメモ書きをしていました。
- 歴史から見ると、アメリカの牛肉崇拝は、英国のBeef Eaterからの継承
- 牛肉の嗜好品としての可能性
- すき焼きの栄枯盛衰 タブー(禁忌)からの解禁→そして熱狂へ
- 牛肉は政治である、牛肉はメディアである
- 牛肉はいつから贅沢品か
- 牛肉による新たな価値創造をするには
- 科学を元に牛肉の調理をデザインする
講演中、「どうして人は牛肉に夢中になるのか?」をずっと考えていました。
その理由の一つは、牛肉が「うま味」と「脂」という人をとりこにする二大成分を含んでいる稀有な食材だからでしょう。
もう一つは、牛肉はバリエーションが広いことなのかなと。肉の部位や、霜降り、赤身で味わいが異なるだけでなく、熟成、調理法によっても大きくおいしさは変化します。
人の個性が多様化へと向かう中で、食の持つ多機能化、多価値観化みたいなものが、反映しやすい代表格が「牛肉」なのかもしれないなと感じました。